樹脂フェンスと同様に、後付けフェンスとして重宝されるハードウッドフェンス。
樹脂フェンスでも木目調の雰囲気を味わう事が出来ますが、やはり本物の木材の持つ自然味には敵いません。
その優しい雰囲気は植栽との相性が素晴らしく、どんな庭木も引き立ててくれます。
こちらのページではウッドフェンスの特徴やメリットの解説の他、施工風景や施工例の一部もご覧いただけます。
目次
ウッドフェンスとは?
一般的にウッドフェンスと呼ばれるのは、南米などが原産地である高耐久性木材を使って作り上げたフェンスです。
樹脂を豊富に含んだ樹種が多く腐食を起こしにくい事が特徴で、耐用年数も非常に長い木材です。
良く使われる樹種はイペ・イタウバ・ウリン等が代表的であり、フェンスに限らず建物構造材やウッドデッキの材料としても重宝されています。
道路沿いに設置すればお住まいをナチュラルに演出出来る他、雑木の庭・ナチュラルガーデンとの相性は抜群と言えるフェンスです。
ウッドフェンスのメリット
天然の木材を使うハードウッドフェンスは、近年目隠しフェンスとしての人気が出てきております。
そんな再注目を受ける、目隠しウッドフェンスのメリットを見てまいりましょう。
高い耐久性
ウッドフェンスの施工・設置をプロへ依頼した場合、ほとんどの場合はハードウッドと呼ばれる高耐久性木材を使用します。
ハードウッドはウッドデッキ材としても使われる木材で、原産国である南米では橋脚として水中へ沈めて使用したり、頻繁に水濡れするプールサイドのデッキで使用されます。
切断面も樹脂を多く含んでいて滑らかで、選ぶウッド材によってはささくれもほとんど起こらない安心なフェンスになります。
ウッドフェンス用として代表的な木材であるイペやウリン等の耐用年数は20年~とされ、頼れる屋外用資材として世界中で使われています。
硬質で頑丈
木製フェンスは柔らかく弱い、といった印象をお持ちのお客様もいらっしゃいますが、実のところウッドフェンスは最も頑丈なフェンスではないかと考えます。
ウッドフェンスに使う木材は、ウリン・イタウバ・イペなどが有名ですが、これら木材は樹脂を多く含む為に腐食が起こり難く、重量もある頑丈な木材となります。
施工の際にお客様にお試しいただく事もございますが、お持ちになられてその重量に驚かれる事も多いです。
組み立ての際に使用するビスも硬質木材用のもので、組み上がったフェンスは非常に頑丈になります。
その為、仕上がったウッドフェンスへプランターを掛けたりして植物を飾る事も可能となります。
植栽と一体化するナチュラル感
ウッドフェンス自体に華美な印象はありませんが、植栽がメインのお庭ではこれ以上に無いマッチングを見せます。
特に雑木類を主としたナチュラルガーデンでの相性が良く、その存在はお庭に欠かせないフェンスとも言えます。
また、道路側へウッドフェンスを施工した際はお庭側が裏面となりますが、やや陰の差した裏面も美しく感じられます。
雑木類が落葉する冬におきましても繊細な枝がウッドフェンスによって浮き上がり、和風とは異なる自然な風情を感じる事が出来ます。
ウッドフェンスの設計で注意したい事
ハードウッドは目隠しフェンスとして組みあがった際の重量が大変重い為、弊社では高さ1.6m程度までのサイズの施工を承っております。この程度の高さであれば目隠しフェンスとしては充分に機能しますので御了承下さい。
それ以上の高さとなりますと、角材もより太い物を使う必要が生じ、基礎工事も大掛かりになります。
また、場合によっては既存の構造物との接合・連携が必要になります。
ですので目隠しとしてウッドフェンスを設計する際は、必要な目隠し高を最低限にカバーできるサイズとするのがお勧めです。
ウッド材・スタイル別:ウッドフェンスの施工イメージ
ウッドフェンスに使用される木材は多岐に渡りますが、ここではお勧めの材を使ったウッドフェンスの施工イメージをご覧戴きます。
イタウバ材のウッドフェンス
イタウバはブラジル原産のクスノキ科の広葉樹で、現地では水中でも耐える材として使われており、近年のヨーロッパにおいてはイペ材などと同様の高級材として広く使われています。
密度も高い為、切断加工面も平滑で美しく仕上がるのが特徴で、何よりも手触りの心地良いウッドフェンスになります。
このイタウバの質感はささくれが起こり難いというメリットもあり、その安全性からウッドデッキにも多用されている木材です。
ウッドフェンスの隙間を広く空ければ、軽やかな雰囲気に
頑丈な木材であれば、こちらの様に板材の隙間を広く空けたウッドフェンスも作る事ができます。
目隠しフェンスとは言えませんが、さほど目隠しが必要なかったり、風通しの良い環境を作りたい場合にお勧めのウッドフェンスです。
低く構えるおしゃれなローウッドフェンスにも
駐車スペースとお庭の境界を区切る為に施工した、ロータイプのウッドフェンスです。
お庭の土面が見えなくなる程度の高さですが、これだけで景観が落ち着く事がお解かりいただけると思います。
材料も最小限で設計できますので、お庭作りに併せてお勧めしたいウッドフェンスです。
完全な目隠しとしての設計も
浴室前の目隠しフェンスとしてイタウバ材によって組み上げました。まるでフローリングの様な見た目の目隠しフェンスとなり、浴室からの眺めも一変しました。目隠し効果と景観向上を兼ね備えており、フェンスに合わせたコハウチワカエデとの一体感が美しい眺めとなりました。
