庭づくりのデザイン・施工を行う新美園:新美雅之です。
弊社では庭づくりや植栽の他、生垣作りも多く行ってきましたが、こちらのページではその生垣の設置費用や助成金について解説をしたいと思います。
これから業者様へ生垣の設置を頼まれる方、それに伴い自治体の助成制度を活用されたい方におすすめな記事となっております。
生垣の材料費として含まれるものは?
まず生垣工事の費用として欠かせないのが「材料費」です。
この材料費は生垣の「距離」によって最も上下し、生垣費用の要となっています。
生垣にはどんな材料費用が掛かるのか見てみましょう。
丸太・竹材
生垣の骨組みとなる丸太ですが、使われるのは直径9cm前後、長さ180cm程のサイズです。
かなり背の高い生垣を作る場合はさらに長い丸太が使われますが、住宅の生垣であれば樹高は1.5m~1.8mが妥当であり、それ以上の高さは植木の成長によって補うのが一般的です。
丸太類は¥2,000~¥4,000程、竹材は4mの竹が¥1,000~¥2,000程で計上されます。
苗木(植木)
生垣用の植木は背が高くても「苗木」と呼ばれる事がありますが、使われる樹高は1.2m~1.8mと、生垣の目的によって異なります。
価格は¥2,000/本~¥6,000/本と樹種によっても違いがありますが、使う本数は概ね1.8m間隔に7本程が目安となります。
生垣の費用を調整したい場合はこの植木費用を工夫する事が多く、
- 安価な樹種を使う
- 樹高は低くしておいて成長で育てる
- 植え付けの間隔を広くして本数を減らす
この様に費用を調整する事が出来ます。
もちろん生垣の距離によってはあまり削減につながらない事もあり、後で解説の助成金制度では植木の間隔が詰まっていないと交付対象にならない事もありますので注意が必要です。
用土費・場合により残土処分費
生垣の植木を植える際は想像される以上に多くの土が出ます。
通常の植栽ち異なり生垣の場合は溝状に穴を掘っていくケースが多い為で、この土の処分費も想定されます。
しかし敷地内で土を撒き均せる場所があれば、処分費が掛からない「宅内処理」となります。
残土の搬出処分は体積によって数千円~の費用(運搬・処分)が掛かりますので、想定しておきましょう。
また、植栽時に埋め戻す土は土壌改良を兼ねて培養土や堆肥混合土を使用しますので、この用土代もお見積りに含まれる事となります。
業者によって異なる生垣の費用掲示
生垣の価格については、業者様によって提示方法が異なる様です。
弊社では各部材価格や諸経費を分けてお出ししておりますが、全体(工事費含む)を含めて「¥〇〇/m」といったメートル単価で提示されるケースも多くあります。
明細が不透明な場合は内訳の掲示を求めましょう
大雑把に「生垣材料・樹木一式¥○○」といった提示を受けたとのお話も聞く事がありますが、あまりにも材料費や工事費などの明細が不透明な場合は、見積りの内訳をお求めになられるのが良いかと思います。
樹種のアドバイスをしてくれる業者様がおすすめ
生垣の設置を業者様へご相談される際は、ご希望の樹種が該当箇所への植栽に適しているかどうかをアドバイスしてもらうのが良いでしょう。
逆に樹種をお客様の選択に委ねられるケースもある様ですが、樹種は場所に応じて選ぶもので、葉や花の魅力だけでは選べないという現実があります。
むしろ生垣の場所に応じた樹種を的確に選んでくれて、注意点や短所も合わせてアドバイス出来る業者様ですと安心です。
生垣設置工事の費用内訳例
弊社の場合は生垣費用をお出しする際は、以下の項目の合計が総費用となります。
費用計算の仕組みとしてご参考下さい。
丸太・竹材一式(距離・高さに準ずる)
丸太の数は生垣の左右両端に必ず2本、その繋ぎは目安として1.5m~1.8m毎に1本を必要とします。
ですので生垣の距離が長くなれば丸太の数は増し、直線だけでなく屈折箇所や折り返しがあれば支点に必ず丸太が必要になります。
竹材も同様に、距離に応じて使用する本数が変わってきます。
植木代
生垣用の樹種は色々とありますが、安価な木は成長も速いシラカシやヒイラギモクセイ、モチノキが挙げられます。
反対に成長が遅いラカンマキ・ヒメシャリンバイ・キンメツゲ、ハーブの仲間であるギンバイカ等を使用すると価格は高くなります。
樹種により異なりますが植木代金は¥2,000~¥6,000)×本数(7~8本/1.8m)で構成される事がほとんどです。
植栽用土
用土費用は使用する量が既存土壌の状態によって変わります。
通常は堆肥混合土を庭土と混ぜながら埋め戻す形で行いますが、あまりにも既存の土が宜しくない場合は掘り出した土の全てが処分対象となり、埋め戻しの土は完全に新規の土を使用する事になります。
この点は現地調査~お見積りの際に判断して計上する事になります。
残土運搬処分費
敷地内で処理が出来ない余った土(残土)は搬出して運搬~処分対象になります。
宅内処理の可否についても現地調査時に判断の上、お見積りへ計上されます。
生垣設置作業の工事費(人件費)
この「工事費」の記載の仕方は業者様によって異なる事が多く、生垣の距離に応じたm単価であったり、別記載で「工事費¥〇〇」となっていたりします。
生垣工事だけを行うケースと造園工事の中に含まれるケースによっても異なり、施工場所の条件によっても上下される為、工事費については一概に決まっているものではありません。
目安としては1日で施工が可能な生垣であれば工事費は「~数万円」程であるのが一般的です。
諸経費
生垣工事に限らず計上される諸経費は、車両燃油費や消耗品代等が含まれます。
また、施工場所が遠方の場合は有料道路料金も加味して計上されます。
おおよそ全体費用の7%~が諸経費として加算される事が多いです。
生垣設置交付金(助成金)制度とは?
