「うちの庭は日当たりが悪いから…」といったお声をよくお聞きします。
日陰だから植木や植物の生育が悪い、花が付かないなど、日陰の庭は悪いイメージが先行してしまっているのではないでしょうか?
ですが全く諦める必要はありません。
実は日陰がちな場所の方が庭木や下草の選択肢も多く、独特の美しさがあるものなのです。
日陰の環境を活かして庭として楽しむ事は「日陰の庭づくり」として確立しており、この様な日陰の庭はシェードガーデンとも呼ばれています。
こちらのページでは日陰の庭の魅力に迫りつつ、作庭者の私からおすすめする日陰の庭づくりのポイントやデザインのコツ、日陰の庭作りに使いやすい庭木や下草類のご紹介をしてまいります。
目次
日陰の庭・シェードガーデンの魅力
まず、日陰の庭が持つ魅力とはどんなものなのでしょうか。
日向の庭では見る事が難しい、日陰の庭ならではの魅力を見てまいりましょう。
瑞々しい雰囲気
暗い場所への庭づくりでは、日陰に向く植物を使います。
「日陰に耐える」というよりも「日陰に向いた」と表現する部分が大切で、陰を好んで育つ植物は暗い庭で活き活きとした姿を見せてくれます。
そのツヤと色深さは日向で見る事は難しく、暗い庭ならではの魅力と言えるのです。
シェードガーデンは直射日光にさらされる場面が少ない為に、保水性に優れているというメリットがあります。
この為、日向の庭の様に地表の水分がすぐに乾いてしまう事はなく、日頃の水やり程度の管理で常に瑞々しい雰囲気を楽しむ事が出来るのです。
陰影の美しさ
僅かに日光が入る様な日陰であれば、高い木を植栽する事で木漏れ日が生まれます。
この木漏れ日は風で揺らぎ、人のデザインだけでは作れない魅力をもたらしてくれます。
明るい時間と暗い時間によって異なる雰囲気を見せてくれるのも日陰の庭の特徴です。
こちらのお庭は大きなヤマボウシで木漏れ日を作っており、植木の葉には程よく陽が差し、足下の下草類付近はしっとりとした雰囲気となっているのがお解かりいただけると思います。
この明暗バランスこそ、シェードガーデンの魅力ではないでしょうか。
日向より引き立つ植栽の色彩
植木の色は様々あって美しいですが、周囲が暗めの環境だと色が一層明るく見える様になります。
こちらは北側に位置するやや暗い場所への植栽レイアウトですが、日向へ植えた時よりもカラーリーフが引き立って見えています。
銅葉、イエローリーフ、黄斑など多くの色を植栽しておりますが、これらの葉が暗い場所を明るく変えてくれている事が解ります。
植物の色が一層引き立つ、日陰へのお勧め植栽とも言えます。
日陰の庭は和風?洋風?
庭づくりのデザインを行う際、まず最初に和風か洋風かの選択をする事が多いのですが、日陰の庭、いわゆるシェードガーデンではどちらのデザインが適しているのでしょうか。
実の所、日陰の庭については不思議なもので、和風・洋風それぞれの味付けをデザインしても結果として「ナチュラルガーデン」となる事がほとんどです。
つまり「和風ナチュラル」や「洋風ナチュラル」といった雰囲気でしょうか。
これは日陰の庭は自然環境による影響を最も受けやすいという事に起因します。
日陰による資材の変化
例えば資材(マテリアル)については苔が付着しやすく、色も黒ずんできたりします。
和風の庭石が苔生せばより自然な姿に見えますし、洋風のレンガや平板も黒ずんでくると自然の影響が表面化してナチュラルガーデンの雰囲気を垣間見る様になってきます。
日陰環境では樹形もナチュラルに変化
植物・庭木についても同様で、どんなに賑やかな枝振りの木を植えたとしても、日陰環境では必ず枝葉が少なくなり、葉の面積が増して枚数が少なくなります。
これによりシェードガーデン特有のシンプルな樹形が生まれ、庭木そのものが自然味豊かな存在に変わっていくのです。
この様に日陰の庭は自然の力によって年々味わい深くなってくるのも魅力であり、ここに独特の美しさや面白みがあるのではないでしょうか。
日陰の庭づくりの基礎
日陰の場所を庭として活かす場合、いわゆるシェードガーデン作りでありますが、始めるにあたっては基礎的なポイントがあります。
日陰の庭づくりを始める際に押さえたい、基礎とも言えるポイントを見てまいりましょう。
日陰に適応する植物を使う
日光に当たる事を好む庭木や植物を日陰に植栽しますと、健全な生育が出来ずに枯れてしまったり、枯れる手前の寂しい状態になってしまいます。
この様な状況を避ける為にも、日陰には日陰向きの植物を植える事が大前提となります。
「日陰向きの植物」とは日陰を好み、やや暗めの場所でないと健全に育たない植物を指し、長時間の直射日光を嫌う植物が該当します。
これらの植物は陽射しが強過ぎると葉焼けを起こし、それが回復しないまま枯れてしまう事になります。
