庭のデザイン~造園工事を行っております、新美園:新美雅之です。
花壇があるものの、何を植えていいのか思い浮かばず持て余してしまっている事はないでしょうか?
実は庭木や植物を使ったデザインを花壇へ取り入れれば、そこは普通の庭よりも際立つ眺めになるのです。
これは花壇が四方を囲まれた額縁の様になっていて、そこが作品の様に引き立てられる為です。
ここでは花壇を植栽レイアウトによって庭の様に見せる8つの方法を、私の施工実例と共にご紹介を致します。
目次
①シンボルツリー・低木・庭石でスモールガーデンに見せる
小さな花壇の中であらゆる材料を使う際は、材料を小さくして植木は生育の緩やかなものを選びます。その時は小さいからと普通に植木を植えたとしても、すぐに品種それぞれの適正サイズまで伸びたがります。
メインの植木(シンボルツリーなど)の選択を終えたら、その木に寄り添う様な副木の様な植栽をレイアウトするのがおすすめです。例えば常緑樹と落葉樹の組み合わせなど、印象が異なるもの同士も面白味があります。
こちらでは2本の植栽に加え、小さな庭石とグランドカバーを使って洋風スモールガーデンの様な雰囲気を作っています。
シンボリツリー1本では作れない雰囲気も、脇役が揃えば立派なお庭に見えます。
小さな花壇でも材料を小さく織り込めば、スモールガーデンを楽しめます。
施工場所:駐車場の小さな花壇
環境:西向きの日向
植木:ソヨゴ(シンボルツリー)
低木や下草:ブルーベリー(ハイブッシュ系)・ブルーパシフィック
同じレイアウト法でも植栽次第で和風の花壇に
反対にこちらの花壇では大名竹や下草類に加え、鳥海石をレイアウトした小さな和風の庭に。
使用する植木や石によって雰囲気もがらりと変化します。
竹は周囲に移動して生育してしまうやっかいな面もありますが、しっかりと区切られた花壇内であれば安心して植える事が出来ます。
大名竹はその姿から目隠しとしての効果もあります。下草も和風を意識した種類を選んでおりますが、花壇の中は苛酷な環境となりますので、剛健種を中心に選ぶ事が望ましいでしょう。
施工場所:玄関横の花壇
環境:南側の日向
植木:大名竹
低木や下草:リュウノヒゲ・セキショウ
コーナー花壇に制約されない自由な洋風ナチュラル感
小さなコーナー花壇でも、シンボルツリーと副木、小さな庭石を使って立体感を感じる小庭を仕立てる事が出来ます。自由に生育する様子を表現する事で、作り込みを感じさせないナチュラルな庭の表現が可能です。
常緑樹と落葉樹を織り交ぜた植物を合わせると共に、色味も散りばめる様な素材選びをすると面白味のある小庭に仕立てる事が出来ます。
広葉樹、針葉樹、グラス系等、あらゆる形状の植物を組み合わせれば、動きを感じさせるデザインに仕上がります。
施工場所:道路沿いの花壇
環境:南側の日向
植木:ホンコンエンシス・セイヨウカマツカ
低木や下草:マホニアコンフューサ・カレックス類・ブルーパシフィック・ウィルトニー他
②花壇の直線を打ち消すレイアウト
予め設けられている花壇はほとんどの場合、直線によって構成されています。
この形に添って植木を並べていきますと、非常に単調な風景になってしまいがちです。
アイポイントを揺らして動きのある花壇に
植栽の位置は限られているので単純な横並びになるのは仕方ありませんが、植栽の種類や大きさに変化を付ければ単調なラインを打ち消す効果があります。また、つい目で追うアイポイントの位置を手前や奥へ振る事で、さらに動きを感じる様になります。
長方形花壇での応用例
特に細長い花壇の中ではどうでしょうか。
こちらの施工例では植木の種類に変化を付け、さらに先述のアイポイントとなる庭石を、手前や奥へ振る様に据える事で動きのあるお庭に見せています。細長い単調な形の花壇である事を思わせない、華やかな花壇デザインです。
