今回は足立区のY様邸にて施工をさせていただきました、花壇内での庭造りの様子をご紹介致します。
Y様邸の玄関前にはこちらの様な花壇(植栽スペース)が設置されておりました。
通常花壇と申しますと「細長い長方型」をイメージされる事が多いものですが、道路の角地におきましてはセットバックの関係上この様に三角形の形状を余儀なくされる事も少なくございません。
長方型の花壇におきましてはお好きな植物を順番に植えられる事で容易に充実させる事が可能ですが、正方形や三角形の場合ですと、ご自身での植栽によって充実させるのはなかなか難しくなってまいります。
これは植栽レイアウトとして「前後関係」が出てくる事が理由の一つでございます。 植物を左右に並べるのみでありますと、主役の左右にサブとなります植栽を配置すれば形にはなりますが、前後の奥行きがございます場合は自由度が高く、どうしても「植栽で空間を埋める」様なレイアウトにしてしまいがちです。
どの様な植物でも必ず生長は致します為、始めから空間を埋め尽くすこ事はお勧め出来ません。
「施工直後」の寄せ植え状態は、お住まいの方の日頃のお手入れが無ければ維持する事は出来ず、ある意味植栽業者からお客様へ日頃の管理をお願いしている様な事になってしまいます。
私共の考える植栽レイアウトはあくまでも空間を大切に、そして花壇の中にだけ集中して目を向ける事が無い様に、お住まいの前の小庭空間として花壇を扱う事を心掛けております。
また、施工直後を華やかに見せる為の混ぜ植えは避け、最低限のお手入れでレイアウトを維持出来る様なデザインを心掛けております。
長くなってしまいましたが、今回はこちらの花壇を純粋な「お庭スペース」として考え、玄関周りを引き立てるコンパクトな洋風ガーデンを施工させていただきます。
シンボルツリーとして主役となるオリーブを植栽します。
ご用意致しましたオリーブは1.6m程の高さではございますが、花壇の高さが道路より40cm程上がっております為、実質2m程の高さとなり景観的にも十分なボリュームを持っております。こちらのオリーブはしばらく真上に枝を伸ばし、自重によりやや斜めに下がるタイプの物で、玄関周りなど生長に制約が生じる場合に適しております。反面、横へ横へ枝を伸ばして下に垂れ下がるタイプのオリーブもございますが、周囲へ影響が出やすく足下への他植栽が困難となります。
枝元から幹が2本に分かれて左右へのボリューム感を出すオリーブの樹形。立ち木となるのはこちらの1本のみとなりますので、しばらくは柔らかく自由に生長させる事が出来ます。 既存の赤土に堆肥混合の用土を混ぜ合わせ、水捌け良く植栽をしておきます。
オリーブの周囲を形付ける低木類の植栽。お庭デザインを左右する植栽作業です。
植栽を終えたオリーブの足下へマホニアコンフューサを配置します。オリーブが主木であればこちらは副木としての位置付けとなります。
花壇の左端はゴールデンモップの植栽で充実感を出します。カラーリーフにより洋風色が強く、小さなスペースで有効に植栽出来ます。また、コニファー類の特徴でございます乾燥への強さも備えており、日当たりの良い花壇という夏季には過酷となる場所に耐える剛健種でもあります。
オリーブの裏手、お住まいと挟まれる空間には五色南天を植栽。陰を好み乾燥には弱いですが、小さな花壇でも植栽の配置により条件に適合する箇所を作り出す事が出来ます。
中央の砂利空間を区切る庭石組み。景観的な効果も兼ね備えます。
今回のお庭造りでは中央に砂利敷きとなる空間を設けます。その砂利留めとして洋風色のみかも石を組み、小さな庭の中に彩を添えます。小さな庭石とはいえ大きさは異なる様に組み、なおかつ不安定に見えない角度で据え付けていきます。
こちらはいわゆる捨て石(景石)とし、暗くなりがちで見えにくい箇所を目立つように一変させます。
据え付けた庭石に添える様にビバーナムを植栽して壁際を仕上げます。常緑ガマズミとして知られる植物で、日向から日陰まで対応してくれます。
整った砂利留め石組みに添える黄金セキショウ。玉竜などは乾燥や日の当たりすぎに弱い一方、こちらはある程度の日照にも対応します。ですが花壇という特性上、乾燥が続かない様な散水管理は必須となります。
三角形の端となる部分はグランドカバーの植栽で直線を柔らかく変えます。
三角形が特に顕著に表れるこちらの部分には、ブルーパシフィックの植栽で緑の絨毯の様な仕上がりに致します。植栽に先立ち、砂利となる部分と高さを合わせる為に整地をします。
寄せ植えを行っていく様子。小さな植栽でも枝の向きやクセなどは1つずつ異なりますので、違和感のある空間が出来ない様に調整しながら植栽をしていきます。
グランドカバーの寄せ植え時の仕上げとして大切な枝透き剪定。当初より重なり合っている枝は、どちらかを間引きして均等に生長を開始する様にします。始めから枝が重なり合っておりますと上側の枝だけが生長し、下にある枝はすぐに枯れていってしまいます。同時にはみ出しすぎた枝も適度に詰めておく事で綺麗な仕上がりとなります。
砂利空間の底部には固まる土で雑草対策を。砂利に土が付かない様にする大切な下処理です。
適度に掘り下げた空間へ固まる土を敷き詰め、平らに均していきます。植物とは付かず離れず程度に距離を置きながら施工していきます。
石組みの細かな入り組み部分まで施工し、土で汚れず草も生えない空間が出来上がりました。グランドカバーの葉が丁度被さり境界が見えにくい様に仕上げております。
散水した水が引き、やや締まったところで砂利をゆっくりと敷き詰めていきます。完全な硬化には1~2日掛かりますので、それまでは慎重に扱う必要がございます。
敷き詰めた錆砂利を散水で洗い流して施工が完了となります。同時に低木類や下草類、グランドカバーなどへも仕上げの水遣りを行い、散水ついでに周囲の清掃を致します。
三角形の花壇の中に小さな洋風ガーデンが出来上がりました。
施工を終えた花壇の様子です。それぞれの箇所に個性を出し、離れて眺めれば一体となってお庭としての景観を作り出してくれます。シンボルツリーとなる1本の木をあらゆるサイズの植栽が周囲で引き立てる、小さな洋風ガーデンが出来上がりました。
こちらのお庭につきましてはお庭の施工例-玄関前の三角花壇をお住まいを引き立てる小さな洋庭に-足立区Y様邸にて施工例としてご紹介を致しておりますので、併せましてご参考下さいませ。
どの様な形状の花壇でも、工夫したデザインによりお住まいと一体となるお庭に変える事が出来ます。
特殊形状の空間にお悩みの方は是非小さな庭作りをお考えになられては如何でしょうか。
それでは失礼致します。