中野区N様邸には道路に面した花壇が2つ設けられており、一つは玄関脇、もう一つは駐車場横に位置しておりました。
今回は玄関側の花壇にシンボルツリーや低木で魅せる植栽デザインを施し、駐車場側花壇へは程良い目隠しと緑化を意識した植栽を行う事となりました。
玄関アプローチに接するこちらの花壇へは、シンボルツリーとしてアオダモをチョイスしております。
よく見掛ける株立ち樹形とは異なり、こちらは単幹(1本立ち)のアオダモを寄せて植栽し、アオダモらしいナチュラル感をより表しております。
均整の取れた株立ち樹形ですと庭木の方向性を表現する事が難しいのですが、この様な自然な単幹樹形を使う事で玄関アプローチ側へ傾いでいる雰囲気を作り出せます。
シンボルツリーの樹高は3m程ありますが、アオダモ特有の枝葉の少なさにより、軽やかで圧迫感を感じない植栽が実現出来ています。
2本の木を寄せ植えしたアオダモは、幹同士に適度な距離感が感じられ、より自然群生に近い雰囲気を味わえます。
寄せ植えの際、株立ち樹形に見せる様な植栽例を見る事もありますが、本来樹木は1本幹の木が群生して木立となり、全体として自然な森の姿となっています。
これを習えば1本幹の庭木は最も自然な木立を演出する事に向いており、幹の角度や距離感を工夫してナチュラルな植栽に見せる事が出来ます。
この寄せ植えを行う場合は樹高を揃える必要はなく、むしろ日光に近い側の木を高くしておく等、あくまでも自然に習ったレイアウトを行うのが基本となります。
シンボルツリーはアオダモとしておりますが、副木としてヒメシャリンバイを添えています。
ヒメシャリンバイは木立性の低木という位置付けが出来る庭木であり、比較的容易に樹高を低く維持する事が可能です。
その他の低木しては常緑種のマホニアコンフューサを始め、落葉樹であるシロヤマブキも合わせています。
この2種類の木は低い樹高ながらもナチュラルな風情が感じられ、雑木の足下に添える他、低木の自然群生を表現したい時にも活躍します。
しかしシロヤマブキは特に夏の日差しに弱く、日差しがよく当たる場所ですと葉が赤く焼けてしまいます。
こちらも自然に習い、木が作り出す木漏れ日の場所へ植えてあげるのが良いでしょう。
こちらの花壇は駐車場の横へ位置し、道路にも面している花壇です。
シンボルツリーとは異なり、程良い目隠しや、外壁にグリーンを添える役割を持たせた植栽と言えます。
長方形の広い花壇は草花を楽しむ事が難しく、むしろボリュームのある庭木レイアウトを行った方が景観面でもメリットが多くあります。
広い花壇への植栽は外壁と庭木の緑が融合され、遠くから眺めた際のマッチングがとても美しいものです。
駐車場の開口部を程良く塞ぐ様に列植した白花トキワマンサクです。
ベニバナ種と異なり葉色が瑞々しいグリーンであり、軽やかな雰囲気を出したい場合には白花トキワマンサクがおすすめとなります。
生垣を組んでしまいますと、庭木というよりは緑の壁といった位置付けとなりますので、軽快な雰囲気を残したい場合は庭木同士の隙間を空けた列植がおすすめとなります。
こちらはシラカシの株立ちを2株並べて植えており、離れて見ますと細い幹がいくつも立ち上がっている様に見えます。
シラカシは里山に自生する姿も見られる身近な雑木であり、剪定をきちんと行っていれば冬季も葉が残るナチュラルな庭木とも言えます。
シラカシのメリットは樹高を容易に高く育てられる事が挙げられます。
3~4mの高さまで緑を添える事も簡単に行え、場所に余裕がある場合の緑化に最適であり、外壁一面に緑を充実させる事が可能です。
しかし外壁に近い場所への植栽時は、定期的な枝透かしを行って内部の風通しを良くしておく事が必須です。
アブラムシが発生すると外壁まで黒く汚れてしまいますので、基本的な庭木メンテナンスが必要である事を予め認識しておきましょう。