植木の種類や動きのレイアウトはもちろん、こちらでは色彩の散りばめ方も特徴的です。同じ緑色は無く、レッドリーフやイエローリーフも取り入れています。
施工場所:ビルエントランスの花壇
環境:東向きの半日陰
植木:紅花トキワマンサク・シマトネリコ・ジューンベリー
低木や下草:マホニアコンフューサ・クルメツツジ・クリスマスローズ・ギボウシ他
特に奥行の短い花壇での工夫
更に奥行の短い花壇ですが、こちらですと植木や庭石の位置は必然的に横並びになります。この様な場合は植木の種類、高さはもちろん、特に葉色や雰囲気が大きく異なる樹類を組み合わせる事で単調な雰囲気を避ける事が出来ます。 特に低木雑木類ですと樹形に個性がありますので、景観的にも動きの出る木を選ぶ事がお勧めとなります。
施工場所:玄関アプローチ沿いの花壇
環境:北側の半日陰
植木:ソヨゴ・アロニア・アデク
低木や下草:マホニアコンフューサ・アベリア・クリスマスローズ・カレックス他
アイポイントに変化を付け、花壇の角や直線を目立たなくする
こちらの花壇では高木となる2本の庭木を左右両端に振り分け、中央に低木エリアを設けています。
これにより眺めるポイントがくまなく分散され、花壇全体が植栽で充実して見える様になります。
特に中央には葉色が鮮やかなツゲ(貴婦人)をレイアウトしており、
自然石のレイアウトは大きさや位置に変化を付けており、花壇特有の単調なラインを感じさせない景観に。
花壇の角には大株のカレックスをレイアウトし、直角のシルエットを打ち消しています。
施工場所:道路沿いの花壇
環境:西側の半日陰
植木:ソヨゴ・ヒメシャリンバイ
低木や下草:マホニアコンフューサ・ツゲ(貴婦人)・カレックス他
③空間を作って低木類に立体感を出す
先述の様にシンボルツリーを1本決めて、後は周囲を控え目な低木類やグランドカバーで仕上げれば、花壇は驚くほど充実した「庭」に見えてきます。
この際、無理に花壇全体へ木を植える必要は無く、むしろ植えない空間(砂利敷きなど)を作る事で、植物にとって成長しやすい環境を作り出せます。
周囲が開けた低木は存在感が増し、植栽デザインがより明確に見えたりするメリットも得られます。
シンボルツリーと低木エリアに、砂利空間を加える
こちらの施工例では玄関脇の花壇へ控え目な大きさのシンボルツリー(オリーブ)を植栽し、周囲をグランドカバーや空間でデザインし、スモールガーデンを構成しています。
立体的に見せるのが難しい低木やグランドカバーですが、砂利敷きとなった空間に比べれば背は高い存在に見えます。これにより小さな植物も浮き上がる様になり、花壇の中で3段階の高さが構成されます。
施工場所:玄関アプローチ横の花壇
環境:西向きの日向
植木:オリーブ(シンボリツリー)
低木や下草:マホニアコンフューサ・ゴールデンモップ・ブルーパシフィック・セキショウ
割石をレイアウトした空間で低木が映える花壇
花壇の中で空間を担うのは砂利敷きである事が多いのですが、より立体感や色味を強調しやすい割石積みを行う事もあります。
砂利が平面的である事に対し、割石は少々の積み上げを伴いますので立体感が得られます。
ここから顔を出す低木類は美しさと逞しさも感じられ、色味も姿もはっきりと浮き上がっているのがお解りいただけると思います。
また、この花壇では低木類にも姿や色の変化を持たせており、小さなロックガーデンの様な雰囲気も楽しめます。
大きめの割石でも低木の成長を妨げる事は無く、今後は更に低木のボリュームが増して「庭」の様な雰囲気を得られる事となります。
施工場所:玄関に近い道路沿いの花壇
環境:西向きの日向
植木:ソヨゴ(シンボリツリー)
低木や下草:ブルーマウンド・ウエストリンギア・ユッカ・サルココッカ他
コニファーや下草を健全に育てる為の空間確保
小さな花壇であればついつい多くの植物を植えてしまいたくなりますが、こちらの様にほとんどを砂利やチップでマルチングし、最低限の低木や下草を植えるのもお勧めです。
