お庭のデザインから作庭を行っております、新美園:新美雅之です。
こちらのページでは目隠し対策として人気のある、人工木材を使った「樹脂フェンス」について解説を致します。
樹脂フェンスは腐食も無く軽量で、目隠しに必要な最低限の高さ・幅で設計する事ができ、無駄の無い目隠し対策が可能です。
樹脂フェンスであれば、目隠しに関する多くのお悩みを解決出来るメリットがあります。
こちらのページでは、樹脂フェンスがどんなお悩みを解決出来るのか、施工風景や設置実例も交えてご紹介をしてまいります。
目次
樹脂フェンスとは?
樹脂フェンスは木粉を樹脂で固めて整形した板材を使うフェンスで、「人工木フェンス」とも呼ばれます。
樹脂フェンスは板材に木目模様が施されており、周囲の植栽と溶け込んで美しい景観を見せてくれます。
アルミフェンスや頑丈なハードウッドフェンスと比べ、比較的低価格で設置する事が出来るのも魅力です。
「後付けフェンスの設置」となりますと、お庭や通路へ構造物を建てるというイメージも強く、施工した場合の圧迫感が気になる事と思います。
ですが樹脂フェンスであれば、木材調の見た目と軽やかな印象で設置する事ができ、腐食が起こらない事から耐用年数も長いのが特徴です。
施工直後と5年経過後の板材比較
右側は5年前に施工した樹脂フェンスであり、撮影時に左側を新たに追加施工した様子です。
新品時は特に色が濃いので左右の色差は確認できますが、カラーの風合い自体はしっかり残っています。
色の違いはやや感じられますが、板材の角などもしっかりしており、部材そのものの劣化は見受けられません。
柱はアルミ製ですので劣化は無く、基本的にコンクリートや基礎の設置を行っておりますので、経年による心配はございません。
シンプルな部材構成により、解りやすいお見積りが可能
樹脂フェンスを構成する部材は非常にシンプルで、基本的に小さな金具類などは必要としません。
基本となる部材は、
- アルミ柱材
- 板材 ※基本長さ2,000・幅120(mm)
- スペーサー(板材の隙間幅に応じたサイズ ※10mm~)
- ジョイント材 ※最終的に板材と柱材を挟み込む材
- カラービス(板材色に合わせて塗装されたステンレスビス)
のみであり、これらの数量・単価が明確にお見積りに記載されます。
後にご紹介を致します通り、樹脂フェンスは必要最低限のサイズで施工を行います為、部材数量をしっかりと明示するお見積りが肝心となります。
樹脂フェンスのメリットにより、こんなお悩みが解決出来ます
目隠しフェンスの設置をご検討される上では、様々なお悩みやご希望があるかと思います。
樹脂フェンスであればお悩みを解決出来るメリットもたくさんありますので、その魅力をお伝えしながらご紹介をしてまいります。
ウッドフェンスの雰囲気が好きだけど、腐ってしまうのが困る…
樹脂フェンスの最大のメリットは、腐食が無い事です。
木粉を樹脂で固めて形成された板材は腐食の心配が無く、これが樹脂フェンスの最大の強みとも言えます。
ウッドフェンスの様な優しい外観を持ちながら、腐食せずに長期間使えるのが樹脂フェンス強みです。
フェンスの骨格となるパーツは全てアルミ製であり、これらはもちろん半永久的に朽ちる事はなく、サビの発生もありません。
メンテナンスフリーの魅力
木製のウッドフェンスであってもハードウッド材であれば腐食の心配は少ないですが、どうしても色の後退や木材の痩せが起こる為、保持メンテナンスとして定期的に防腐剤を塗布する必要があります。
樹脂フェンスであれば腐食対策・防腐メンテナンスも必要なく、基本的にはほぼノーメンテナンスと言えます。
柱材はカーポートなどと同じアルミ製部材となりますので、こちらも当然丈夫で腐食する事はございません。
規模の小さな樹脂フェンスであれば、定期的な拭き掃除程度で美しい状態を保つ事が出来ます。
狭い場所だから、フェンスを建てると狭くなってしまいそう…
樹脂フェンスは板材が軽量である事から全体への負荷が小さく、アルミ柱もスリムなサイズで設計する事が出来ます。
6cm×6cmのアルミ角材を使用するのが一般的であり、これは後付けフェンスの柱としてはスリムです。
写真の様に樹脂フェンスの板材はとても薄く作られており、完成したフェンスは場所も取りません。
施工幅も7cmで済む薄型設計
樹脂板材も非常に薄く、組みあがった樹脂フェンス構造的奥行き径は7cmに満たない為、フェンスを設置してもお庭が狭くなりません。
これにより狭い場所への設置施工も可能となり、目隠し対策を諦めがちな場所でも対応出来るケースがあります。
スリム設計を活かせば通路への設置も可能に
薄型で設計が出来る樹脂フェンスであれば隣地境界付近やお住まい脇の通路へも設置が可能となり、設置後も通路を歩く事はもちろん、庭木との干渉も起こしにくいというメリットもあります。
狭い場所だからとフェンスの設置を検討されなかった方も、樹脂フェンスであれば目隠し効果を実現出来るかもしれません。
写真の様な幅60cm程の通路上でも、樹脂フェンスの設置が十分可能である事がお解りいただけると思います。
フェンスのカラーを選べないと家とのバランスが取れないのでは…?
