今回は千葉県船橋市のお客様邸での庭リフォーム工事におきましての、着工から完成までの様子をご紹介致します。今回のお庭づくりにおきましては、お庭内にある既存の庭石を、全て据え直して使用した庭リフォームとなります。

w1
単に置かれていたり倒れそうで危険でありました庭石を、一つ一つが持つ味わい深い部分を見せる様に配置をしていきました。

古くからお庭に存在する庭石は、処分をするには大きな費用がかかってしまいます。処分をする事無く、据え直し施工により魅力的な姿と配置に生まれ変わらせる事で、大切な造園材料として新たなお庭で息づき始めます。

造園に先立ち、既存の庭木を伐採・抜根処分し、庭石を全て取り外します。

ba1
造園・伐採前の主庭を眺めた様子。
お庭が見えないばかりではなく、伸びすぎた植木が実際に庭面積を狭くしてしまっている状態です。
植木が集中していると、お庭の風通しにも悪影響を及ぼします。

ba2
庭石を外しながら庭木を掘り、処分を進めていきます。
後の造園工事に影響しない場所の根等は、掘り起こさず例外的に切断処分で済ませる事で、余分な工事費が発生しない様に致しております。

ba3
歩行部分やお住まい近くの庭木の根は、全て掘り起こして処分をします。
新たに植栽を施す場所等は特に入念に根を掘り出します。
写真は古いツゲの抜根の様子です。

ba4
庭木の伐採を終え、庭石を全て取り外した様子です。
地中深く埋まっていた物や、単に置いてあったりした庭石達です。
数は30個程あり、今回はこれらをどの様に配置に収めるかが重要な造園施工となります。

取り外した庭石を吟味して、大きめの物を景石として据え直します。

i1
据え直す前の庭石が立った状態です。細長いというだけでは、庭石を立てる理由にはなりません。 庭石の不安定さを感じてしまう扱いを、安定感のある据え付けに直します。

i2
お住まいからさほど遠くない距離ですので、やはり落ち着いて見られる雰囲気作りが大切です。 小振りな庭石を合わせて、より伸びやかに。

i3
さらに小石を噛み合わせてお庭の大まかなデザインを整えていく親方。
小さな石組の羅列は、お庭が完成した際の見た目を大きく左右する存在となります。
土留めも兼ねますので、目地には細かくセメントを詰め込んでいきます。

i4
こちらも大きめの庭石です。
色合いが違う庭石ですので主庭では使用せず、玄関アプローチ側への据え付けと致しました。
毎日の歩行部分ですので圧迫感の無い様に、沈め込む形で存在感を出していきます。

i5
お庭と既存マス類との段差を区切る土留めとして、ここでも小振りな庭石を再利用して据え付けました。
景石と異なり、こちらは高さを揃えて存在感を薄く施工します。

i6
主庭部分の庭石を全て据え付け直した様子です。
同じ様な庭石が並んでいる様に見せない、不規則で立体的な配置を考えてお庭の形を整えました。

新たにお庭へ納める銭型手水鉢と既存の庭石を使用した蹲の施工です。

t1
弊社がご用意致しました、お住まいのお庭に適したサイズの銭型手水鉢です。
蹲を構成する庭石と手水鉢の石質が異なる為、手水鉢を庭石を接触させずに独立して据え付ける「銭型」を使用して施工する事と致しました。

t2
小振りの庭石の中から適した物を選び、蹲を形成していきます。
面の効いた役石(手燭石・湯桶石)、正面の鏡石、人が蹲(つくば)う為の前石にふさわしい庭石を見つけて組み上げていきます。

t3
既存の飛石を選び、前石までつなげて蹲の構成が完成となります。
低い部分は低く、高い部分は高く、「同じ高さ」の構成を避ける事で立体感・存在感を出しています。

t4
先に据え付けました景石越しに眺める蹲の様子です。
今回の造園テーマ上、蹲に必要とされる「水照らし灯篭」は使用しない構成とさせていただきました。

t5
蹲の海の中に、透水性の舗装を敷き込みます。
複雑に入り組んだ部分に防草シートの効果は望めませんので、この様な雑草対策を施しておきます。

t6
舗装が固った後、構成する庭石を洗浄した様子です。
お庭に転がるように点在していた庭石達が美しい造園資材として生まれ変わった事を実感できます。

t7
蹲部分の仕上げとして、中粒の黒砂利を敷いていきます。
砂利の大きさは蹲の規模により異なります。

t8
完成した蹲です。 和室からやや斜めに眺める位置に作成し、目立ちすぎない存在感を大切に考えました。

玄関アプローチの既存通路を解体処分し、歩きやすい敷石の通路を施工します。

s1
リフォーム前の玄関アプローチの様子。
レンガによる段差はもちろん、日常的に歩行する部分に角の効いた飛び石は非常に危険でありますし、歩きにくさからも不向きといえます。

