A様邸は玄関近くに小さな土のスペースが植栽用として設けられておりました。
該当箇所には縦長スリット窓も設けられており、この窓からも枝葉を感じられる様にとのご希望も戴きました。
今回はこちらへ雑木のシンボルツリーを植栽し、冬季でも寂しげな雰囲気とならない様に、常緑種の低木類を合わせた植栽デザインを施す事になりました。
今回は花壇のシンボルツリーとして、アオダモを選んでいます。
理由としては
- 伸びが緩やか
- 圧迫感がない
- 落ち葉の量が少ない
- 車に干渉しにくい
等のメリットを踏まえています。
アオダモは環境適応性も高く、華奢な見た目ながら住宅街の様な環境でも傷みにくい雑木と言えます。
例えば南側駐車スペースに面した場所ですと夏の陽当たりが非常に強く、コンクリートの照り返しによって雑木類は傷みやすい物です。
しかしアオダモは華奢な樹姿の割に剛健な一面があり、尚且つ伸びも比較的緩やかである雑木です。
撮影が冬季ですのでアオダモに葉は付いておりませんが、落葉樹としては枝葉も少なく、枝の揺らぎによって外壁を傷つける事も稀です。
スリット窓からは軽やかな緑を感じる事ができ、目隠しを兼ねる様なシンボルツリーとは違った清々しさが感じられます。
手前に一部化粧砂利の空間を設けておりますが、こちらは角を空間にする事で歩きやすさを損なわない様に、といった工夫です。
角まで植栽が詰まっておりますと歩行しにくい様なイメージとなってしまいますので、空間を作っておくと足を運びやすい様になるものです。
アオダモは山のナチュラル感を持つ雑木ですが、足元へは洋風テイストを意識した低木をレイアウトしています。
落葉樹の足下へ落葉低木を配して一層の自然感を出す事もありますが、冬季にも賑やかさを出したい場合は常緑低木によるレイアウトがおすすめです。
特にカラーリーフを持つ樹種、斑入り葉を持つ樹種は少量の植栽でも充実した緑として見せる事ができ、限られた場所への植栽で重宝します。
コンクリート土間が近い場所は極度に乾燥を起こしやすい為、剛健な樹種を選ぶ事も必要になります。
コニファー類は総じて強い日光や乾燥状態に強く、伸びを抑制するカットさえ行っていれば環境で傷む事はほぼありません。
同時に冬季も緑を保つ洋風植栽として、低いフォルムを維持する事が可能です。
東側の部分は西日も当たりにくい為、こちらはグラス系植物であるカレックスやタマリュウをレイアウトしています。
カレックス類は多くの品種・カラーが存在し、日向に強いとされますが、実際は半日陰程度の環境の方が美しい姿を保ちます。
成長の仕方は全体が膨らんで大きな株となるイメージであり、増殖を繰り返すタイプとは異なります。
この為少ない数でも緑が繁茂した様な景観を作り出す事ができ、小さな場所でもボリューム感を取り入れられます。
こちらでは斑入り種のカレックスを植栽していますが、ナチュラルガーデンであればあえて単色の株を選ぶのも良いでしょう。
タマリュウは馴染み深い下草でありますが、乾燥にはとても弱い事を認識しておきましょう。
午後に陰になる場所、水遣りを行いやすい場所、この様な条件が合えば、緑を充実させる脇役として大いに活用したいものです。
雑木と洋風低木の組み合わせを行えば、お住まいも美しく映える洋風ナチュラルな景観を作り出せます。
小さな場所でも植栽デザインは十分に可能ですので、ご検討されてみては如何でしょうか。