どんな小さな木であっても、必ず成長して大きくなるものです。
この成長を健全に促す為に、予め周囲を広く空けておく事が有効になります。
成長過程においてもメンテナンスに追われる事も無く、マルチングのエリアからは雑草も生え難いものです。
花壇であれば特に、少ない数の庭木を大切に育てる方が景観維持をしやすい為、あえて植栽をしない空間を設ける事はおすすめと言えます。
施工場所:玄関横の花壇
環境:西向きの日向
植木:ソヨゴ
低木や下草:ブルースター・セキショウ他
④正方形の花壇を坪庭に見立ててデザインする
長方型の花壇には触れてきましたが、デザイン性が最も問われるのが正方形に近い形状の花壇です。
横並びのデザインだけを考えても全体が充実せず、奥行きによる死角が残ってしまう為です。
手の届きやすい植栽設計が重要
正方形花壇の場合は「花壇の中」である事を捨て去って、通常の庭づくりの様にデザインする事が望ましくなりますが、細長い花壇と違い、中央付近に手が届きにくくメンテナンスがしにくいというデメリットがあります。
そこで有効となるのが、花壇内の随所に空間を設けて、あらゆる場所へ手が届きやすくするというレイアウトです。
花壇の中に立体感を生む、坪庭風レイアウト
空間を作るという事は、植栽が無くても美しく見せるという目的があります。
同時に空間は植栽エリアへ日光と風を通し、視覚的にも広々とした印象をもたらします。
この様に敢えて「空間」をレイアウトする事によって植栽に模様が生まれ、デザイン性を高めてくれるのです。
こちらでは表玄関の左右2箇所に設けられた花壇を庭としてデザインしております。
植栽は坪庭の感覚で最低限に留め、自然石や砂利敷きによる空間を多く取っています。風通しも良く手も届きやすい、正方形の花壇にはぜひ取り入れたいレイアウト法です。
施工場所:表玄関左右の花壇
環境:西向きの日向
植木:イロハモミジ
低木や下草:マホニアコンフューサ・サツキ・玉竜他
空間レイアウトで踊り場を設けた管理のしやすい小庭
こちらはマンションの専用テラスに設けられた四角形の花壇へナチュラルなデザインを施しております。
花壇の高さが高く容易には立ち入る事が出来ない場合、メンテナンス性を考慮する必要があります。
こちらでは手前半分を砂利敷き空間する事で中へ入れる様にし、植栽エリアのメンテナンスをする事を可能にしました。
高さのある花壇への植栽であれば、小さな植木でも大きく見えるメリットがあります。
花壇の高さが1mであれば、1.2m程の植木で十分な計算です。
施工場所:マンション専用庭の花壇
環境:東側の半日陰
植木:イロハモミジ
低木や下草:ヒメシャリンバイ・マホニアコンフューサ・アジサイ・コクリュウ他
中央を歩けるように設計した植栽デザイン
こちらは花壇というにはとても広い、正方形の空間でした。
なので通常の庭の様に植栽デザインを施していますが、やはり大切なのは隅々まで手が届きやすいレイアウトを行う事です。
中央に空間を設ければ容易に立ち入って木々のメンテナンスを行える他、左右に植える庭木もボリュームのある樹形を選ぶ事が出来ます。
また、庭木が横並びになるデザインよりも、三角構図によって木々が見え隠れする自然な風景を作り出す事が出来ます。
中央空間はメンテナンス性と共に風通しや採光も確保する為、庭木の生育も良好かつ病虫害も起きにくくなるというメリットが生まれます。
正方形の花壇であれば立派に「庭づくり」を行う事が出来ますので、是非お住まいの顔となる様な空間を目指してみましょう。
施工場所:建物脇の正方形花壇
環境:東側の半日陰
植木:ヤマボウシ、エゴノキ、フェイジョア
低木や下草:マホニアコンフューサ、アベリア、プリペット、サルココッカ、キンシバイ他
⑤植栽エリアと自由に使えるスペースを区分けする
花壇が広過ぎて、困ってしまっているケースはないでしょうか?
