先にもご紹介をさせていただきました坪庭部分をローメンテナンスな小庭に-台東区お寺様のお庭をこの度リフォームをさせていただきました。
今回は手水鉢を加え、そちら伴いまして飛石の配置替えを行っております。
また、砂利敷きに併せ苔張りも行っており、年月を経て風情を増した坪庭の雰囲気が感じられる様にデザインを致しました。
左写真:廊下の窓より見えるのは、苔に包まれた手水鉢周りの構成となります。
多くのお客様が通られますこちらの角度は最も重要となります為、今回の坪庭デザインにおきまして最も注力致しました部分です。
この様に簾を下ろされた際は坪庭部分が絵画調にくっきりを浮かび上がります。
右写真:簾が上げられますと、コハウチワカエデの枝振りが強調される眺めとなります。
美しい新緑の時期や秋の紅葉の時期などはこの様に開放された眺めが特に美しく感じられる事と思います。
苔類は作為的に見せない様、盛り上がりは控え目にしながらも、平らになり過ぎない様に緩急の傾斜を組み合わせております。
とても小さな手仕事の範囲ではございますが、遠目より眺めた際は確実に景観を左右する事となります。
左写真:坪庭の入り口窓を開けて降り立つ際の眺めです。立水栓は左手に隠れており、景観上目立たない場所へ設置されております。
飛石の渡りは景観的・実用的の中間辺りの構成で、風情を感じながら歩きにくくもない、そんなバランスを考慮しております。
また、メインとなる手水鉢周りをここから全て見せない様にする事で視線が奥に向かう様になり、眺めが奥深く感じられる様にしております。
右写真:飛石を渡り、手水鉢の正面へ立つ眺め。手水鉢の周囲は鳥海石により、隙無く囲む構成と致しました。
この石組みはもう少し崩したものにする事も出来ますが、やはり後々の泥流れなどによる崩れによって庭が変化してしまわない様に留意する事が優先となります。
石組みは極力自然な表情に見える様、それぞれの大きさや形の違いを隣接させて接続しており、土留めセメントも目立たない様に施しております。
手水鉢の前石付近には木曽石を寄せた箇所も設け、作庭後に年月を経た様な雰囲気に味付けをしております。
苔張りは自然な低さを表現し、自然にゆっくりと広がった様な雰囲気を損なわない様に致しました。
苔の種類は植え付け箇所によって変えており、環境に適合した苔同士が後々混ざり合う事を前提に致しております。
実際に年月を掛け、より風情を感じられる坪庭となってゆく事でしょう。