特に日陰向きの常緑性植物は葉色が美しく艶やかな物が多く、シェードガーデンの美しさの骨格となります。
これらの植物は自生地も陽の少ない場所や大きな木の下等であり、元々この様な陽当たりの弱い場所を好んで生育している事が解ります。
「日陰に耐える植物」とは、元々は日向向きながら日照不足の環境にもある程度耐える(適応する)植物を指します。
言い換えれば「環境を選ばずに生育できる」植物とも言えるでしょう。
これらの植物を日陰に植えると葉の数を減らしたり幹や枝が太らなくなったりしますが、その姿は日陰ならではの美しさとして捉える事ができ、シェードガーデンにおける大切なキャストとなり得ます。
日陰向きの植物(立ち木・低木・下草)につきましては後程ご紹介を致しますのでご参考下さいませ。
風通しを悪化させない様にする
シェードガーデンとなる場所は周囲を壁に囲まれていたり、大きな木の下であったりする事が多いものです。
この様な環境で庭づくりを行う場合、「もともと風通しが良くない場所」である事を踏まえておく必要があります。
日陰に庭を作るという事は、当然ながら庭木や下草が植えられる事になり、この数が多過ぎますと更に風通しを阻害する事に繋がります。
風通しが悪くなると植物の生育不良や病虫害を引き起こす他、お住まいへの通風も悪くなってしまいます。
風通しは目に見えない要素ですが影響は大きく、後で改善する場合は大幅なレイアウト変更が必要になったりします。
特に立ち木は本数が多いと風通しへの影響が大きい為、植物が繁茂する風景をご希望の場合は低木や下草類・宿根草などで充実させる事がおすすめです。
写真のシェードガーデンは立ち木を1本のみにしており、窓付近への風通しを妨げないデザインにしています。
足下もスッキリとしたデザインになっており、植物も健全に育つ庭になっています。
日陰環境による庭木の変化を考えておく
日陰に庭づくりを行いますと、実は日向と比べて後々に起こる変化が大きいものです。
植物も日陰環境に合わせて姿を変えていく他、あらゆる部分に日陰ならではの変化が生じます。
日陰の庭へ植えられた庭木は多くの場合下部の枝を枯らしていくので、この変化を想定して植栽する木は下枝が少ないものを選んでおく事が有効です。
こうしておくと植栽後の枝枯れも少なく済み、周囲への貴重な日光を阻害する事も無くなります。
更に枝枯れに備えて植栽直後の庭木へ剪定を施しておく事も有効です。
懐や下部の枝は日陰で生育できない事が多い為、予め外しておく事で健全な成長を促す事が出来ます。
また、日陰の庭は自然に苔が生える事もあり、華美なマテリアルで明るく見せようとしても苔が付着してしまったりします。
明るい色のレンガや砂利に苔がついてしまうと景観が宜しくないのですが、自然石などの素材であれば苔の付着も美しく見せる事が出来ます。
この様に日陰の庭では全体を簡素に、シックに見せる事が後々有効となってくるのです。
日陰の庭におすすめなデザイン構成
日陰の庭の形はお好みや趣向によって自由に楽しみたいものですが、あらゆるシェードガーデンに共通しておすすめしたい基本構成があります。
シェードガーデン作りの骨格とも言えるポイントですのでご参考下さい。
景観の骨格となる立ち木を植える
シェードガーデンは足元の宿根草や草花が主役となる事も多いのですが、実際に庭の雰囲気作りで重要なのは日除けとなる高木です。
日向の庭で日除けの高木を植えたい場合は常緑樹、または日差しに強い落葉樹を選んで植栽します。
陽射しに強い落葉樹と言えばコナラやクヌギなどが挙げられますが、一般的な規模のお庭ですと後々の成長が大変な事となります。
樹種は限られてきますが、イロハモミジやジューンベリーであれば日差しにもある程度耐え、アオダモも環境適応性が高い庭木と言えます。
しかし注意すべきは、骨格となる高木によって庭がさらに暗くなってしまう事です。
日陰の庭といっても暗すぎるのは良くありませんので、枝数を減らして木漏れ日は通す様な環境を作ってあげるのが良いでしょう。
高木の下で低木や下草類を繁茂させる
日陰の庭の要とも言える落葉高木ですが、庭づくりとなりますと木の足下へ低木や下草、宿根草など様々な植栽レイアウトを施す事になります。
木の下へレイアウトを行う場合、骨格となる高木は「下半分に枝葉が無い木」を選ぶ事がおすすめです。
この様な高木を植えれば足元が広くなって風通しも良く、小さな植物を植えやすい環境が出来上がります。
樹種としては特にイロハモミジやアオダモ、枝払いを前提とするならばエゴノキやヤマボウシもおすすめです。
低木であるマホニアコンフューサ、花が美しいアガパンサスは背丈もあり、日陰に濃い緑を添えてくれるのでおすすめです。
低木類の下はさらに背の低い、セキショウやタマリュウ、リュウノヒゲ等の下草類でまとめていきます。
