世田谷区S様邸は建物横の通路に雑草が生えやすく、日陰に順応するシダ類やササ類の発生が特に問題となっていました。

今回は隣地境界部や建物の真裏、そして横の通路に至るまで防草シートと砂利敷きによる雑草対策をご検討されており、弊社に施工をご依頼戴く事になりました。

尚、今回は雑草対策に併せて花壇の植栽リフォームも行っており、こちらについては玄関アプローチ沿いの花壇でシンボルツリーのソヨゴが揺れる、小さなロックガーデン-世田谷区S様邸にて解説をしております。

雑草対策施工前の様子

シダ類やドクダミが生い茂る日陰通路

シダ類やドクダミが生い茂る日陰通路

雑草は陽当たりの良い場所で旺盛に成長するものですが、この様な日陰でも環境に応じた雑草が多く繁殖してきます。

日陰に見られる雑草としてはドクダミやシダが挙げられ、これらは背丈を伸ばすというより増殖が激しい為、あっという間に地面を覆ってしまうのが厄介です。

また、増殖を伴うという事はまず根が地中に蔓延ってしまうタイプである為、地上の草部を引き抜いても根は全くダメージを受けずに生き続け、除草作業に終わりはありません。

ですのでこの様な繁殖系の雑草については「駆除」よりも「封じ込める」事が有効であり、防草シートと砂利敷きによる対策が最も適しているという事になります。

砂利自体に防草効果は無い

まず大切なのは砂利自体に防草効果はほとんど無いという点で、よほど分厚く堆積させる様な敷き方でない限り、砂利を敷いただけの地面からは必ず雑草が生えてきます。

今回も地面の上に防草シートを敷かずに直接防犯砂利が撒かれた箇所が多く、この間から多くの雑草が発生していました。

砂利の中から次々と発生する雑草

砂利の中から次々と発生する雑草

雑草が必要とするのは「日光」であり、これさえ届けば砂利の隙間は容易に抜けて地上へ出てきます。

特に日陰に順応する雑草は僅かな明るささえ感じ取れば地上を目指して伸び続け、柔らかい茎部は容易に砂利の隙間を搔い潜ってくる訳です。

この点、防草シートであればまず「雑草が必要とする日光を遮断」する事ができ、これが根本的に生育を妨げる効果に繋がります。
これに加えてシートが物理的に地面を塞ぐ事によって、雑草を大幅に抑制する事が出来る訳です。

地面に直接砂利を撒いてしまうデメリット

防犯砂利を抜けて雑草が繁茂した状態

防犯砂利を抜けて雑草が繁茂した状態

砂利を封じ込める為に地面へ直接、防草シートを敷かずに砂利を敷いてしまう例は少なからず見掛けます。

土の上へ砂利を撒いてしまうと、まず以下の様なデメリットが生じますので注意しましょう。

普通に雑草が生える

まずこれが最大のデメリットであり、雑草を防ぐつもりで砂利敷きを行うも、元も子もないという結果になります。

上で説明の様に僅かな日光さえあれば雑草は砂利の隙間を抜けて地上へ出てくる為、砂利敷きを行う前と変わらない状態になってしまいます。

しかし先述の様にかなりの厚さ(15cm厚~等)で敷き込めば雑草も生えにくくなるかもしれませんが、砂利の必要量も通常の3~4倍に達し、搬入労力もコストも並大抵では収まらなくなります。

除草作業が困難になる

ただでさえ労力を要する除草作業も、雑草と砂利が混じった状態になると更に困難を極めます。

雑草と砂利が共存していると雑草だけをつまむ事が困難になり、引き抜き作業に時間がかかる様になります。

また、鎌を使って地中の根を切る作業においても砂利が邪魔になってしまい、鎌が地面に入らなかったり鎌と砂利が接触して刃がどんどん傷んでしまう事にもなります。

撒いた砂利が消えてしまう

土の上に直接砂利が接触している状態になると、砂利は次第に土の中へ沈んでいってしまい、いつの間にか砂利が消えていってしまいます。
つまりコストを掛けて敷いた砂利が全く無駄になるというデメリットです。

