今回は足立区のO様邸にて行いました、剪定作業のご紹介です。
O様邸のお庭は弊社が数年ほど前に造園をさせていただき、以来毎年一度剪定をさせていただいております。
作庭当初は植栽それぞれの間に空間があり、「配置」された様子が感じられますが、
剪定作業によってお庭全体のバランスを重視して庭木を整える事により、種類は違えど植栽同士にも共通した雰囲気が出てきます。
同じお庭の中の木でも、目隠しであったり背景であったり、あるいは主役であったりと、役割によって手の付け方は大きく変わります。
伸びた部分を切り詰めるのみのカットは、その木が持つ良くない特性を助長することに繋がりかねませんので注意が必要です。
剪定前のシラカシの列植です。
生垣とは異なり、幅の広い株立ち物を3本植栽した構図になっており、隣家様を程よく隠す目的で植栽されております。
植栽当初に比べ、度々の剪定により幹も太くなり、スケールもカシらしく増してきております。
剪定を終えたシラカシの様子です。
ちょうど病虫害(特にイラガ)の発生時期になっておりました事もあり、やや強めの剪定によって風通しを優先させました。
シラカシは葉が長いので、枝が混み合うと簡単に風を止めてしまいます。
中が群れますと成長中の落ち葉も多くなり、幹下へ堆積してしまい、それがまた虫の発生を誘引してしまう事もあります。
常緑樹の落ち葉は腐りにくい為、いとも簡単に5センチ以上の層になってしまいます。
こちらは植栽時より手を付けず放任したチャボヒバです。
こちらはこの高さをそのまま活かした剪定を施していきます。
若干高さを詰めて頭を形成し、枝数は半分程へ減らして整えた様子です。
以降は刈り込みによる剪定を中心としていき、シルエットが明確な木にしていこうと考えております。
こちらはキャラ、サツキ、背後のキンモクセイを刈り込み剪定によって整えた部分です。
サツキなど低木を刈り込む場合は、出来るだけ低い姿になる様心がけます。
背丈が低い程、葉の内側の陽のささない部分の容積が少なく済み、何よりも低木らしさを感じられます。
低く抑えられたサツキの姿は、欠かす事無く剪定をされている証でもあります。
こちらは蹲周りの庭木です。
付かず離れずの間隔で、陽樹陰樹を配置した空間です。
庭木それぞれが好む環境へ近付ける様に、剪定を施していきます。
剪定を終え、低木や下草まで光が届くようになったのがお解かりいただけると思います。
右手奥に見えるツバキは、メイン背景として刈り込み成形を施してどっしりとした印象に。
刈り込みを深く施す事で葉の層を薄くして病虫害を最大限避けられる様にしますが、消毒散布は必須です。
中心奥のヤマボウシは枝を減らす事を主として、枝の柔らか味を損なわない様に注意します。
硬い枝を表面に見せてしまうと、必ずすぐに硬い枝を再生してしまいます。
ミツバツツジやシダレモミジは、無用な枝を省くのみとし、手を付けなかった様な姿に見える様に剪定します。
灯篭や手水鉢がひっそり佇んで見える様に、詰めすぎない剪定が大切な部分です。
お庭の部分部分に目を向けますと、庭木に求められる姿形も変わってきます。
同じ種類の庭木でも場所や用途によって姿を変える事は出来ますし、共存する庭木によっても違った配慮が求められます。
庭木一つ一つにとらわれず、場所そのものを考慮した剪定プランをたててみるのが良いと思います。
それでは失礼致します。
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