下草類と言いましても色彩や大きさの違いがあり、これをランダムにレイアウトすれば自然な植物繁茂に見せる事が出来ます。
自然石と下草・花のマッチング
自然石を添えるおすすめな点は、その存在によって植物の数が多くなり過ぎない様になる点でしょうか。
自然石はシェードガーデンと非常に相性が良く、点々とレイアウトする事で庭の骨格としても機能します。
また、石は花、宿根草とのマッチングが非常に美しく、アジサイやホタルブクロ、オダマキの花は石とよく似合います。
宿根草の葉が無い冬季でも自然石は存在感を保ちますので、シェードガーデンにうってつけの存在と言えます。
石や砂利で日陰の庭を明るく見せる
やや暗い雰囲気が美しいシェードガーデンですが、小石や砂利によって明るさを演出する事もあります。
明るい茶系の石や砂利を添えれば、日陰の庭が明るくおしゃれな雰囲気になります。
この様な素材によって明るさを出す場合は、苔が付いたり黒ずみやすい白系素材は避ける事が望ましく、あくまでも暖色系で留めておく事がおすすめです。
また、明るく見せるエリアが広すぎますとシェードガーデンの雰囲気が損なわれてしまう為、エリアは小面積に留めておき、ワンポイントのおしゃれとした方が良いでしょう。
静けさを演出するマテリアルを取り入れる
日向の庭でもよく見かけるガーデンマテリアル、いわゆる添景物ですが、日陰の庭でもワンポイントに添える事があります。
シェードガーデンの場合、やはりしっくりと日陰に馴染むマテリアルを選びたいものです。
例えば写真の様な自然な水盤をセレクトすれば、日陰の静けさを上品に演出する事も出来ます。
和庭であれば石燈篭を据えるのがセオリーではありますが、この様な素材であれば和洋を問わず日陰の庭にマッチします。
石素材に限らず陶器製の水盤や水連鉢もおすすめで、こちらはお好みの素材感やカラーを選び、シェードガーデンをおしゃれに見せると良いでしょう。
日陰の庭を「自然」に「美しく」見せるコツ
日陰の庭づくりにおきましては、少しの工夫をする事でより自然な庭に見せる事が出来ます。
庭木選びやデザイン面など多岐に渡りますが、ここでは取り入れていただきやすいポイントを少々ご紹介します。
ご自身でシェードガーデンをお作りになられる方にもご参考を戴ければと思います。
日陰で育った様な樹形を選ぶ
同じ樹種であっても日向と日陰、環境によって植栽後の樹形は大きく変わっていきます。
日向で育った木は葉数も多く全体的に賑やかですが、日陰で育った木は幹を細く保ったまま樹高を伸ばしやすく、枝の数も少ない姿になる事が多いものです。
日陰の庭に植える木はこの様な「日陰樹形」を持った木を選ぶと、庭とよく馴染みます。
イロハモミジ、ハウチワカエデ、アオダモ等は特に日陰で育った樹形が美しく、線が細く葉の少ない木は日陰の庭にぴったりと言えます。
また、この様な樹形は繊細な枝振りが美しく、シェードガーデンをおしゃれに見せてくれる効果もあります。
自然に作られた様な空間を設ける
日陰の庭づくりは、実は自然に習う所が多いものです。
自然の日陰環境では植物は密生している訳ではなく、少数の立木と多くの下草類の組み合わせである事が多いものです。
陽の少ない環境では多くの木が密生して育つ事は少なく、実際は少数の植物が適切な間隔を持って生育しています。
この為日陰環境には木の生えていない「空間」がある事が自然であり、シェードガーデンを作る際も空間を意図的に設けると自然に仕上がります。
日陰の庭を自然に見せる為にも、自然環境に習った空間を設ける様にしてみましょう。
シンプルな構成にする
日陰の庭はシェードガーデニングの為の場所であるとは限らず、日常的に眺める為の場所であったりします。
趣味の空間というよりはお住まいの一部というケースも多く、この場合はなるべく手が掛からない様にシンプルな構成にする事がおすすめです。
木と草、というシンプルな構成は手間も掛からず、お住まいの一部として楽に維持する事が出来ます。
写真の場合は下草類を手前にのみ植栽しており、手の届きにくい奥はバークチップによるマルチングのみとしています。
つまり場所の半分は植物が植わっておりませんが、このシンプルな構成でも十分に緑を感じられる事がお解りいただけると思います。
常緑低木と宿根草のバランスを考える
シェードガーデンの素材と言えば実に多くの宿根草が紹介されておりますが、種類によって葉の無くなる季節の事も考えておかなければなりません。
宿根草エリア、という様に場所を限定しておけば良いのですが、シェードガーデン全体が冬枯れを起こしてしまうと非常に寂しくなりますので、冬季も葉の残る常緑多年草との組み合わせも有効です。
