A様邸のお庭は広く、植栽施工前は芝生だけが張られた状態でした。
庭は広々としているものの隣家様との距離が近く、庭にいてもお隣様の外壁や窓に囲まれた感覚があり、月極駐車場も隣接しているという状況でした。
そこで今回は「目隠し効果」を主とした植栽を行う事となり、
・樹種は豊富に植える
・高い位置の目隠しも行う
といった事を大切に植栽のご提案をさせていただきました。
門から庭へ入ると、多彩な色合いの庭木が出迎えます。
様々な種類の庭木が植わっておりますが、隣接して植栽をする「列植部」については同種の庭木を寄せる必要があります。
自然に庭木の幅が広がってきた際、ぶつかり合っても違和感を感じず幅広い木として見せる事が出来る為です。
異なる樹種はやはり1m~の空間を設け、いわゆる生育幅を想定しておくのが良いでしょう。
目隠し効果を持たせる常緑樹が中心となっていますが、手前のみ落葉樹であるハナミズキを植栽しています。
ハナミズキは樹形維持がしやすい落葉樹であり、花や紅葉により庭に季節感を感じさせてくれる存在ですので、樹高3mクラスを1本取り入れる事になりました。
落葉期にはハナミズキの葉が落ちて透ける事になりますが、その後ろは全て常緑樹となっており、背景がしっかりとした景観を保ちます。
正面から眺めれば庭木同士の間隔は目立ちますが、自然に斜めから眺めればこの様に緑濃い景観となります。
最奥には樹高3mを超える紅花トキワマンサクを植栽しており、紅色の葉が美しい色彩変化を演出しています。
花期には紅色の花が全体に咲き、庭の主役として楽しませてくれる事でしょう。
高さのある目隠し用の庭木を植えたいものの、圧迫感やメンテナンスの心配をされるお客様は多くいらっしゃいます。
しかしこのソヨゴの様な庭木であれば、しっかりとした葉密度を保ちながら圧迫感も関しにくく、成長も比較的緩やかでローメンテナンスと言えます。
樹高3~4mクラスの木をお探しする事も比較的容易で、逆にコンパクトなソヨゴを大きく育てるのは年月を要します。
成長の速い樹種と比べますと価格も高いと言えますが、庭木で想定外のメンテナンスが必要になる事は後々の大きな負担となります。
ローメンテナンスで長持ち、しっかりとした目隠し効果を得るにおすすめの選択と言えるでしょう。
強い目隠し効果を持ちながら花も楽しめる常緑樹というのは、意外と樹種も限られてきます。
一昔前であればツバキ類がその代名詞として親しまれてきましたが、近年では庭木の害虫予防を徹底する作業をご自身で行う事は難しく、害虫の付きやすいツバキ類はあまい扱わなくなりました。
そこで今回は花も楽しめる常緑目隠しとしてフェイジョアを選択しています。
フェイジョアは樹高は1.8m程の規格が主に流通しておりますが、お探しをすればこの様な樹高3mに近い規格もご用意する事が出来ます。
今回の様に広いお庭であれば、成長によってさらに横幅を広げていく事も可能で、樹高が高い程に成長もやや緩やかになる恩恵も受けられます。
芝生や洋風の建物との相性も良く、今回はお庭で一際存在感のある目隠しとして植栽しています。
建物に隣接する植栽スペースには、ご希望をいただいておりましたヒメシャラを植えています。
樹高は4m~を有しながら幹も細く枝の繊細な樹形をご用意しております。
目隠しの不要な場所にナチュラル感のある庭木を取り入れる事で、庭全体の景観バランスを整える効果も期待できます。
特にこのヒメシャラは道路から眺めてもお住まいとの一体感が美しく、建物に寄せたシンボルツリーとして位置付けています。
テラスから庭木の緑を存分に感じられる様に、こちらも常緑樹の植栽を中心にレイアウトを行っています。
目隠し効果はもちろん必要でありますが、リビングからも目に入る大切な場所であります為、花の楽しめる庭木も存分に取り入れています。
手前には既にしっかりとした樹形を持つギンバイカを植栽し、奥に常緑ヤマボウシ(ホンコンエンシス)の列植、そしてオガタマ(ポートワイン)の植栽が続きます。
葉の色が異なる庭木をテンポよくレイアウトする事でより色彩豊かなお庭となり、肝心な目隠し効果もしっかりと取り入れる事が出来ました。
更に庭の奥へと続く眺めですが、こちらは駐車場からの目隠しを目的としたシラカシの列植でまとめています。
シラカシと言えば苗木を列植して生垣を形成する事もありますが、今回はある程度の樹高を有するシラカシを間隔を持たせて並べています。
あくまでも「生垣風」といったレイアウトと言えますが、成長によって完全な壁にはならない様に、1株ずつを剪定維持する植栽計画となっています。
シラカシについては成長力があり、出来れば害虫を予防するメンテナンスも必要な点も想定しておきたい庭木です。
無理な密植を行うと後々のメンテナンスに苦労する庭木ですので、維持管理を想定した本数に留めておくのが良いでしょう。