s2
解体撤去した歩行部分へ新たな敷石アプローチを施工する土台として、砕石を点圧していきます。
掘削・整地を施し、必要最低限の高さまで地面を低く致しました。

s3
玄関側から敷石を据え付けていきます。
お庭全体に敷き詰める施工ではございませんので水捌け傾斜は付けず、水平を維持して石畳の様に繋げていきます。
表面は平らでも滑りにくいビシャン仕上げです。

s4
据え付けまでを終えた敷石通路です。
タイルや石板とは異なり、重量感の中にきめ細やかさを感じる事ができる風景です。
通路としてだけでなく、お庭の一部分としての見た目も兼ね備えてくれます。

s5
敷石が落ち着いた後に、周囲の補強を丁寧に施していきます。
体裁だけではなく、造園完成後に見えなくなる部分にはしっかりとしたセメント補強を加えていきます。

s6
周囲の補強も落ち着いてきたところで、敷石の目地にセメントを入れていきます。
清掃と同時に作業を丁寧に進めていきます。
敷石の風情に合う様に、セメント表面はやや粗さを見せるハケ仕上げとします。

s7
表面に僅かに粗さを残した目地仕上げ。
敷石はタイル張り等よりも目地を深く仕上げる事ができ、石の存在感をはっきりと感じる事が出来ます。
日々歩く事で心地良さを実感して頂きたいアプローチです。

s8
地面の高さから見る敷石アプローチの表面です。
石としての質感を持ちながら、タイル張りの様に真っ平らに仕上げる事が出来ます。
庭の一部としての質感と歩きやすさを兼ね備えたアプローチと言えます。

s9
敷石アプローチの施工と同時に、既存の縁石と砂利の修正施工を致しました。
置いてある状態の縁石をきちんと固め、砂利も落ち着きのある黒砂利へ変更します。

s10
施工を終えた縁石と砂利の様子です。
お庭の隅や細かい部分は特に手を掛けてあげる事で、造園工事後のお庭全体の景観に大きく貢献してくれます。

庭石直し・敷石アプローチの施工後、植栽の配置に取り掛かります。

sh1
玄関アプローチと主庭とを、程良く区切るヤマボウシの植栽です。
柔らかく優しい植栽品種はお庭の中で目立たせる配置が可能です。

sh2
程良い区切り役に適した姿へ育つ様に、枝数を剪定によって調整しておきます。
植木の見栄えを良くするだけでなく、成長の為の剪定作業が大切です。

sh3
主庭正面に立つ背の高いブロック塀を、生垣調の植栽で目隠しします。
植木による完全なスクリーンにするか程良い目隠しにするかは、今後の剪定作業によって形を決めていきます。

sh4
蹲を柔らかく引き立てる枝垂れモミジの植栽です。
害虫も少なく、隔年の剪定作業でも十分に形を維持する事が出来る植木ですので、ピンポイントの植栽として優れております。

sh5
新たに設置した立水栓を程良く隠す低木の植栽です。
お住まいに接近した植栽の際は、害虫も少なく伸びも緩やかな品種が適しております。

sh6
蹲に添えた枝垂れモミジを剪定する親方。
不要な枝等は植栽の時点で整理しておく事が大切です。
枝先にはハサミを入れず、植木の懐を重点的に剪定します。

sh7
先に施工致しました敷石アプローチに添える低木植栽です。
寄せ植えを施した後、柔らかな形に刈り込んでいきます。

sh8
刈り込んだ植栽表面の様子です。
重厚な印象の敷石に緑を添える事でお互いが美しく。
歩行に支障の無い植栽配置が大切です。

s11
お庭に寝かせた大きな庭石を引き立てる様に下草類も添えていきます。
造園材料はお互いが目立ちすぎない様な配置が大切です。

s12
植栽越しに眺めるお庭の奥の蹲周り。
庭石を使った造形を見え隠れさせる事で、お庭の奥への目線を誘います。
奥へ歩きたくなる演出も大切です。

駐車スペースとお庭を区切る生垣の施工です。道路からの目隠し効果も兼ね備えます。

ik1
生垣を支える支柱を立て、生垣を縛り付ける竹を打ち込みます。
生垣が成長するまで一時的に必要な物ですので、必要最低限の材料で見栄えも良く施工していきます。

ik2
日当たり具合、目隠しの度合等の諸条件から、生垣植栽は寒椿と致しました。
距離を割り出し、目隠しが確保出来る最低限の間隔で均等に植え付けていきます。

ik3
植栽を終えた生垣を縛り付けていきます。
縄が食い込み過ぎない様、加減しながら止めていきます。
小枝は引き寄せる事で、隙間をさらに塞ぐ事ができます。
施工時、まだ枝が柔らかな内に行う大切な作業でもあります。