天然木材(ハードウッド)フェンスの場合ですと仕上げの防腐塗料の色によって個性を出しますが、木材の風合いに近いブラウン系のカラー選択が多くなりがちです。
しかし樹脂フェンスの場合はブラウン系以外にも個性的でおしゃれなカラーもあり、お住まいや庭木との相性を考えながらおしゃれな組み合わせを選ぶ事が出来ます。
選べるカラーは?
例として、弊社でメインとして取り扱うエクスタイル社製樹脂フェンス「アーバンフェンス」のカラーラインナップをご紹介します。
板材は塗装によって仕上げられた製品で、10色以上の豊富なカラーを取り揃えております。
和風の趣を感じさせるシックなダークブラウンやアースブラウンを始め、
洋風テイストのライトブラウンなどが定番の人気カラーです。
株式会社エクスタイル「アーバンフェンスカラーバリエーション」より
www.extile.co.jp/lineup/urbanfence/
最近ではお住まいもお庭もナチュラルな志向が増えつつありますので、雑木類を楽しく引き立てるホワイト系やおしゃれなブルー調のフェンスもお勧めです。
フェンスを支えるアルミ柱も選んだ板材に近いカラーにする事ができ、特に柱も色を合わせたいホワイトやベージュ系の場合には嬉しい仕様です。
よりリアルな木質感や高い耐久性が必要な場合は?
多くの場合、樹脂フェンスの板材はスタンダード品でも十分に魅力的でありますが、環境条件やお好みによって特別な装飾や塗装が施された仕様もご用意できます。
木目調の立体模様が刻まれたフェンス材
カラー選択に併せ、この様に木目の立体模様が刻まれたタイプもお選びいただけます。
明るいフェンスですと日光の照り返しが気になりますが、立体加工された仕様ですと反射も少なく、落ち着いた木質感を得られます。
限りなく木材の柔らかみを再現したい場合はこちらの使用をお選びいただくと良いでしょう。
耐紫外線として強化塗装をした仕様も
樹脂フェンスの色褪せの最大の理由は紫外線による影響です。
特に南側へフェンス表面が向いている状況(道路側が表面等)ですと、フェンス材へ一日中直射日光が当たる事となり、退色劣化を早める事となります。
そこで特に耐紫外線を考慮して強化塗装を施した仕様もありますので、樹脂フェンスの設置場所によって設計に加えてみるのもおすすめです。
目隠しにフェンスを建てるなんて、大きさが心配…
樹脂フェンスの設置は、大きさが決まった「完成品」のフェンスを立てる場合とは異なります。
ご相談時に最低限必要な目隠しエリアを取り決め、そのサイズに必要な部材だけを使って組み上げます。
目隠しフェンスが必要なシチュエーションは、必ず2mほどの高さだとは限りません。
樹脂フェンスの設計は、サイズの無駄を省く事から始まります。
必要最低限の目隠しフェンスとは、具体的にどの様な形となるのかご紹介を致します。
高台の立地を活かして最低限の高さで設計
例えば設置場所がこの様な高台となっている場合はフェンス自体の高さはあまり必要としませんので、高さ1m以下という設計も行う事が出来ます。
樹脂フェンスを低く設計した場合、板材の枚数(材料費)を抑えられる事はもちろん、長さに応じた材料費用が掛かるアルミ柱も節約対象となります。
樹脂フェンスは自由設計が基本となりますので、この様に無駄な材料費を抑えた効率的な施工が可能です。
下部に板材を貼らない「目隠しエリア重視型」の設計
こちらは目隠し効果の無いネットフェンスを補う為に樹脂フェンスを追加設置した施工事例となります。
下部はコンクリート擁壁になっている為に目隠しをする必要が無く、向こう側が見えてしまう上部だけに板材を貼り付ける設計としています。
板材は1区間につき2~3枚程の節約となりますが、長距離に渡る設計ですと大きな節約として費用効果がございます。
横張りタイプの樹脂フェンスであれば下部に板材を貼らない設計でも違和感は感じませんので、目隠しの高さは確保しながらも材料費用を削減したい場合におすすめな設計です。
浴室窓へ隙間の無い完全な目隠しをしたいんだけど…
ここまでご紹介しておりますのは板材を横向きに貼り付ける、いわゆるルーバータイプの樹脂フェンスです。
