今回は新宿区のI様邸、マンション専用庭の一角に施工をさせていただきました、小庭作りの様子をご紹介致します。

造園前の庭スペース

造園前の庭スペース

I様邸には専用テラスがあり、とても機能的なタイル張りの空間が広がっております。

そちらの一角にこの様な高さのある花壇が独立して設けられておりました。

現状はネズミモチとアジサイのみの寂しい空間でありましたが、今回はこちらにより季節感を感じられる自然味のある小庭を施工させていただく事となりました。

シンボルツリーとなるイロハモミジや低木を植栽

植栽したヤマモミジの株立ち
まずは主木(シンボルツリー)となるイロハモミジの株立ちを植栽します。

メインとなる植栽は庭の角に配置されがちですが、状況によりましてはこの様に小庭の外側へ流す様に植栽する事があります。

これは実際にお住まいから小庭を眺めた場合を考慮して決定しており、枝葉を左側へ流す事でイロハモミジがテラス中央へ枝を伸ばしていってくれます。

ヒメシャリンバイを添え木として植栽
こちらはイロハモミジの足下へ添えたヒメシャリンバイです。

庭木の下の暗くなりがちな部分でも艶やかな緑を見せ、冬季も濃緑色を維持してくれる為、中央の奥へ植栽しております。

アジサイを角へ移植
既存のアジサイは角部へ移植致しました。陰地である程に葉の美しさが増すアジサイはこちらで育てる事とします。

植栽の整ったお庭
植栽の整ったお庭の様子。この時点で植木へ水決めを施して土を落ち着かせておきます。

イロハモミジの左手には小振りなマホニアコンフューサも沿え、自然味を感じる組み合わせに。

枝流れの角度もモミジに合わせ、一体した雰囲気を大切に。

庭石のレイアウトでナチュラルな雰囲気を作る

庭石(鳥海石)の組み合わせ
庭石(鳥海石)は、小振りながらも自然なざらつきや窪みに富んだ物を選んでおります。

小さな庭ですと同じ大きさの庭石を複数使わなければならなくなるケースもよくありますが、立石、伏石と使い方を織り交ぜる事で「ただ並べた様な感じ」になるのを避ける事が出来ます。

「同じ大きさ」や「直線」になってしまうのであれば、むしろ直線的なマテリアルを使う方が望ましくなりますので、庭石を使う場合は出来る限りランダムに、作為の無い様にする事が大切です。

小石の据え付け作業
時折、少し離れた場所から庭石の位置を確認しながら決定します。一点に集中をし過ぎてしまいますと、肝心の全景がおろそかになります。気持ちの良いリズム感が出せているかどうかの確認が大切です。

庭石の配置の様子 P1010849
位置はもちろん据え付け方も振り分けた小石の様子。

それぞれの個性を出した小石の据付は、近くから眺めると大きな石の表情と変わらない魅力を見せてくれます。

伏せている石があれば立っている石が大きく見えますし、立石の存在は伏石をより控えめな表情に見せる効果があります。

庭石同士を下草の植栽で繋ぐ

タマリュウは傾斜を付けた小山に P1010851
庭石同士を結びつける様に、下草類の植栽を進めていきます。細かな作業ではございますが、この工程で僅かながら高低差を付けられる為、ほぼ仕上がりの表情が決まる作業となります。高低差だけに気を取られず、この作業も時折離れて植栽ラインを確認しながら進めます。

防草シート敷設と砂利敷き

防草シートの施工
庭石と植栽のラインに沿う様に、防草シートを施工していきます。なだらかなカーブを切り取りながら、入念な施工を進めます。

一枚物をくり抜き施工
一枚からカーブをくり抜く様に張っていきます。継ぎ接ぎの施工では合わせ目が多くなってしまいますし、お勧めできません。こうする事で継ぎ目(隙間)の無い仕上がりとなります。

砂利敷き仕上げ
仕上がった防草シートの上へ割砂利を敷き込んでいきます。今回使用致しましたのは、グレーとブラウンが混じったシックなカラーの割石です。明る過ぎず、庭石が自然に溶け込む雰囲気となります。

完成したナチュラルな坪庭

P1010882 P1010857
砂利を敷き均して完成したナチュラルな坪庭です。

庭石は角度によってどれかが見え隠れする配置となっており、違った表情を見せてくれます。

直線で囲まれたいわゆる坪庭の様な施工条件でしたが、小庭の持つ自然味が直線の無機質さをやわらげてくれたのではと思います。

こちらのお庭の施工例は新宿区マンションI様邸専用庭 モミジの揺らぐ小石と下草の風景にてご覧いただく事が出来ますので、併せてご参考下さいませ。

四角く囲まれた小さな空間も、小石と植木があるだけで優しい風景に生まれ変わらせる事が出来ます。ちょっとしたスペースを活かした小庭や坪庭をお考えの方は、ぜひご相談をいただければと思います。