例えばシェードガーデンの代表格とも言えるギボウシ(ホスタ)やアジサイ、シランやフウチソウ等は冬季には葉が無くなりますので、これらを主としたシェードガーデンは冬季に寂しさを感じます。
そこで常緑性であるクリスマスローズやアガパンサスと組み合わせたり、低木であるシャクナゲやアセビ等も取り入れる事で冬季も葉のあるシェードガーデンにする事が出来ます。
常緑性の植物とさりげなく組み合わせて、バランスの良い庭にする事がおすすめです。
また、葉の無くなる植物の周りにはバークチップなどを撒いておき、冬季の景観補助とする事も有効です。
日陰の種類とシェードガーデンのデザイン例
暗い日陰も明るく綺麗に見せる、シェードガーデン。
日陰と言いましても、僅かな日照具合によって扱いが変わってまいります。
ここからは日陰の庭を、
・暗い日陰
・半日陰
・明るい日陰
に区別し、それぞれにデザインを施した例を見てまいりましょう。
暗い日陰
一日を通してほとんど直射日光が入らない庭は、「暗い日陰の庭」として定義します。
南側でも高層ビルが隣接していれば暗い日陰となりますし、三階建ての中庭であれば陽の差す時間はほとんどないかもしれません。
この様な暗い日陰の庭では高木と下草を組み合わせるのがおすすめで、中~低木は生育が衰える可能性があります。
高木は上部の僅かな明るさを求めて育ち、下草は暗い地表でも美しく生育します。
この組み合わせは自然にも習う所であり、植栽後も健全に生育しやすくなります。
ダイニングから見る北西の日陰
こちらはお住まいの北西に位置するお庭ですが、隣家との距離が近い為に直射日光がほぼ入らない環境です。
ここでは無理に庭を明るく見せるのではなく、フェンスカラーもシックなものを選んで日陰の雰囲気を活かす様にデザインしています。
高木としてソヨゴとヤマボウシを植栽しており、この2種は上部の明るさを求めて生育し、下部の枝葉は少しずつ少なくなっていきます。
これにより地表に植えられた下草には風も当たりやすくなり、暗い日陰の中で瑞々しい美しさを放ちます。
マンションに囲まれた日陰の庭
こちらは南側のお庭ですが、集合住宅が近距離に建っている為に日中は日陰となる環境です。
周囲は白壁に囲まれているので暗すぎるお庭ではなかったのですが、ここでは敢えてフェンスカラーをダークなブラウンとし、落ち着きのある和風の庭をデザインしています。
植栽したイロハモミジは日陰で育成された木を使っており、環境とマッチする様にしています。
暗い日陰を鬱蒼としてしまない様に高木はイロハモミジ1株だけとしており、下草類が健康に育つ空間を確保しています。
半日陰
半日陰の庭は更に2種類の環境に分けられます。
1つは東側などに位置する庭で、午前中(半日)のみの日照を得られ、正午以降は太陽が真南に向かう事で日陰に変わる環境を差します。
もう1つは東~南に位置する庭でも、隣接したビルや大きな木によって日光が遮られ、短時間ずつちらほらと日が当たる環境を差します。
また、人為的に半日陰の環境を作る事もあり、この場合は適度に日除けとなる高木を複数本植える形を取ります。
半日陰の環境は日向よりも樹種の選択肢が広く、近年人気のある雑木類もこの様な環境を好みます。
ナチュラルガーデンをデザインするには最も適しているのが半日陰環境と言えるでしょう。
雑木の植栽で半日陰の環境を作る
こちらのお庭は陽当たりの良い南側ですが、庭づくりについては自然な雑木や下草類による構成がご希望でした。
これには強すぎる日光が当たると実現が難しい為、半日陰の環境を作るという所に重点を置きました。
まずウッドフェンスで足下へ日陰を確保し、雑木類は背の高い木を付かず離れずの間合いで共生させ、直射日光を木漏れ日へと変化させています。
これによってお庭は半日陰の環境となり、イロハモミジやヒメシャラ等の雑木、足元の下草類が美しく育つ様になりました。
半日陰の中庭をナチュラルにデザインする
こちらも南側のお庭ですが、周囲を外壁で囲んだ中庭風の空間になっています。白い外壁は差し込んだ日光を反射させる為、風通しさえ良好であればあらゆる植物を育てる事が出来ます。
こちらの様に頭上が日向で足下が日陰ですと、山間の自然環境に近いお庭となります。
その環境を活かし、シンボルツリーとなるアオダモに中木も寄せ植えし、地表にはあらゆる下草類をレイアウトしています。
暗い日陰では生育が難しい中木のオトコヨウゾメやアロニア、花を咲かせるヤマアジサイ等も育てられる為、小さな自然を切り取ったかの様なデザインが可能になります。
広く開けた日陰
強い直射日光は当たらないものの、広く開けている為に視覚的に明るい環境を指します。
例えば「北側」と言えば真っ暗で陽も差さないというイメージが強いのですが、道路に面していたり周囲に建物が無かったりすれば、庭木も下草も健全に育ちます。