木目模様が美しいサイプレス材
サイプレス材はヒノキ科に分類され、アロマオイルに利用されるなどヒノキ特有の芳香があります。ウッドフェンス・デッキ材としても重用され、特に虫を寄せ付けない特性が注目されています。何よりも木目模様が美しく、イペやイタウバと比べて安価である事もメリットとなります。
サイプレス材の隙間を広く空けたローウッドフェンス
サイプレス材も頑丈ですので、隙間を広く空けたウッドフェンスを作る事が出来ます。
目隠しフェンスとは異なりますが、この様なウッドフェンスであればさりげない境界を作る事ができ、お隣様へ圧迫感を感じさせる事もないのでお勧めです。
ウッドフェンスの施工風景
ウッドフェンスはサイズも形状も様々ですが、こちらでは手軽にお庭へ取り入れられるロータイプのボーダーフェンスの施工風景をご紹介します。
柱材の据え付け
ウッドフェンスの骨組みとなる柱材は、40cm程掘削した中へ立て付けてコンクリートで固定します。
ローウッドフェンスなら柱材を無駄なく設計
ローウッドフェンスであれば柱材の長さは短くて済みます。高さ1m程度のフェンスであれば、埋め込み分を含んで1.4mあれば十分です。ですので計算上は2.8m程の材が1本あれば2箇所分の柱を確保できます。自由設計のウッドフェンスであれば、設計と節約を同時に進める事が出来ます。
笠材の取り付け
コンクリートが硬化したら、柱同士を天端で繋ぐ笠材を取り付けます。木材は施工後に暴れる(ねじれる)ものですので、開きが起きない様に2箇所ずつビス留めを行っておきます。
笠材の付いたウッドフェンス。笠材の役割はほぼ見た目ですので、必ずしも必要なものではありません。ですが1枚の笠材があるだけで、完成したウッドフェンスの見た目はとても立体的になります。
目隠し板材の取り付け
笠材に続いて上から順に板材を打ち込んでいきます。ウッドフェンスと樹脂フェンスの違いはこの工程に現れます。ウッドフェンス材は曲がっているものが必然的に含まれており、この矯正に力が必要となります。打ち手と持ち手に分かれ、持ち手が矯正をしている隙にビスを打ち込む、といった作業を繰り返します。
全ての板材を打ち込んでウッドフェンスが完成となります。
全ての板材を打ち込んで、ウッドフェンスが完成となります。板材は一つ一つ色味が異なりますので、フェンスとして使う場合は似た色が並ばない様に仕分けをしながら施工します。
配色に気を付ける事でバランスの良い色合いのフェンスが完成します。
ウッドフェンスの施工実例ご紹介
目隠しフェンスとしてはもちろん、ウッドフェンスであればお庭の添景物としてもおしゃれです。既存の木や、新規の植栽に合わせた施工例がございます。
ウッドフェンスなら、目隠しと同時にナチュラルガーデンを更に引き立てる効果が
道路とお住まいとの距離が近くお庭の背景も必要なケースですが、意外とよくあるシチュエーションでもあります。目隠しフェンスはその存在感が大きい為、お庭との相性、お住まいの景観を意識して設置したいものです。こちらのウッドフェンスはナチュラルガーデンと一体化するフェンスとして設置を致しました。
目隠し効果を持ちながら、光と風を取り込むウッドフェンス-板橋区N様邸
マンション専用庭と隣地駐車場をソフトに目隠しするウッドフェンス
マンション専用庭をお持ちであれば、外の庭空間を思い切り満喫したいものです。ですが環境によっては共用部や通路、隣地に面しており、落ち着いてお庭に出られないケースも。
こちらのお庭では、隣地の月極駐車場との境界をウッドフェンスによって程好く区切っています。やや広めに空けられた隙間からは、陽の光や風も自然に通ってきます。
マンション専用庭を目隠しウッドフェンスと雑草対策の施工で快適に-柏市O様邸
ウッドフェンスなら借景を更に美しく見せます
こちらのお庭では、目隠しといいますより「アクセント」としておしゃれに見せるウッドフェンスを施工。背後は美しい竹林となっており、これをお庭の背景として取り入れる構想でした。
そこで低いウッドフェンスを設置する事で境界にアクセントを付けて背後の竹林をより美しく見せ、同時にお庭も引き立てました。
圧迫感の無いローサイズのウッドフェンスであればお庭のあらゆる部分にマッチしますので、アクセントを付け加えるのにも有効な方法です。
>>ウッドフェンスの施工例一覧ページはこちらからご覧いただけます。
ウッドフェンスのまとめ
ウッドフェンスの魅力について触れてまいりましたが、如何でしたでしょうか。
人工素材では表現できないウッドの美しさは代え難い魅力ですが、防腐剤の塗布等、維持メンテナンスが必要である事も重要です。
小規模であればDIYも可能でありますし、是非ウッドフェンスをお庭に取り入れてみては如何でしょうか。
ご依頼について
目隠しフェンスを設置するならナチュラルな雰囲気が良い、とのお考えであればウッドフェンスの設置がおすすめですので、お問い合わせ方法をご参照の上、是非ご相談下さいませ。
まずは現状の拝見からご相談の上、より良いご提案をさせていただければと思います。
執筆者:新美雅之(新美園HP作成・作庭者)
庭木や庭デザインについて、作庭者の経験を活かして現実的に解説をするコンテンツを目指し、日々執筆しています。