今回は、前回ご紹介をさせていただきました「葛飾区H様邸造園工事 格子フェンスで囲まれた空間に、蹲のある和風の庭を」の記事に引き続き、道路沿いの花壇へ植木を植えた植栽作業の様子をご紹介致します。
フェンス内側の造園工事はお住まいの中より楽しむ空間でございましたが、こちらの花壇への植栽はお住まいのイメージを左右する大切な部分となります。
道路沿いの風景が殺風景にならない様、お客様のご配慮よりご近所の方々にとりましても気持ちの良い緑を取り入れる為、植木を植栽するに十分な大きさの花壇が設置されておりました。
今回はこちらの花壇へ様々な植木を植栽していきます。
まずは花壇の角へシマトネリコを植栽します。
背後のフェンスは敷地内の和風のお庭との境界となっており、内部のお庭がほんの少し見える作りとなっています。
出入り口付近や駐車場などには適さないシマトネリコですが、この環境なら歩行の妨げにもならず、柔らかく背を伸ばしていく事が出来ます。
シマトネリコに続き、花壇中央付近へヤマモミジの株立ちを植栽します。
本株物で自然にやや曲がった樹形ながら、住宅地に適した端正な作りのヤマモミジです。
生長を踏まえ、シマトネリコとの位置関係を調整して植栽します。
庭園灯を挟み、常緑樹でありますホンコンエンシスを植栽しました。
シマトネリコやヤマモミジの樹形とは一風異なり、直幹でクセの無い素直な樹形となります。
常緑樹に分類されてはおりますが、北風の抜ける場所などでは冬季の落葉も多くなります。
半分ほどは葉を落とす事を想定しておくのが良いでしょう。
主要な立ち木の植栽を終え、足元の低木類を決めていきます。
日当たりの良好な角、シマトネリコの足元にはゴールデンモップを。
濃緑と黄色のコントラストが角に配され、遠めに見ても色彩が際立ちます。
植栽中ほどには五色南天の寄せ植えを。
秋口~冬季にかけて赤みが混じり明るい雰囲気になります。
庭園灯を包む様に寒椿の這性を寄せ植えします。
消毒散布等のメンテナンスを行っておけば、冬季も艶やかな濃緑を保ち、花も見せてくれる低木です。
角には締めくくりとしてプリペットゴールドを植栽致しました。
柔らかな枝に小さな葉が黄色く付いた容姿は、花壇にボリューム感を与え、周囲の植栽の緑色をより引き立ててくれる効果があります。
高木に風留めを施す際は、それぞれに竹を3本結束する八つ掛けが一般的ではございますが、こちらでは景観上竹が目立ってしまう事が無い様に、横方向の竹に植木を結束していく工法をとっております。
植木と結束した竹が動かない様、地面へ打ち込んだ竹とも結束します。
こうする事で前後左右の動きに耐える事が出来ます。
一通りの植栽施工作業を終えた花壇の様子です。
色、形、それぞれ異なる趣向の植木を合わせた構成の植栽です。
フェンスが目立ちすぎると固い雰囲気が先行してしまいますが、シマトネリコの柔らか味を合わせる事で優しい雰囲気になるのがお解かりいただけると思います。
花壇の両端は黄色で締め、やや奥に紅花トキワマンサクの赤色を入れる事で視線を花壇の奥へ誘います。
横方向に設置した風留め竹も目立ち過ぎず、風が通り抜ける道路沿いの植木を補強します。
近隣の方々にとりましても気持ちの良い花壇の風景になったのではと思います。
花壇の形状は様々であり、建築計画上の理由から大きな花壇を設置せざるを得ないケースもございます。
大きな花壇には大きな木の植栽で効率よく自然な風景を作るのがお勧めです。
小さな木をたくさん植えてしまうと、思いのほか数が必要であったり、後で植木同士が絡み合う事もあります。
その対策の為に切り詰めてしまう事で、樹形が全て不自然になってしまう事が考えられます。
それなりの大きさの木を、少数で自然に生育させてあげる事が、住宅地での景観づくりにおいても大切です。
お困りの方は是非ご依頼をいただければと思います。
それでは失礼致します。