日向向きである庭木も積極的に取り入れる事も出来る環境ですが、植栽後に枝葉が少なくなっていく事は予め想定してレイアウトしておきましょう。
お住まい北側に開けた道路沿いをデザインする
お住まい北側に位置するスペースですが、外壁のカラーもホワイトである事から明るく見える日陰です。
シンボルツリーも日陰に対応するソヨゴを植栽し、中~低木のカラーリーフをレイアウト。
カラーリーフは特に日陰で色濃く引き立てられますので、やや暗く感じていた庭もおしゃれに見せてくれます。
砂利によって日陰を明るく見せる効果はもちろん、洋風の庭石を使ったレイアウトによって足下まで明るく見せる事が出来ています。
隣家によって日陰となる南庭を和風にデザイン
こちらは南側のお庭ですが、隣家が接近している為に陽当たりが少ないという環境でした。
そこで庭の面積を活かして御影敷石を敷き詰め、陽が差さない時間も明るく見える様にしています。
敷石の雰囲気に合わせる様に周囲へ自然石や和風植物をレイアウトし、中央には睡蓮鉢をセットし、全体を和風の庭としてまとめています。
季節感を感じられる木も多く植栽されており、シンプルなお庭でも変化のある風景を楽しむ事が出来ます。
日陰のシンボルツリーにおすすめな庭木
日陰でもシンボルツリーとして植栽出来る庭木はあります。
日陰に適さない木をシンボルツリーにしてしまうと後で枝葉が極端に少なくなってきたり、病気になりやすくなってしまいます。
また、日向を好む庭木を日陰に植えると日光を求めて樹高を伸ばすのが速くなったりもします。
ここでは日陰でも無理なく自然に育てられる、シンボルツリーにも使える庭木を紹介していきます。
ソヨゴ
ソヨゴは日向から日陰まで生育が可能な植木ですが、緩やかな生育と雰囲気は特に日陰にマッチします。飾り気のない樹姿はお住まいをナチュラルに見せ、日陰環境下への植栽ですと葉の色艶も増していきます。
日陰に植えても極端に葉数が減る事が無く、景観だけでなく目隠し効果も得る事が出来ます。
日陰は狭いというケースが多いのですが、ソヨゴであれば成長も大人しく、常に枝をカットする様な必要もありません。
関連記事>>>ソヨゴの特徴と赤い実の魅力-成長の緩やかなシンボルツリーや目隠しとして
ヒメシャリンバイ
ヒメシャリンバイも日向から日陰と幅広く適応し、日陰への植栽で色が濃く美しくなります。
しかしあまりにも暗い日陰や風通しの悪い場所ですと状態が悪くなりますので注意が必要であり、東側や開けた北側へ活用したい常緑樹です。
ソヨゴと同じく成長が大人しい特性があり、面積を選ばずに植栽できる点が魅力です。
北側玄関のシンボルツリーや目隠しなどにも使える他、ヒメシャリンバイなら日陰での生垣を作る事も可能です。
関連記事>>>ヒメシャリンバイはどんな庭木?花も楽しめる生垣や低木シンボルツリーとして
アオダモ
アオダモは野趣ある幹肌や優しい枝葉が魅力の落葉樹で、和風洋風問わず庭のデザインに溶け込みます。
もともと下部の枝葉が少ない傾向があり、樹冠の下で下草類を生育させるレイアウトにも向いています。
日陰らしい自然なグリーンを添えたい場合は特におすすめしたい落葉樹です。
落葉樹にしては毛虫による被害を受けにくく成長も緩やかなのですが、近年では価格が高くなってしまっている事がデメリットと言えます。
関連記事>>>アオダモの魅力とは?育て方の解説、植栽実例もご紹介
ヒメシャラ
ヒメシャラは一昔前から自然な落葉樹として人気でしたが、苦手な全日照の環境へ植えられて枯れてしまうケースが多く、近年ではあまり植えられなくなっています。
ヒメシャラは半日陰の環境が最も健康に美しく育ち、適応した際の幹肌が赤く美しい落葉樹です。
横方向へやや枝垂れる様に広がる枝葉が美しく、梅雨時期に咲かせる小花はシェードガーデンにもよく似合います。
暗すぎる日陰ですと葉が極端に少なくなり、チャドクガやうどん粉病等の病虫害に遭いやすい点に注意が必要です。
関連記事>>>ヒメシャラの特徴と美しさ-シャラノキとの違いも解説します
コハウチワカエデ
コハウチワカエデはナチュラルガーデンデザインに多用される落葉樹で、直射日光により葉焼けを起こしやすい為、半日陰がおすすめな環境となります。
小さな手のひらの様な可愛らしい葉が魅力的で、カエデ類の中では非常に成長が緩やかな樹種と言えます。
日陰環境下ですと葉が大きくなり、特徴である葉形が際立って見えてきます。
枝葉の少ない姿が魅力の一つであり、あえて向こう側を透かせて見せたい場合に植栽する事が多いです。
他のの雑木を寄せて木立を作っても鬱蒼とせず、爽やかな日陰の庭を演出してくれる事でしょう。
関連記事>>>コハウチワカエデの特徴と育て方-小庭でも楽しめる小さなカエデの魅力とは
日陰におすすめな低木
日陰の庭におすすめ出来る低木・灌木類はたくさんあります。