広い花壇全面に庭木を植え尽くす事も可能ではあるものの、後々多過ぎる庭木の管理に悩まされたり、ご自身で自由に使える空間が欲しくなったりする事もあります。
そんな時は全体的な植栽はせずに、自由に使う為のスペースを残しておく事も有効な手法になります。
庭木による目隠しと花壇の両立
こちらの様に横長に広い花壇であれば、ゾーンを分けて、
シンボルツリーや目隠し
アクセントの低木
グランドカバー
自由に使える花壇
といったエリアを分けて作り出す事が出来ます。
区分けを意識したレイアウトは遠目から眺めますとおしゃれな小庭に見え、ガーデニングを楽しむ花壇もきちんと設置されている、という様なイメージです。
こちらでは花壇の中へシンボルツリーや目隠しの庭木をレイアウトして小庭の様に見せ、ガーデニング用の花壇も2箇所、庭石組みで設けております。シンボルツリーとなる常緑ヤマボウシは存在感のある樹高2.5mクラスを植栽し、目隠しの役割も兼ねています。
花壇の前面を自由スペースとして設定していますので陽当たりも確保され、手も届きやすい便利な花壇として活用する事が出来ます。
施工場所:駐車場の中の花壇
環境:西側の日向
植木:常緑ヤマボウシ(シンボルツリー)・ソヨゴ・オリーブ
低木や下草:ゴールデンモップ・ウィルトニー・カレックス他
木材風の縁石と洋風庭石で区分けする花壇
こちらの花壇も幅が5m程ありましたので、ご自身で草花を植えて常に見栄え良くしておくのは困難と言えます。
まずは花壇の背後に位置するリビング窓を目隠しする為、枝葉の充実したソヨゴと常緑ヤマボウシを均等間隔で植栽してプライベート感を確保し、庭木と合わせる様な庭石レイアウトによってさりげなく2か所の花壇を設けてあります。
庭石は一見してランダムに見えますが、きちんと小さな花壇を形付ける様にレイアウトされており、石組みのデザイン性と花壇の機能性を両立させています。
この小さな花壇であれば少しの草花でも美しく映える様になり、広く持て余していた花壇も有効に活用しきる事が出来るのです。
施工場所:駐車場とお住まいの間の花壇
環境:南側の日向
植木:常緑ヤマボウシ(シンボルツリー)・ソヨゴ
低木や下草:マホニアコンフューサ・ローズマリー・カレックス他
⑥細長い花壇なら、変化に富んだ植栽レイアウトを
お住まい外壁沿いに広範囲に花壇が設けられているケースですが、延々と続く土スペースをどうしたら良いかお悩みになられる方も多い為、この様な花壇でのご依頼は多く戴きます。
もちろん植栽はせず化粧砂利によって仕上げてしまえばローメンテナンスになるというメリットは生じますが、上手に植栽レイアウトを施せば、お住まいに色彩豊かな雰囲気を添える事が出来ます。
また、細長い花壇であるからこそ変化に富んだ植栽レイアウトを施すのがおすすめで、単調に庭木を並べた場合とは景観が大きく異なってきます。
この「変化」とは樹種の違いはもちろん、様々な葉の形や色、雰囲気を組み合わせる事を指しており、細長い花壇はこの植栽レイアウト手法に向いています。
花壇の色合いに合わせてシックな植栽デザインを
こちらでは控えめなカラーで形作られた花壇に合わせる様に、シックな色合いの植栽を施しています。
逆にレンガや石など花壇の素材そのものの色が目立っている事もあり、その様な場合は植栽の色味も賑やかにして調和を図ります。
シンボルツリーとなるソヨゴの優しい緑色に合わせ、低木類も落ち着いた葉色の植物を選んでいます。
落ち着いた葉色で統一させた植栽ではありますが、樹形はそれぞれ異なる雰囲気の木を選んでいる為、レイアウト自体が単調に見える事はありません。
樹形の違いだけではなく、葉の形も異なる庭木を組み合わせれば更に面白味も増しますので、植栽デザインを考える際は是非取り入れてみたい手法です。
施工場所:道路沿いの花壇
環境:南向きの日向
植木:ソヨゴ・常緑ヤマボウシ・オガタマ
低木や下草:マホニアコンフューサ・ピットスポルム・久留米ツツジ・這性コニファー他
カラーリーフの庭木を組み合わせて色の変化を楽しむ
