今回は「鳥海石」を入荷する際に行っている選別についてのご紹介です。
弊社は造園の際に、こちらの鳥海石をよく使用致しております。
年月を経た姿を連想させる姿は和風造園にも良く調和し、大きな物を景石として据え付けた姿はもちろん、大小を組み合わせて庭石組を行った際も主張の強過ぎない姿は落ち着きのある庭づくりに欠かせない存在となっております。
富士墨石などに比べ柔らか味があり、自然のえぐれやくぼみを持つ姿は、ナチュラルガーデンにも調和します。
色味の少ない姿ゆえ、小さな下草類や雑木類のさりげない緑をより鮮やかに見せる視覚的効果もございます。
鳥海山は秋田県と山形県にまたがる活火山です。
噴火の記録も度々あり、近年1971年に噴火、1974年には水蒸気爆発の記録がある様です。
仕入れの際は多くの石をひとつひとつ目視し、吟味していきます。
一口に庭石と申しましても、硬い姿、柔らかい姿、崩れた姿など、お庭毎に違った姿が求められます。
制作中のお庭にあわせて吟味する事はもちろんですが、やはり鳥海石らしい物、を選ぶ事となります。
この様に割れの非常に強い石は、通常は仕入れを避けますが、この様な石は時として自然感を追及する際に欠かせない姿でもあります。
高原地帯などを散策すると、昔の噴火の際に地上まで落ちてきた石の姿を目にします。
長い斜面を転がり落ちてきた石は角を削られた姿、落下の衝撃で割れた石も数多く見られます。
その様な姿を再現する庭造りの際は、割れ姿の自然な石を選びます。
この様に明らかに搬入時に割れた石は避けます。
長い距離を運ばれる道中、下ろされる際、積み上げられる時など、意外に多くの石が割れを起こします。
ひび割れとして兆候が現れている物も多いので注意が必要です。
今回仕入れた石の数々です。
丸みを帯びて柔らか味がありながらも、年月によって出来た「くぼみ」や「えぐれ」のあるものだけを選びました。
庭石としての大きさも控え目で、坪庭や小庭などでも良い風景を作ってくれそうな石を買い付ける事が出来ました。
庭石を選ぶ作業もまた、造園工事の一過程となります。
素朴な魅力、自然味のある風景の大切な立役者である鳥海石。
お庭に取り入れて気持ちの良い風景を作ってみてはいかがでしょうか。
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