落葉樹であれば山の木陰をイメージさせ、常緑樹であればしっとりとした坪庭の様な風情を感じさせてくれます。
低木類には花を楽しめる樹種も多いので、ぜひシェードガーデンに取り入れてみましょう。
ツリバナマユミ
ツリバナは元々葉数が少なく、樹姿からして日陰によく似合います。
真上よりも斜め上方へ枝を伸ばす傾向があり、枝垂れ系統の樹木に似た樹形を見せますが、木のボリューム自体が大きく膨らんでくる為、周囲を塞がれた様な狭小部への植栽には不向きです。
ツリバナマユミは自然に放任できる環境を選んで植栽したい雑木です。
白山吹
白山吹は黄花の山吹とは雰囲気も異なり、繊細な印象の落葉樹です。
強い日光に特に弱く、暑い日が少し続けば葉の変色や焼けを引き起こします。
日陰環境下ですと葉脈が美しく健康的に見え、花だけでななくグリーンとの魅力も発揮されます。
狭い場所に植えると毎年の強い切込みが必要となり、結果樹形が硬くなってしまいます。
ですのでアジサイなどと同じく周囲に余裕を持ったレイアウトがおすすめです。
ダンコウバイ
ダンコウバイは早春に咲く小さな黄花が魅力で、何気ない自然味を庭に添える事が出来ます。
葉は存在感が強く大きめですので多種との混ぜ植えには向きません。
写真の様に雑木類の「幹」に寄り添う様に植栽すれば葉の大きさも中和され、山間の様な雰囲気を作ってくれます。
葉は厚く丈夫でカクレミノに似ている所もありますが、意外にも強い直射日光では葉焼けを起こします。
ヤマアジサイ
ヤマアジサイは小振りな葉と花が魅力の落葉低木で、幹も細い為に通常のアジサイほど圧迫感は感じません。
この為日陰の中でナチュラルな1キャストとしてのレイアウトが可能で、周囲の木や石に自然と馴染ませる事が出来ます。
オトコヨウゾメ
オトコヨウゾメは6月頃の直射日光でも葉焼けを起こしたり、運搬だけで葉が黒く変色する事もあるデリケートな一面を持つ落葉樹です。
半日陰~日陰へ植栽後、根付いてしまえば丈夫な一面を見せ、繊細で美しい葉も肉厚になっていきます。
毎年発生する徒長枝以外は生育が緩やかですので、余分な枝を外しているだけで維持する事が出来ます。
白い小花も可憐で美しく、理想的な日陰環境であれば是非取り入れたい落葉樹です。
ナツハゼ
ナツハゼは大きな木の足下で生育する落葉低木ですので、強い直射日光に適応する事が出来ません。
葉焼けだけで済めば落葉~新芽展開へと持ち直しを待つ事も出来ますが、幹もダメージを受けて枯れてしまう事も容易に考えられますので、山間に近い環境を作った上で植栽するのがおすすめです。
日光を受けた部分は常にピンク色に染まって見え、秋の紅葉は真紅で見事です。
アロニア
アロニアは本来日向に植栽する事が望ましく剛健な落葉樹ではありますが、日陰環境でも美しい自然味も見せてくれる植木です。
日陰でも赤く染まる実や紅葉を美しく見る事ができ、緩やかに成長する事から狭い場所への植栽を行う事も出来ます。
日陰環境下ですと葉が大きくなって下枝が少なくなる事も想定しておきましょう。
関連記事>>>アロニアの特徴と育て方-赤実と黒実の違いは?美しい花や紅葉、雑木の風情を楽しもう
アオキ
古くから日陰の庭に植えられてきたアオキですが、最近では黄斑入りのピクチュラータやサルフレアが洋風シェードガーデン用として人気です。和風の庭の場合は従来通りの濃緑一色のアオキがよく似合い、古くは雪景色の中の赤い実が広く慕われていました。
沈丁花
香り高い花が有名な沈丁花ですが、花後の刈り込みが大切な作業となります。放任し過ぎると自重で枝が曲がり、地面にくっついてしまいます。萌芽力は非常に強い為、葉数を気にしない思い切った刈り込み剪定が有効です。
アセビ
下垂する花が魅力的なアセビは、古くから和風庭園の日陰に添えられてきました。
センリョウやアオキ等と同じく庭向きの低木類に属します。
アセビは年月の経過によって傷みやすく枝枯れも起こりやすいのですが、写真の屋久島アセビは葉数も多く痛みが生じにくい特徴があります。
寄せ植えにしても自然な繁茂に見えて美しく、成長も緩やかなのがおすすめなポイントです。
センリョウ
小さな赤い実と美しい枝葉が正月飾りとして親しまれてきたセンリョウ。
日陰を好みますが寒さには弱く、霜避けの処置をしたり、霜が当たらない木の下への植栽がおすすめです。
あまりにも暗い日陰や乾燥しやすい場所には不向きで、庭木の下で適度な湿り気のある場所を選んであげましょう。
ヒュウガミズキ
ヒュウガミズキは葉の展開よりも先に花がたくさん下垂する落葉樹で、葉の葉脈も美しい低木です。
自然な樹形も魅力的であり、ナチュラルガーデンの雑木へ添える様な植栽方法がおすすめです。
春に咲く黄色い小花がとても美しく、葉焼けを避けられる適度な半日陰であれば是非取り入れてみたい低木です。