この仕様ですと板材同士に1cmの隙間が出来てしまう為、完全に見えなくする目隠し効果は望めません。
しかしこれとは異なり板材を縦向きに、少し重ねて隙間を無くした仕様もあります。
このタイプですと板材同士の隙間が一切なく、完全な目隠しフェンスとして機能します。
写真は浴室の窓前へ高さ1.8mの目隠しを作る為に設置した樹脂フェンスです。
浴室から眺めると、樹脂フェンスによる目隠しのお陰で、安心なプライベート空間になっている事が解ります。
この完全目隠しタイプの樹脂フェンスは連続して接合させる事も可能で、大きな浴室窓の目隠しにも対応出来ます。
写真の樹脂フェンスは薄い「マンダリンオレンジ」というカラーですが、実際はベージュに近く、暗かった浴室窓を明るく見せる効果も得られました。
カラー別に見る、樹脂フェンスの施工イメージ
様々なカラーを選ぶ事が可能な樹脂フェンスですが、こちらでは実際の施工事例で仕上がりイメージをご参考いただければと思います。
カラー選びはフェンスのみで考えるのではなく、周囲の庭木やお住まいに合わせる等、総合的なイメージで考えるのがおすすめです。
ライトブラウン:木材に近いイメージで植栽も美しく見せる
フェンスの用途:背後のブロック塀の目隠し
フェンスの高さ・幅:1.8m・3m
人気のブラウン系の中でも明るい印象を持ったライトブラウンです。
こちらはやや日陰となるお庭ですが、このフェンスカラーによって植栽の緑が浮き上がって見える様になり、おしゃれで明るいお庭となりました。
背後の古いブロック塀を綺麗に目隠しする事ができており、少ない植栽で充実したお庭に見せる効果も得ています。
メープルホワイト:明るいカラーでありながら、目立ち過ぎない目隠しに
フェンスの用途:勝手口付近を隣家玄関から目隠し
フェンスの高さ・幅:1.7m・2m
白い樹脂フェンスは明るい洋風ガーデンから日陰まで、幅広いシチュエーションでおすすめ出来ます。
写真は日陰の隣地境界ですが、暗いからといって明るいブラウンの目隠しフェンスを設置しますと、フェンスだけが非常に目立ってしまいお隣へ圧迫感を与える事になりかねません。
しかしこのホワイトカラーですと目隠しフェンスとしての存在感が軽減され、同時に日陰も明るくしてくれます。
サンドベージュ:植栽のグリーンとマッチする温もり感
用途:隣地境界の目隠し
フェンスの高さ・幅:1.8m・3m
ホワイトに近いカラーですがやや温もりを感じられるのがベージュカラーの魅力です。
ホワイトよりも若干の柔らか味があるカラーは庭木のグリーンとの組み合わせが特に美しく感じられます。
ナチュラルガーデン等によく見られるホワイトフェンスがお好みでありましたら、こちらのカラーがイメージに近いかと思います。
ココアブラウン:赤味があり、おしゃれで存在感のあるフェンスに
フェンスの用途:道路から窓の目隠し
フェンスの高さ・幅:1.5m(道路高1.7m)・4.6m
ちょっと違ったブラウン系がお好みなら、赤味を持ったココアブラウンの樹脂フェンスもおすすめです。
レンガ調の建物や足下の植栽との相性も良く、ちょっと目を引く存在となってくれます。
洋風の庭木、低木類とのマッチングが良く、グランドカバー等の植栽と合わせたコーディネートもおすすめとなります。
ダークブラウン:シックな基調で和風・洋風を問わない魅力
フェンスの用途:隣家からの目隠し・お庭のスクリーン
フェンスの高さ・幅:1.3m・2m
お庭の奥へ設置したダークブラウンの樹脂フェンスです。
このフェンスカラーは周囲の植栽を最も浮かび上がらせる効果があり、単純に明るく見せる手法とは異なる使い道があります。
煤色にも見える暗色は和風のお庭とも良く似合いますので、実は幅広いシチュエーションで活躍するカラーと言えます。
アースブラウン:最も天然木材に近いナチュラルなカラー
フェンスの用途:道路からの目隠し
フェンスの高さ・幅:1.4m・15m
最も木質感を感じられる中間色、アースブラウンの樹脂フェンスです。
最もウッドフェンスに近いナチュラル感を得る事ができ、長距離に渡る目隠しフェンスとなる場合でも人工的な圧迫感を感じさせません。