お住まい外壁が落ち着いた洋風カラーの場合、カラーリーフを積極的に組み合わせた植栽レイアウトが良く映えます。
外壁沿いに作られた細長い花壇なら様々なカラーリーフを取り入れる事ができ、こちらの花壇では彩り豊かで活き活きとした植栽レイアウトを施しています。
やはり目に留まりやすく目立つのはイエローリーフの庭木であり、この花壇では斑入りマサキ、ゴールデンモップ、斑入りヒメトベラ等が該当します。
まずこれら存在感の強い庭木をバランスよく配置し、これが色味の骨格として機能します。
そこへ入り込ませる様に濃緑色の庭木を植栽しますが、この時点で目隠しを意識したレイアウトを行っています。
更にフェスツカ等のブルーリーフも添え、レッドが美しいコルジリネを角へレイアウト。コルジリネは次第に葉を増やして大きくなっていきますので、この角が柔らかく葉に包まれて目立たなくなってくる様にしています。
広い花壇ですので全面的な植栽は施さずに空間をしっかり設け、外壁色に近い色のレンガチップを敷き詰めて全景を統一させる様に引き締めました。
施工場所:外壁と道路沿いの花壇
環境:南向きの日向
植木:常緑ヤマボウシ・斑入りマサキ・フェイジョア・ヒメシャリンバイ他
低木や下草:グレビレア・コルジリネ・フェスツカグラウカ・斑入りヒメトベラ・ゴールデンモップ他
広い花壇へ施した色彩豊かな植栽デザイン
こちらではオリーブや常緑ヤマボウシの洋風植木、フェイジョアなどを均等間隔にレイアウトした上で、明るい色彩のグランドカバーを植栽しています。
お住まいの白い外壁がキャンパスの様な効果を生み出し、明るい色彩がより浮き上がって見えます。
洋風の庭木と位置付けられる庭木もそれぞれ異なる葉色を持っており、この花壇ではさりげなく葉色が微妙に異なる庭木を交互にレイアウトしています。
オリーブは煌びやか、フェイジョアは重厚、常緑ヤマボウシは瑞々しい雰囲気を醸し出し、これらを上手く組み合わせる事で庭木それぞれの持ち味が引き出されています。
施工場所:外壁沿いの花壇
環境:東向きの半日陰
植木:常緑ヤマボウシ・イチゴノキ・フェイジョア・オリーブ他
低木や下草:マホニアコンフューサ・オタフクナンテン他
道路沿いの花壇でリズミカルな植栽レイアウトを
こちらは外壁に沿って作られた花壇で、この様な形の花壇は配管類の埋設の為に作られている事も多いものです。
外壁沿いの花壇ですので植栽によってお住まいが引き立ちやすいのですが、道路沿いでありますので越境に対するメンテナンスについても予め計画に入れておく必要があります。
こちらでは化粧砂利による空間も随所へ設け、様々な色彩の庭木をレイアウトしています。
色味の異なる庭木を組み合わせて賑やかに見せていますが、こちらでは特に樹高の違いを明確にしてリズミカルな雰囲気を意識しています。
同じ高さの庭木を隣接させずに高低差を付けるだけでも面白味が増し、色彩の違いも際立って見える様になります。
施工場所:外壁沿いの花壇
環境:東側の半日陰
植木:常緑ヤマボウシ・ソヨゴ・フェイジョア
低木や下草:プリペット・ブルーベリー・アロニア・ヒメシャリンバイ他
⑦植木のカラーを統一して植栽の重厚感を出す
あえて庭木の色彩を近いものに統一して、花壇の重厚感を演出する方法もあります。
この場合は特に緑色の濃い濃緑葉を持つ庭木を選び、お住まいとのコントラストを強くします。
濃緑色はフェイジョアやソヨゴ、マホニアコンフューサやコニファー系グランドカバーなどの植栽で加える事が出来ますので、これらを積極的に取り入れるのが良いでしょう。
このレイアウトは特にお住まいがダークカラーもしくはホワイト系の場合に有効な方法ですので、迷われている方はご参考にしてみては如何でしょうか。
シンボルツリーと低木を濃緑色でまとめる花壇
こちらの花壇では目隠しを兼ねたシンボルツリーとして濃緑色のフェイジョアを始め、同じく濃緑色の低木をレイアウトしており、小さな花壇でも植栽の重厚感を感じられる様になっています。
マホニアコンフューサやギンバイカは半日陰の様な環境下では色艶が増す傾向があり、濃い緑色が一層美しくなります。