マホニアコンフューサ(ナリヒラヒイラギ)
ヒイラギと言えばトゲ状の葉を持つヒイラギナンテンが主流でしたが、近縁ではオリエンタルな雰囲気のマホニアコンフューサが人気で、冬季に黄色い花を付けて暗い日陰も明るく見せてくれます。
日向から日陰まで植える場所を選ばず、寄せ植えにして群生を作るレイアウトにも向いています。
無理に背丈を低く維持するのは禁物で、1m前後の樹高で柔らかく仕立てていくのがベストでしょう。
サルココッカ
サルココッカは美しい濃緑の葉が特徴の低木で、日陰に植栽するとツヤも出て一層美しくなります。
刈り込み剪定にも耐え、新しい枝葉を展開しやすい強い面もあります。
寄せ植えで成型する事はもちろん、1株を独立させて剪定維持しても美しく映えます。
シャリンバイ
シャリンバイは日陰に限らず暑い日向にも対応する剛健種であり、潮風による塩害も寄せ付けない優れた低木です。
かつては沿岸部の街路樹というイメージがありましたが、近年ではそのナチュラルな樹形と葉のツヤ、春の花まで楽しめる低木雑木としての魅力が見直されています。
高木の足元への寄せ植えにも向いており、シェードガーデンデザインには欠かせない存在とも言えるでしょう。
シャリンバイには紅花種も存在し、ベニバナシャリンバイという呼称で流通しています。
日陰でこの発色を持つ花はとても存在感があり、緑の葉とのコントラストも大変目を引きます。
トベラの仲間
トベラはシャリンバイと似た存在感を持つ低木であり、葉の厚みやツヤなどが共通しています。
それぞれ葉の色や大きさが異なる品種がありますが、総じて日陰にも耐えて病虫害も寄せ付けない強さを持っています。
剛健種は生育が速いケースが多いのですが、上のシャリンバイとトベラについては生育面でもローメンテナンスであり、全体がゆっくり膨らんでいく成長を見せます。
緑葉のトベラ
オーソドックスな緑葉のトベラは最も自然味豊かであり、その剛健さから管理の行き届きにくいマンション植栽でも見掛ける様になりました。
日陰に植えられた緑葉トベラは葉の色とツヤが一層増していき、日陰の庭をさらに瑞々しい雰囲気にしてくれます。
斑入りトベラ
黄色と白が混じる葉を持つ斑入りトベラは、洋風シェードガーデンへの植栽に向いています。
葉のツヤを保ったまま斑入り模様を楽しめる樹種は少なく、他では斑入りアオキが該当します。
日陰をとにかく手軽に明るく見せてくれる効果があり、特に花の少ない季節でも庭が賑やかになる事から、通年明るく見せたい部分にレイアウトするのが良いでしょう。
斑入りヒメトベラ
ヒメトベラは通常のトベラよりも非常に葉が小さく、その数も多いのが特徴です。
枝分かれも細かくナチュラルな雰囲気に溢れ、雑木類の幹に寄り添う様にレイアウトすると自然な風景として引き立ちます。
難点としては幹や枝が非常に柔らかい為、雨の重みで枝が地面に付いたり、そのまま曲がって育ってしまう事もあります。
ある程度の大きさになれば丈夫になっていきますが、若木の内はこまめに枝の様子をチェックする様にしましょう。
五色南天(オタフクナンテン)
五色南天はオタフクナンテンとも呼ばれ、多彩な色彩を見せる低木です。
グランドカバーとして紹介される事も多いのですが、1株それぞれが膨らむ様に生育する為、寄せ植えにすると1株ずつ小さく剪定するのに手間が掛かります。
むしろ秋からの美しい色彩を楽しむには、1株ずつ独立させる様にレイアウトするのがおすすめです。
日陰の庭へ添えたい下草や宿根草
日陰の庭の地面にレイアウトする下草類は、庭の雰囲気づくりに欠かせない存在です。
特に下草類は自然石との相性も良く、庭のデザイン上でも重要な視覚効果を担ってくれます。
日陰ならではの色濃い葉や自然味を感じさせてくれる下草類のご紹介です。
玉竜(タマリュウ)・正宗セキショウ
タマリュウは草丈が短く地模様を成型するのに使われます。増える速度が遅い為、初めからある程度の密度を高めて植栽するのがおすすめです。
正宗セキショウは黄色の斑入りが美しく、華美でない鮮やかさを日陰に添えてくれます。タマリュウとの相性も良く重宝します。
黄金セキショウ
黄金セキショウは金色に見える明るい葉が特徴ですが、草丈が高くボリュームも出せる植栽が出来ます。庭の奥が暗く感じる場合や草の群生を表現する植栽に向いており、手軽に取り入れる事が出来ます。
ヒメセキショウ
ヒメセキショウは草丈が短く、石同士の隙間から自然に生えた草を表現できます。実際に生育も緩やかで、非常に扱いやすい下草です。多用してもしつこく感じる事はなく、石材の風情を引き立てる役目もこなします。
コクリュウ
黒い葉が特徴のコクリュウの植栽は、周囲の緑を美しく引き立てる効果もあります。ですがコクリュウ自体の花や新葉はとても美しく、華美でない上品さを日陰の庭にもたらします。
