今回は造園工事の際の、蹲の手水鉢周りの庭石組みのご紹介です。

蹲(つくばい)と呼ばれるものは、
■手水鉢
■海
■役石(湯桶石・手燭石)
■水照らし燈籠
■前石
によって構成された総称です。

茶事に使用する際は上記が全て整った構成にする事が必須ですが、景観上お庭に手水鉢を取り入れたい場合はこの限りでは無くなってきております。
手水鉢左右の役石を省いた構成、
海の無い構成、
場合によっては手水鉢のみを設置する事もございます。

石材の持つ味わいや雰囲気をお庭に取り入れる方法は様々ですので、是非ご相談いただければと思います。

今回は役石を持たない構成における、手水鉢周りの海を形成する庭石組みのご紹介です。

手水鉢の位置決め

まずは主役となる手水鉢の吊り込みです。
周囲に施工する海の大きさを考慮して位置を決定します。
吊り込んだ状態で何度か位置確認を行い、据え付けを始めます。
安定感を与える為、手水鉢は1/3、時には1/2程地中に据え込みます。
この時、周囲のレベルや最終的に砂利を敷き込む高さを考慮して据え付けレベルを決定します。

前石とをつなぐ小石

 

DSC_0020

手水鉢の次に、人が立つ為の「前石」をコンクリート下地にて据え付け。
前石には厚みのある根府川石を使用しております。
次いで手水鉢と存在感を共にする為の大き目の庭石を据え付け。
写真は、上記の庭石と前石とを違和感無く繋ぐ小石のはめ込みです。

全体を形付ける奥の構成

前側を組み終えた後、後部の庭石組を行います。
前側は景観・使い勝手を考慮して組み上げるのに対し、奥側は高さを付けて重厚感を出したり、植栽との引き立て合いを考慮して組み上げていきます。
遠目から眺めた際に、奥側の作りは非常に重要となりますので、何度か離れて確認しながら施工します。

組み上がった手水鉢周りの構成

 

周囲との調和が大切です

組み上がった手水鉢周りの様子です。
大きく、模様の濃い庭石を選んでおりますが、使う面を選ぶ事によってどこかしっとりとした雰囲気となります。
ゴツゴツした石組は、その部分の主張が強くなり、遠目から見てその部分だけが目立ってしまいます。
写真の様に、傍に立ち石が視界に入る事によって、一層手水鉢周りが落ち着いた表情に見えます。
庭石は落ち着いた印象を持たせて組む事で、仕上げの植栽との調和も取れる様になります。

庭石組みといいますと、石ばかりが強く目立つイメージをお持ちになられる事もあると思いますが、決してその様な事はございません。
庭石を据える際も、
植栽と一緒に眺めてみてどうか、
お庭全体を見た時にくどくないか、
という事を意識した施工を心掛けるのが大切です。

庭石を使ったお庭のイメージとしてご参考いただければ幸いです。
それでは失礼致します。