以前にご紹介の雑草が生えやすい建物周りの通路へ、防草シートと砂利敷きによる雑草対策を-世田谷区S様邸の際、玄関アプローチ沿いの花壇への植栽デザインも施工させていただきました。
小さな花壇、そして道路にも面している環境では、植栽について樹種選びが非常に重要となってきます。
安全面を重視したい、道路沿いの植栽
植栽リフォーム前の花壇には、ソテツが2本寄せられていました。
陽当たりも風通しも良く、乾きやすい土壌というのもソテツにとっては適合するのですが、とにかく葉が成長すると幅を取り、尖った細葉に接触すると傷みを伴うというのが問題となります。
ソテツは本来離れて鑑賞する遠景向きの植物である他、360度開けた空間上に植栽しないと葉の展開に偏りが見られ、太い幹でもゆっくりと曲がってくる、傾いてくる、という事が起こり得ます。
とにかく道路を歩かれる方に危険が及ぶのが宜しくありません為、まず葉の尖った植物を選択するのは避けるのが賢明です。
特にソテツは葉の長さを切り詰めると景観も違和感が生じる為、とにかく道路側への安全が確保できる植栽選びを行いましょう。
花壇の場所に応じた植栽プランニングを
植栽デザインが整った花壇の様子です。
今回のご提案では懸念事項としてまず以下の3点、
- 植木の根鉢を収める容積が小さく乾燥も速い
- 背後にウォールがある
- 道路に面している
これらを明確に挙げつつ植栽計画に照らし合わせる様にしました。
まず玄関前として取り入れたいシンボルツリーとして、樹高が2.5m以上ありながらスリムな樹形を持ったソヨゴを採用しています。
ソヨゴはきちんと管理され続けた物ですと根鉢が非常に小さく丈夫に作られており、良品であれば植栽場所を選びません。
逆に根鉢が不自然に大きかったり柔らかいものは後々生育不良を起こすケースが多々あるので注意が必要です。
厳しい環境への適応性もあり生育が非常に緩やかなソヨゴであれば、背後のウォールや道路側にも干渉しにくく、場合によってはご自身での剪定も可能な樹種と言えます。
高木・低木・地被を組み合わせた植栽の立体感
今回の植栽デザインの特徴としては、高木・低木・地被(グランドカバー)の3規格をそれぞれ1種類ずつレイアウトし、小さなスペースの中で無駄なく立体感を演出している事です。
それぞれソヨゴ、斑入りヒメトベラ、ブルーマウンドという組み合わせですが、乾燥にも強く維持管理も容易である点で優れています。
また全てが常緑樹でありますので冬季においても葉を維持し、景観が寂しくなる事はありません。
近年ではとにかく場所を選ばず落葉雑木類を多用する例が多く見受けられ、後々の管理が追い付かない、夏場に著しく傷む、冬季に一切葉が無くなってしまうといった事も多々見られます。
常緑樹は季節感に乏しいというご意見も確かにありますが、花壇や道路沿いという環境では「傷みにくい」「暴れにくい」という点を第一にすべきであると考えます。
住宅地の植栽においては配慮すべき点が多くあり、その中で最大限に景観向上を図り、住まう方のご負担にもならない様に設計するのが本来の植栽デザインであると思います。
小さなスペースでも取り入れやすい、ロックガーデンの雰囲気
近年人気のあるマテリアルとして割栗石(ロック)があり、一昔前は地盤強化材として使われていた石が景観材として見直されています。
石ですので国内外問わず原産地によって色が大きく異なり、色むらの少ない単色の割石などは高価で取引されています。
写真の割栗石であればメーカーカタログ製品とは異なり比較的安価で取り入れる事ができ、コストパフォーマンスにも優れた造園資材と言えるでしょう。
敷き詰める事で植物同士に間隔を持たせ、実質的な植栽数を減らしてローメンテナンスに寄せていけるのは砂利と共通していますが、砂利が平面的である事に対して割栗石(ロック)は立体的という面で異なります。
割栗石類であればどんなに小さな面積でも面積でも取り入れる事が可能で、尚且つ色の選択によって住まいとの調和を図る事が出来ます。
割栗石のレイアウトの利点として、敷き込んだ中から庭木の幹が生えている構図でも違和感が少なくおしゃれに見えるという点も挙げられます。
例えば平面的に敷かれた砂利の表面から木の幹が生えていると多少不自然に見えるのですが、割栗石等のロックガーデンの場合ですとおしゃれなレイアウトにも見えてしまいます。
割栗石敷きによって生まれる地面の立体感(動き)は植栽とマッチしやすいので「木と割石だけ」というシンプルなレイアウトも可能であり、これはモダン建築に合わせる植栽デザインでよく見掛けられます。
砂利敷きと同様に割栗石も泥跳ね防止効果を得られますので、写真の様にウォールの汚れ防止にも役立ってくれます。