しかし陽当たりが少なすぎると花付きが悪くなってきますので、健康に育てる為にはある程度の日照が確保出来る場所を選びましょう。
施工場所:玄関前と外壁沿いの花壇
環境:西向きの日向
植木:フェイジョア(シンボルツリー)・ブルーベリー
低木や下草:ギンバイカ・マホニアコンフューサ
ソヨゴとコニファーの濃緑色でシャープな花壇に
こちらも玄関付近の花壇を濃緑色の植栽を使ってデザインしております。
立ち木のソヨゴは玄関ドアの目隠しにもなっており、グランドカバーも濃緑色で合わせる事でお住まいをよりシャープに見せる演出をしています。
こちらは人通りもある道路沿いの花壇という事で、生長が緩やかなソヨゴを使っています。
色彩を優先して庭木を選ぶ際も、歩行する方の御迷惑にならない植栽計画が大切です。
施工場所:道路沿いの花壇
環境:北側の半日陰
植木:ソヨゴ・ブルーベリー
低木や下草:ブルーパシフィック
濃緑色を持つ一種類の低木を繁茂させる
花壇を緑が溢れる様な景観にしたい場合、多種の庭木を寄せ植えする事はあまりおすすめできません。
これは必ず庭木には成長力の差があり、僅かでも剛健な方の庭木が弱い庭木に覆い被さってくる為です。
もちろんメンテナンスによってそれぞれの庭木の領域制限は可能ですが、庭木同士の隙間が常に空いている事になります。
こちらの花壇ではマホニアコンフューサを連続させる様に繁茂させており、お互いが成長して接触しても違和感のない美しさが生まれます。
これは生垣とも共通する事ですが、同じ種類の庭木が接触する場合は枯れ枝が生じても目立たず、成長後は全体が繁茂した美しい景色を作り出せます。
近年ではマンションの様な大規模植栽においても単一樹種の寄せ植えが見られる様になり、これは樹種を統一させた方がメンテナンス性も良いという点も要因となっています。
この様な植栽レイアウトでは写真のマホニアコンフューサの他、アベリアを使ったケースもよく見られます。
施工場所:道路沿いの花壇
環境:東側の半日陰
低木や下草:マホニアコンフューサ・カレックス・ブルースター他
樹種は様々ながら葉色を統一させた花壇
樹種を統一させる手法とは異なり、時にはこちらの様に多くの樹種を使いながらも葉色だけを合わせるといったレイアウト方法もあります。
この手法は上品なナチュラル感を演出する場合に有効で、小さなナチュラル花壇をデザインする際にも行います。
ちょっとした山間の様な雰囲気を出したり、庭木が自然にそこで育ってきたかの様な演出は、この様に色味を多く使わない方が自然に見えるものです。
華美な花壇になるのを避けたい場合には特におすすめの植栽レイアウトですので、ぜひご参考下さい。
施工場所:道路沿いの花壇
環境:西側の半日陰
植木:ヒメシャリンバイ・ビバーナムティヌス
低木や下草:マホニアコンフューサ・ブルーマウンド・サルココッカ他
⑧シンボルツリーと目隠しの庭木を共存させる
花壇は「玄関に近い」というケースが多く、可能な場合は花壇への植栽で玄関周りを目隠しする事が出来ます。
目隠しですと常緑樹を選ぶのが一般的ですが、やはり完全な効果を望むのは難しいところです。フェンス類ですと確実な目隠し対策となりますが、植木は枝葉の隙間もありますので、あくまでも見え難くするといったニュアンスで取り扱う事となります。
玄関近くの花壇はシンボルツリーを植栽する場面も多く、このシンボルツリーと目隠しの為の庭木を共存させるデザインも大変おすすめです。
シンボルツリーのアオダモと目隠しのソヨゴを共存させた植栽デザイン
道路に面したこちらの花壇は変則的な形をしておりますが、この様な花壇は植栽レイアウトを奥深く見せる事に向いています。
この庭木はお住まいの中から窓越しに眺める為のもので、左側のシンボルツリー(アオダモ)の軽やかな枝葉を楽しめる様にしています。
花壇中央のソヨゴは縦長窓を目隠しする為の植栽であり、見え隠れさせる程度の心地良い緑がお住まいから垣間見れます。
この様に花壇の中で落葉樹と常緑樹をバランス良くレイアウトする事で、お住まいにナチュラルな印象を与えてくれます。
施工場所:道路に面した花壇