本当に消えている訳ではなく正確には土と砂利が混ざっている状態になる為、砂利混じりの地面はどんどん硬くなり、雑草を引き抜く際も力が必要になってきます。

これを防ぐ意味でも砂利と土面の間に防草シートを介する事が効果的であり、砂利がいつまでも土に潜らずにいてくれるのは防草シートのお陰に他なりません。

整地作業

雑草除去と整地を行った通路

雑草除去と整地を行った通路

ある程度の雑草を除去し、地面を平らに整えた様子。
地面を整地する事で防草シートにシワが寄ってしまう事を防ぎ、砂利や砕石を均一に敷き詰められる様になります。

地面に凹凸があると砂利が厚くなる部分が生まれ、その分多くの砂利が必要になってしまうというデメリットも生じます。

散水栓周りの状況

散水栓周りの状況

建物周りの通路には点検口や散水栓、水道メーター等あらゆる設備が存在し、これらの周囲の整地は特に気を遣う事が大切です。

例えば写真の様に設備が埋まっている状況で、この地面の高さのまま砂利を敷いてしまうと散水栓が砂利に埋もれてしまいます。

これを防いで砂利敷きを美しく見せる為、この様な設備の周囲は地面が少し下がる様に整地する必要があります。

散水栓周囲の高さを下げた整地

散水栓周囲の高さを下げた整地

設備周囲の高さを下げる様に整地した状況です。

散水栓や点検口が地面から少し飛び出ている様なイメージで仕上げる事により、地面に砂利を敷いた際の仕上がりが散水栓と同じ高さになります。

こうすれば設備類が砂利の中にハッキリと目視出来て機能も損なわず、フラットで安全な仕上がりとなります。

防草シートの敷設

防草シートの敷設状況

防草シートの敷設状況

防草シートについては不織布製の頑丈な製品がおすすめであり、強い雑草の突き破りや劣化を起こしにくい点で優れています。

どんな防草シートでも劣化そのものは免れませんが、仕上げに砂利を被せる事で紫外線から保護され、耐用年数が大幅に向上する事になります。

室外機は都度僅かに持ち上げながら下へ防草シートを通しており、仕上がりとしては防草シートの上に室外機が乗っている様なイメージにします。
室外機はある程度以上に動かすと配管や配管カバーを破損する恐れがあり、必要最低限のレベルで動かす事が重要です。

設備を避ける様に防草シートをくり抜く

設備を避ける様に防草シートをくり抜く

建物周りには埋設物とは異なる配管類も多く存在し、写真の様な電線カバーなども含まれます。

これらについても避ける様に防草シートをくり抜いていく必要があり、細かい事ですが防草効果に影響が出る部分と言えます。

散水栓や点検口周りの防草シート

散水栓や点検口周りの防草シート

各所設備に合わせて防草シートをくり抜いて敷設した様子です。

ここまでの作業過程によって防草シートは平らになっており、砂利を敷く際に厚すぎな部分が生じてしまう事もありません。
この様なフラットな地面になって初めて砂利の面積計算が適合する事になり、凹凸のある地面のままですと計算した筈の面積分よりも多くの砂利が必要になってしまいがちです。

防草シートから散水栓フタや点検口が飛び出している様に仕上げられており、この状態から砂利敷きを行えば綺麗な仕上がりとなります。

砂利敷きによって雑草対策施工が完成

歩きやすく美しく仕上がった砂利敷き通路

歩きやすく美しく仕上がった砂利敷き通路

フラットに整地された防草シート面へ砂利を敷き込み、雑草対策が完了した建物脇通路の様子です。

敷き詰められた砂利はいわゆる「砕石」であり、化粧砂利と異なりコストパフォーマンスに優れたマルチング材です。
しかしこの砕石にも様々な種類があり、白斑が入ったものや粒が不揃いなものも良く見られます。
弊社の場合は砕石でも見た目の綺麗なものを使用しており、「グレーの砂利」といった様なクオリティを感じられます。
粒径も揃い色むらもありませんので、通路全体に敷き詰めた際はこの様な綺麗な仕上がりとなります。

隣家様と接触する部分も美しく雑草対策

隣家様と接触する部分も美しく雑草対策

こちらの敷地区割りは隣家様がかなり接近している為、特に明確な敷地境界は設置されておりません。

この為通路が共用の様な位置付けになっており、今回の雑草対策は両方の建物に砂利敷きが接触する仕上げとなりました。

お隣様同士雑草の発生が大幅に抑制される他、砂利敷きの効果によって水たまりやぬかるみも無く、建物への泥跳ねに悩まされる事も無くなりました。

設備周りの砂利敷き仕上げ

設備周りの砂利敷き仕上げ

整地作業の解説で触れました部分の仕上がりです。

散水栓と砂利敷き面の高さが同じとなり、段差もなく設備の目視や使い勝手にも支障の無い仕上がりになっています。

歩いた際も段差を感じる事も無く、雑草対策の砂利敷きを行う上で歩きやすさは最も大切な事と言えます。

道路面へ砂利がこぼれない仕上がり

道路面へ砂利がこぼれない仕上がり

設備周りの際と同様に、道路への砂利流出が起こらない様に思慮する必要があります。

こちらについても境界縁石よりも低いレベルまで地面を削って低くしており、そこへ防草シートと砂利敷きを施しています。

敷地内にしっかりと砂利が留まる仕上がりになっており、ゆっくり歩み入るケースであれば砂利が散らかって道路へこぼれる事もありません。

雑草の抑制に重きを置くのが雑草対策ではありますが、やはり実用性と景観面を兼ね備えた施工を行う事が大切と言えるでしょう。

施工事例の動画版はこちら

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