お住まいも庭木も上品に引き立つのが特徴で、洋風ガーデンはもちろんナチュラルガーデンとの相性も良いカラーです。
樹脂フェンスの施工・工法
樹脂フェンスは、部材数の割り出しから行う完全オーダーメイドです。
必要なサイズにカットしたアルミ柱をコンクリートで固定し、フェンス材を1枚ずつビス止めする工法です。
アルミ柱のカット・補強金具などの取り付け
目隠しフェンスの高さを確認して、アルミ柱を必要なサイズへカットします。
この際、さらに強風対策が必要な場合はアルミ柱へ補強金具を取り付けておきます。
アルミ柱の据え付け・金具固定
アルミ柱は深さ40cm~程度まで入れ込んでコンクリートで固定します。
特に激しい強風が吹く恐れのある場所への設置の際は、この様に強化金具で更なる補強を行っておく事も有効です。
樹脂フェンス材の取り付け
固定されたアルミ柱に対して、樹脂製板材を上部から順に取り付けていきます。
この際、設計した隙間の広さに応じたスペーサーを目安に、均等な間隔を保って行います。
打ち込むのはステンカラービスですので存在は目立ちませんが、真っ直ぐなラインで揃える様にします。
挟み込み材(ジョイント材)の取り付け
板材の両端は細長い挟み込み材(ジョイント材)を被せるように当て、板材に干渉しない隙間へビス留めをします。板材に直接穴を空けるのではなく、上からジョイント材で挟み込んで仕上げるイメージです。
樹脂製の板材は柔らかい材質であるので、全箇所をビス止めしてしまうと風の揺れによって下穴が広がってしまいます。
ですので樹脂フェンスの場合は板材の両端を「止める」のではなく「挟み込む」事によって板材の動きを逃がす様になっており、この様な独特の工法が取られます。
完成した樹脂フェンス
完成した樹脂フェンスによって、向こう側の駐車場がすっかり目隠しをされました。
プライベート感を保持しながら、手前に施工したお庭の背景としても重要な景観となっている事がお解りいただけるかと思います。
樹脂フェンス施工例の一部をご紹介
樹脂フェンスを設置するには様々なお悩みやご希望を考慮しております。設置目的や目隠しサイズについてのお話し合いのうえ、丁寧な施工を致しております。
隣地の月極駐車場をおしゃれな目隠しフェンスで丸ごとカバー
お庭に面した隣地が月極駐車場であり、契約車がお庭のすぐ傍に駐車される状況の為、駐車場を丸儀ごと目隠しする必要がありました。お庭を狭くさせず、メンテナンスも不要な目隠しする為、樹脂フェンスを設置致しました。
駐車場を挟んだ道路からの視線を樹脂フェンスで目隠し
こちらの様に駐車スペースを挟んで道路がある場合は、車が停まっていないと道路から丸見えになってしまいます。後付け樹脂フェンスなら、目隠しの必要具合に合わせた設計で広範囲もカバー出来ます。
樹脂フェンスで境界を明確にしつつ庭のスクリーンを作る
せっかくお庭を作りましても、一番奥が筒抜けではお庭のシルエットがぼやけてしまいます。
植木は背後の景色がはっきりしませんと、存在感が薄れてしまいがちです。特に落葉樹は冬季に葉を落とした際、スクリーンとなる景観が無いと存在感がとても薄れてしまいます。お庭を引き立てる為にも、背景となる樹脂フェンスの設置がお勧め出来ます。
平板アプローチと目隠しフェンスによるシックな洋風の庭-鎌ヶ谷市O様邸
樹脂フェンスの施工事例一覧ページはこちらから
上でご紹介の施工実例を含めた、樹脂フェンスの施工例一覧ページをご覧いただけます。
ご参考となる施工例がありますと幸いです。
樹脂フェンスの設置をお考えの際は是非ご相談下さい
軽量薄型でしっかりとした目隠し効果を持つ樹脂フェンス、如何でしたでしょうか。
樹脂フェンスはおしゃれな木目模様もある事から、弊社では多くの場合お庭作りの一部としての設置をしてまいりました。
しかし目隠し対策として樹脂フェンスのみの施工も承っておりますので、ご検討の際はお問い合わせ方法をご参照の上、お声掛けをいただければと思います。
執筆者:新美雅之(新美園HP作成・作庭者)
庭木や庭デザインについて、作庭者の経験を活かして現実的に解説をするコンテンツを目指し、日々執筆しています。