環境:東側の半日陰
植木:アオダモ・ソヨゴ・ヒメシャリンバイ
低木や下草:マホニアコンフューサ・カレックス・アベリア・低木コニファー類
柔らかなイロハモミジと緑濃いソヨゴを合わせる花壇
こちらの花壇ではアプローチへ傾ぐ柔らかなイロハモミジをシンボルツリーとしてレイアウトし、物干し場となるデッキ奥を目隠しする様なソヨゴを組み合わせています。
常緑樹と落葉樹の組み合わせというのは変化に富んでおすすめではありますが、こちらでは単幹樹形と株立ち樹形の組み合わせとも言える様になっており、バランスの良い景観になっています。
この樹形選びには理由があり、イロハモミジの方は歩行箇所が近い為に下枝の無い樹形が望ましくあります。
単幹樹形であれば枝葉の下を人が歩く様な構図となり、単幹樹形特有のナチュラルな木の動きも感じられます。
ソヨゴの方は目隠しという役目を担っており、木の幅を出したいという理由から株立ち樹形を選んでおります。
足下についてはメンテナンス性を考慮して植栽は少なめにしており、庭石や砂利空間によってデザインをまとめています。
木の姿を楽しみたいが足下はスッキリさせておきたい、こんなご希望に応えるレイアウトと言えるでしょう。
施工場所:駐車場に面する花壇
環境:南側の日向
植木:イロハモミジ・ソヨゴ・アオダモ
低木や下草:ブルーマウンド・ヒュージス・ヒメトベラ・カレックス他
玄関隠しのシマトネリコとナチュラルなヤマボウシをレイアウトした花壇
まずは必要不可欠な目隠し役の庭木の場所を確保し、空いた場所へシンボルツリーをレイアウトするのも良い景観を生み出します。
目隠しの庭木はほとんどが常緑樹を使う為、シンボルツリーの方は四季折々の表情を出す落葉樹にするのもおすすめです。
目隠しの木はディテールが濃く、反対に落葉樹は柔らかな雰囲気を持っていますので、相反する組み合わせが良い景観を生み出します。
こちらの花壇レイアウトでは、目隠し用のシマトネリコに加え、枝の柔らかなヤマボウシをシンボルツリーとして外壁沿いに植栽しています。2本の植木の間はブルーベリーやグランドカバーでまとめ、庭の様に仕立てています。
シンボルツリーであるヤマボウシは特にのびのびと成長させたい為、玄関先という場所に拘らずに外壁沿いの方へレイアウトしています。
成長によって今後は高低差も生まれ、美しい花壇になっていきます。
施工場所:玄関と駐車場に面する花壇
環境:東側の半日陰
植木:シマトネリコ・ヤマボウシ
低木や下草:ブルーベリー・ブルースター・サルココッカ・ヤブラン他
シンボルツリーと目隠しだけのシンプルレイアウト
モダン住宅に合わせるシンボルツリーとして、花壇(植栽スペース)へ樹高3m~のアオダモを植栽しています。
同時に、背後にある縦長スリット窓の目隠しとして、均整の取れた単幹樹形のソヨゴをアオダモの奥へレイアウトしています。
アオダモは下半分の枝葉が少ない樹形である事が多く、この寂しさを補助する為にも、常緑樹を合わせて植栽する事が有効です。
落葉樹は冬季に葉が無くなりますので、その背後に常緑樹をレイアウトしておけば冬も緑の景観を保つ事が出来るのです。
景観補助と目隠しという実用性を兼ね備えた、シンプルな植栽レイアウトと言えるでしょう。
施工場所:道路と駐車場に面する花壇
環境:南側の日向
植木:アオダモ・ソヨゴ
低木や下草:マホニアコンフューサ・スナゴケ
花壇を美しく見せるご要望にお応え致しております
如何でしたでしょうか。
花壇はその位置や形にもよりますが、実に様々なデザインで充実させる事が出来ます。
目隠しの植木、シンボルツリー、または本格的な造園をデザインするなど、可能性は多岐に渡ります。
花壇を綺麗に見せる植栽やデザインをご希望の際はお問い合わせ方法をご参照の上、是非お声掛けをいただければと思います。
他にも弊社による花壇を活かした植栽の施工例がございますので、併せましてご参考下さい。
執筆者:新美雅之(新美園HP作成・作庭者)
庭木や庭デザインについて、作庭者の経験を活かして現実的に解説をするコンテンツを目指し、日々執筆しています。