クリスマスローズ
日陰の庭に大きな葉を展開するクリスマスローズは、花の少ない時期に咲く常緑性の下草です。当初は小振りな印象ですが、生育につれて葉が大きくなり、株ごと大きくなるので余裕を持った場所への植栽がおすすめです。
花の品種もたくさん存在し愛好家の方も多い、人気の植物です。
ギボウシ(ホスタ)
落葉性の下草であるギボウシは品種によって様々なカラーリーフがあり、海外のランドスケープでもよく使われています。
茎を伸ばした先端に咲く花がとても美しく、日陰を上品な雰囲気に見せてくれます。
冬季は地上葉が無くなりますので、あくまでもポイント的にレイアウトしておくのが良いでしょう。
ナルコラン
こちらも落葉性の下草であるナルコランです。自然に生えた様な雰囲気が美しく、日陰の中のさりげない場所へ植栽すると自然味を感じられます。花は下垂する上品な咲き方を見せます。
石同士の隙間から自然に生えてきた様な、そんな植栽をすると日陰お庭が美しく映えます。
風知草
僅かな風でもそよぐ風知草は夏の風情を感じさせる落葉性の下草です。
風知草の鉢植えを玄関先に置く風景は現代でもよく見られ、涼しさを感じさせてくれる植物です。
斑入りヤブラン
斑入りヤブランは日陰の庭に手軽に明るさを取り込める植物で、根付いてしまえば手間も掛からない剛健種です。
寒さによって葉が傷みますが、春には中心から新葉が展開する為、綺麗な葉へ自然に入れ替わります。
白い斑入りのヤブランは上品な印象です。ナチュラルガーデンのポイントへレイアウトすれば、華美ではない明るさを演出できます。
ヤブコウジ
小振りで控えめな印象なヤブコウジは、生育速度も緩やかな美しい下草です。小さな花や赤い実を見る事ができ、自然石との相性も良い植物です。
陽の当たる場所はかなり苦手とし、この色艶を楽しむには半日陰の環境が欠かせません。
フッキソウ
フッキソウは日陰に植えると美しい葉が展開し、みるみる内に数が増えていきます。
この増殖力の速さから、縁起物としても慕われてきました。
日陰のグランドカバーとして植栽できますが、他の下草類との共生は難しい為、あくまでも立ち木の足下へのレイアウトが無難です。
ツワブキ
日陰の中でボリュームのある葉を見せてくれるツワブキは常緑性の植物であり、日陰の角へ緑を添えたい場合に向いています。
黄色の花は茎を伸ばした先に付く為に日陰の中でも良く目立ち、冬の庭を彩ってくれます。
ヒマラヤユキノシタ
ツワブキと同様に常緑性の下草類として植栽するヒマラヤユキノシタ。
花は色濃いピンク色で、庭の中で意外と目立って美しい存在となります。
古葉を取り除く程度のメンテナンスで育てる事ができますので、日陰のワンポイントとして植栽したい植物です。
シャガ
和風の庭に良く似合うシャガは、やや暗い木の下で群生する下草です。
花はとても繊細な色模様が見られて美しく、絵画などの題材にも使われてきました。
生育に伴って周囲へ増えていきますが、増えすぎた分を取り除く事は容易です。
シュンラン
日陰の庭で濃い緑色を見せるシュンランは雄株と雌株があり、雌株の花は春の訪れを感じさせてくれます。
下草同士の寄せ植えや庭石との合わせも良く、和風ナチュラルな庭に馴染みます。
春蘭は品種も多く、驚く程に高価な株も見られます。
シラン
シランは古くから日陰の庭で植栽されており、ミョウガと同じく周囲への増殖スピードが速い植物です。
シランは剛健な植物ですので、シランの場所はここまでと簡易的に決めておき、領域を超えた株は掘り起こして移植する事がおすすめです。
リュウノヒゲ
リュウノヒゲはタマリュウと混同される場合が多いのですが、リュウノヒゲは生育して定着するとこの様に大きい塊状になります。
とにかく丈夫な下草で、あまりにも暗く乾燥しがちな場所でもリュウノヒゲだけは育つ、といった事も珍しくはありません。
柔らかな塊状の姿を活かし、土留めや砂利留めとしてもレイアウトする事ができ、日陰の庭づくりにおいては名脇役とも言える下草です。
まとめ
日陰の庭のメリットやデザイン例、植物のご紹介は如何でしたでしょうか。
和風・洋風・自然風を問わず、日陰の環境は様々なシェードガーデンの可能性を秘めており、広さに関わらず表現できる事がご参考いただけましたら幸いです。
日陰を活かす庭づくりのご依頼は随時承っておりますので、お見積もりをご希望の際はお問い合わせ方法をご覧の上、お気軽にお伝え下さいませ。
このページでのご紹介以外にも日陰の庭やシェードガーデンの施工例がございますので、併せましてご覧戴ければと思います。
執筆者:新美雅之(新美園HP作成・作庭者)
庭木や庭デザインについて、作庭者の経験を活かして現実的に解説をするコンテンツを目指し、日々執筆しています。