今回は墨田区のオフィスビルのエントランスにて施工をさせていただきました、人工竹垣の設置工事の様子をご紹介致します。
こちらのビルの入り口には花壇が設けられており、古い建仁寺垣がございましたが、生長し過ぎましたツバキによってその姿も見えなくなってしまっておりました。
ツバキの枝葉はエントランス側や歩道へも越境してしまっており、早急な剪定が必要でございました。
かろうじて細かな枝葉が懐部分に残っておりました為、一度の強剪定にて対応出来る状態と判断致しました。
懐の枝が全滅している場合、強剪定を行うと葉が無い状態となってしまいますので、段階的な剪定を行わなければなりませんが、こちらのツバキでは強剪定後に小さな葉が残る見込みがございました。
既存ツバキに強剪定を施し、背後まで透ける程度まで枝透かしをします。
頭の高さはもちろん下げますが、全体に渡り景観を構成する枝を入れ替える様な剪定を致します。
どの枝に今後の樹形を構成するかを決定し、大きく生長した不要な枝は丸ごと綺麗に取り外していくイメージとなります。
太い枝が途中で切断されたり、僅かに残っている状態はなるべく避け、残った枝が自然に樹形を構成する様に致します。
強剪定を施されたツバキの様子です。幹と変わらない程に太った枝は全て取り払っており、幹と細い枝の組み合わせが自然に見える様に調整しております。この様な細かな枝だけが残りますと、剪定後の急速な再生長が起こりにくく、樹形は細かな枝が充実していく方向へシフトされます。ですが思わぬ部分が突出して再生長、もしくは走り枝が発生する事があります。その際は見つけ次第外していく事が望ましいでしょう。
人工竹垣のアルミ柱をコンクリートによって据え付けます。
既存の建仁寺垣の丸太を取り外し、新たにアルミ製の柱を埋める穴を掘ります。こちらは一番奥側へ設置されたアルミ柱の様子です。花壇部分の両サイドいっぱいまで垣根を設置する事となりますので、際端部への据え付けとなります。
アルミ柱は木目塗装が施された特別品を使用。木材を使用した様な自然な仕上がりとなります。
コンクリートを流し込んで垂直調整をして据え付けられたアルミ柱。今回使用致しますのは木目調の塗装加工が施された美しい柱材です。アルミ部材にありがちなツヤが抑えられ、木材を使用したかの様な質感を取り入れる事が出来ます。
こちらは道路側部分のアルミ柱です。奥側と同様に際端まで柱を密接させて据え付けました。良く見える部分は柱の木目塗装が非常に引き立ちます。
中央部分を測定し、中柱を据え付けます。今回の人工竹垣はここまでの3本のアルミ柱を骨格として構成されます。
人工竹材のサイズをミリ単位で実測し、裁断加工をしていきます。
人工竹材のサイズは設計サイズとして大まかに決まってはおりますが、柱を設置した際に改めて施工サイズを計測して裁断する必要がございます。高速のカッターを使用する事で切断時の溶けを防ぎ、綺麗な加工を施す事が出来ます。
天然竹の風合いが随所に施された特別品の人工竹を使用致します。
人工竹の部材におきましても次々に改良が行われております。今回使用致しますのは本物の竹が持つ特徴を随所に施したリアルな部材となります。節の部分が尖る様に膨らみ、竹の表皮がもつシワ模様まで再現されております。1本1本眺めてもその出来栄えに感心致しますが、垣根として組み上げた際はさらに完成度を高くしてくれる部材です。
サイズ別に裁断された人工竹材。こちらをそれぞれ該当箇所への積み上げに使用致します。
竹材を積み上げるベースとなる下端銅縁を取り付けます。
既に柱材に留められているチャンネル材に銅縁材を入れ、ビス留めをします。重量がかかる場所ですのでビスは2本打ち、場合によりましては裏面も合わせ3本留めを施す事もございます。
取り付けられた下端銅縁の様子。柱と同じく木目調の塗装が施され、木材で組まれたかの様な雰囲気を醸し出します。
ここから人工竹材を積み上げていきます。
裁断された人工竹を積み上げ、早々に押し縁竹を縛り付けます。
まずはこちらの高さまで人工竹を積み上げていきます。パネル式の人工竹垣と異なり、やはり組み上げるタイプの物は繊細な立体感を感じる事が出来ます。
積み上げ予定と同じ高さに加工された押し縁竹を縦向きに縛り付けます。御簾垣タイプの人工竹垣とは申しましても工法は従来の垣根作りと非常に近く、ビス留めだらけとなる事無く自然な組み上がりとなります。
引き続き下から順に縛り付けを行っていきます。縛り付けが進むにつれ人工竹材がしっかりと揃い始め、本物の様な質感となってきます。
下段の縛り付けを終え、中間銅縁を取り付けます。
下端銅縁に全ての重量をかける事の無い様、中間にも銅縁材を取り付けます。これにより銅縁に掛かるのは半分ずつの負荷となります。
中間銅縁を取り付けた様子です。木目加工が施された部材ですので中間で目立ってもむしろ趣を感じる事が出来ます。銅縁材は太さ50ミリの物を使用し、強固な構造となっております。
同じく上段の竹材を組み付け、人工竹垣が完成となります。
下段と同じ工法で組み上げを行い、最後に上段銅縁材を取り付けて人工竹垣が完成となります。
こちらの場所は施工前はやや暗い印象でございましたが、人工竹垣によって明るい印象に一変致しました。
歩道から眺めたエントランスの様子。人工竹垣によって明るく趣を感じる眺めとなりました。背景として人工竹垣が施工された事でツバキが浮き上がり、これまでに感じられなかった存在感を発揮しております。こちらの竹垣を背景に花を付けた際はとても美しい眺めとなる事でしょう。
こちらの人工竹垣につきましてはお庭の施工例-ビルのエントランスへ風情ある目隠しの人工竹垣(御簾垣タイプ)を-墨田区オフィスビル様にてご紹介をさせていただいております。
垣根といいますと現在では目隠しとしての用途が多く考えられるものですが、単純に暗い部分や日陰過ぎる場所を一変させる為の手段としても活用できます。趣を感じる背景として、目隠しとして、是非取り入れてみては如何でしょうか。
それでは失礼致します。