ik4
形の整ってきた生垣の様子です。
駐車スペースや道路からの目隠し効果も万全となり、生垣の足元の低木や下草等の植栽に陽が当たり過ぎない様にする、日除けの効果もあります。

ik5
お住まいからの眺めを元に生垣の高さを取り決めて剪定を施します。
生垣の見た目そのものだけではなく、生活において必要な目隠しの高さを優先する事も大切です。

ik6
正面も同様に生垣を施工し、L字型の目隠しが出来上がりました。
この角度は道路からの眺めとなりますので、お庭に出ている際に道路からの目線を気にする必要が無くなります。

植栽施工を終えたお庭へ、細部まで防草シートを敷き込んでいきます。

b1
お庭の空間へ防草シートを敷き始めます。
ツル系や地下茎系統の雑草の発生を防ぐ事が出来ます。
据えた庭石部分に切り込みを入れながら広げていきます。

b2
庭石の間も隙間なく敷き込みます。
布製の物とは異なる、非常に丈夫な防草シートを使用致しております。
透水性ながらも、濡れて蒸れる事もありません。

b3
蹲側の防草シート施工です。
飛石の隙間を丁寧に整地していきます。
余分な土を削り落とす様に水平な地面を作っていきます。

b4
飛石付近に防草シートを敷き込みます。
面積の小さい部分こそ、丈夫なシートを使用したいものです。

b5
下草植栽と飛び石の間へのシート施工。
細かい所ほど雑草対策はしっかり施しておきたいものです。
丈夫で切り込みやすい素材ならではのシート施工が可能です。

b6
防草シート施工を終えた玄関側のお庭です。
砂利による仕上げを行う準備が整いました。
敷石をアプローチを引き立てる砂利敷き作業に入ります。

雑草対策の施工を終えたお庭へ、錆砂利を敷き込んでいきます。

j1
低木植栽と敷石アプローチの空間に砂利を敷き込んでいる様子です。
敷石の重厚さを引き立て、植栽の緑をより鮮やかに見せる、派手さのない砂利です。

j2
細かな部分への砂利敷きです。
防草シートを細かな部分にまで敷き詰める事で、細部まで隙の無い砂利施工を。

j3
敷石アプローチ側の砂利の洗浄です。
砂利に付着したダストを散水によって洗い流す事で仕上げとなります。

j4
砂利と敷石アプローチの相性。
やや粗さを感じる砂利敷きの中で、敷石アプローチは凛とした表情になりました。

j5
主庭側へ砂利を敷き詰めていきます。
庭石の間等の細部も細かく整地を施してありますので、砂利スペースはどこまでも水平な仕上がりとなり、お庭をより広く見せてくれます。

j6
主庭の砂利敷きを終え、洗浄をして造園工事が完了となりました。
庭石のえぐれた奥深い部分まで砂利とする事で、庭石に動きや立体感を感じられます。

リフォーム工事を終えましたお庭の様子です。

funa1
既存の庭石を再利用する事で、処分費をかけない庭リフォームをする事が出来ました。
転がるように存在した多くの庭石を見栄え良く据え直す事は、庭石を長く扱って参りました造園専門店として必要不可欠な技術です。

funa2
庭石の据え直しの場合、施工前において完成後のイメージ図面を描写するのは大変難しい事でございますが、既存の庭石もほとんど使いきり、イメージ通りの施工が出来たと思います。

funa3
植栽の管理もしやすいお庭を考えさせていただきました事もあり、今後お客様ご自身で可能なお手入れを楽しんで頂ければ幸いです。お客様におかれましては施工中も大変お世話になりました。改めまして御礼申し上げます。

こちらの施工例のご紹介は和風の庭:船橋市お客様邸 既存の全庭石を再利用した和風の庭にてご覧いただけます。

既存の材料にお困りのお客様は是非ご相談を戴ければと思います。
大変恐縮ながら、「庭石の処分」そのものは承っておりませんので、予めご了承下さいませ。

それでは失礼致します。