生垣は住宅街の景観向上に貢献する事から、設置要件を満たす事で自治体から工事費用の一部を助成金として受け取る事が出来ます。
生垣設置助成金についてはその有無や条件、金額も自治体によって異なりますが、生垣として満たすべき条件は似ている事が多いです。
助成金制度の利用申請は生垣設置工事前に
まず大前提として、助成金制度を活用する場合は生垣設置の計画時から申請をしておく必要があります。
工事を終えてからの申請で交付されるものではありませんのでご注意下さい。
これは生垣設置工事の前に、自治体によって生垣設置個所の確認を行う為であり、施工後の申請では助成金交付は認められません。
助成金の申請はあくまでも生垣計画の第一歩として認識しておきましょう。
助成金の交付条件の例
自治体が「生垣」と認める為には、以下の様な条件が設けられています。
こちらも自治体によって異なりますので、一例としてご参考下さい。
- 生垣とする植栽は相互が触れ合う程度に列植されている事
- 生垣となる部分の距離が2m以上ある事
- 生垣となる植え込みは90cm以上ある事
- 生垣は街の景観向上である為、設置場所は道路沿いである事(自治体によっては隣地境界部も可)
まずは生垣の設置を計画される前にこの条件を確認しておき、生垣設置の業者様へこれらを見込んだ設計を行ってもらう事が必要です。
自治体によって異なる助成金額
生垣設置の助成金額は距離1m辺りの単位になっている事が多く、このm単価はもちろん、上限金額も自治体によって異なります。
例えばm単価ですと渋谷区は¥25,000/m、葛飾区は¥13,000/mと、金額に差があります。
上限金額も大きく異なり、渋谷区・板橋区。豊島区の¥500,000に対して世田谷区は¥250,000が交付上限に設定されています。
金額についてはお住まいの地域の自治体へお問い合わせの上、資料やホームページから確認してみましょう。
生垣設置助成金制度の申請から交付まで
お住まいの地域の自治体によって異なりますが、生垣設置助成金の申請から交付までの流れを一例としてご紹介します。
多くはこの様な流れとなりますので、制度を利用した生垣作りのご参考としてご覧ください。
①自治体の窓口へ生垣設置を相談
生垣設置を計画した時点で自治体へ相談し、
- 生垣設置助成金制度の説明を受ける
- 必要書類を受け取る
- 自治体による設置場所確認の日程を決める
これらを行います。
制度を利用する生垣作りの第一歩ですので、最初に行っておきましょう。
②自治体担当者による生垣設置場所確認・撮影・計測
①で取り決めた日程で自治体により生垣設置現場の撮影や計測が行われ、助成金制度の要件を満たしているかの確認が行われます。
計画している生垣が助成金交付の対象になるかどうかの判断となりますので、大切なステップです。
③生垣の設置業者へ見積りの依頼
以上までのステップによって生垣設置助成金の対象となる事が確認出来たら、生垣設置について業者へ見積りを依頼します。
樹種についてはこの時に改めて相談するのも良く、環境や高さに適合する庭木を選んでもらいましょう。
④自治体へ必要書類(見積書含む)を提出~正式申請
業者により生垣工事の見積書と図面を受け取り次第、記入済みの必要書類と見積書・図面を提出し、正式に申請を行います。
⑤「決定通知」が届いたら生垣工事を開始
申請が受理されて決定通知が届いたら、生垣設置を行います。
④で申請した距離・高さと異なる事が無い様に、申請通りに工事をしてもらいましょう。
⑥生垣設置完了の報告~助成金の請求
自治体へ、生垣が設置された様子の写真や完了届等を提出します。
また、助成金の交付を請求する書類も出す場合もあります。
これらを提出の上、問題が無ければ交付金が指定口座へ振り込まれる事となります。
自治体への相談時にも、申請から交付までの流れを教えてくれる筈ですので、各自治体の方式に従って進めていきましょう。
まとめ
生垣費用の仕組みや設置助成金制度の利用例を解説してまいりましたが、如何でしたでしょうか。
生垣は多くの庭木を必要とする為、想像よりも費用が高いと思われるかもしれません。
しかし解説を致しました自治体の助成金制度を上手に活用すれば費用の一部を削減する事が出来ますので、生垣設置の際はまず自治体へ相談してみましょう。
執筆者:新美雅之(新美園HP作成・作庭者)
庭木や庭デザインについて、作庭者の経験を活かして現実的に解説をするコンテンツを目指し、日々執筆しています。
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