今回は新宿区のS様邸にて施工をさせていただきました小庭のご紹介です。

S様邸玄関前は駐車場となっており、こちらを通路としてお使いになられておりました。
駐車場横に庭用のスペースがあり、そちらに芝生を張られたのですが、北側軒下といった条件ですので生育不良となっておりました。

施工前のお庭の様子
生育不良の芝生は早めに撤去しなければ剛健な雑草となってしまいます。
細かな根さえ残っていれば繁殖を続けますので、駆除が非常に困難となります。

今回はこちらの芝生を撤去し、歩きやすいアプローチとしての役割も持った小庭を施工させていただく事となりました。

既存の芝生とモミジを撤去して更地にします

芝生と既存モミジを撤去
芝生を根こそぎ剥がし、細かい根を含んだ土は10センチ程掘削し、そのまま処分となります。
表面を削るように廃土をし、既存のヤマモミジを撤去します。
こちらのヤマモミジはお客様が大切に鉢植えとして育てる事となっております。

細かな芝生の根を含んだ残土
撤去した土には細かな根が多く含まれております。
水捌けの良くない土でもありましたので、積載して処分となります。

小庭を歩くコンクリート枕木アプローチの施工

コンクリート枕木のアプローチ
小庭スペースの右端部分に、コンクリート製の枕木を設置していきます。
やや左右に振り、駐車場からも違和感なく入れる仕上がりに。
こちらを歩行専用部分としながらも、小庭との一体感を感じられる作りにします。

ポストへの渡り
ポスト付近へ一歩踏み出せる様に設置した枕木部分です。
既存土間や駐車場との間に出来た隙間にはコンクリートを敷き、雑草が発生しない様にしておきます。
アプローチ部分全てをコンクリートで一体化させた丈夫な作りとなっております。

植栽、庭石を配置します

シンボルツリーにヒメシャリンバイ
メインの植栽、いわゆるシンボルツリーにはヒメシャリンバイを植栽致しました。
主役という意味合いではございますが、造園の際は主役(植木や庭石、添景物など)を単独で目立たせるよりも、周囲の脇役的素材が支える様な関係を持たせた方が、より自然で嫌味のない風景を作る事が出来ます。
隣家様へも枝が進入しにくい大人しい植木であり、花も楽しめるうえに落葉も致しません。

ブルーベリー周りに庭石とコニファー
手前にはノーザンハイブッシュ系統のブルーベリーを低木として植栽します。
お住まい北側ながらも東、西からそれぞれ陽のあたる時間がある箇所ですので、生育が期待できます。
厚めの葉は秋に燃えるような紅色を見せてくれます。
冬季は葉が落ち寂しい景観となります為、庭石や這性コニファーを合わせた配置と致しました。
黄色の石と濃緑のグランドカバーは冬季も暖かな色合いを見せてくれます。

セダムやセキショウの植栽 下草の植栽を終えた様子
リズミカルにみかも石を配置した小庭へ、下草類を仕上げとして植栽していきます。
セキショウは庭石を引き立てたり、暗くなりがちな庭の奥に彩を添える効果がございます。
加えて今回はグランドカバーとしてセダムの苗を植栽します。
ゴールド系品種の苗を、生長を踏まえ適度に隙間を空けて植栽します。
蒸れや広がりすぎに注意すれば、ローメンテナンスな植物と言えます。
生育期に入れば絨毯状にお庭を彩る事でしょう。その際はみかも石や枕木との引き立ちあいが楽しみです。

培養土の透き込み
植栽を終えたお庭へ細かな園芸の用土を敷き込みます。
セダムの匍匐がしやすくなり、表面の土が適度な保水性を持つ事で水をあげすぎる必要が無くなり、植物にとってちょうどいい湿り気をもたらします。
時によっては乾きやすい土、の方が良い結果になる事も少なくありません。
この処置の必要性は、植木の種類はもちろん、方位や日当たり具合によって異なります。

コンクリート部分へ化粧砂利を敷き、散水洗浄します

雑草対策コンクリート部へ砂利敷き
雑草抑制として施工を致しましたコンクリート表面が乾いた所で、化粧砂利を敷いていきます。
枕木部分を歩くアプローチですので、砂利が散らかってしまう事はございません。
ですので、段差が感じられなくなるレベルまで厚く砂利を入れております。

小庭全体を散水洗浄
下草類への散水、資材の洗浄を行って施工が完了となります。
コンクリート枕木は水溜りも出来にくく、水分は細かく施された溝へ落ちていきます。
景観も機能性も良い、生活に適した造園素材です。

完成したお庭の様子です

完成した小庭全景
駐車スペースから自然に繋がる庭の全景。
様々な素材が配される事で、決して小さくは感じられない作りとなります。
枕木が自然な表情を見せ、庭石や下草が自然味を感じさせます。

玄関から眺めたお庭
玄関を出た際の眺めです。
日常的に目にするお庭は、やはり優しい表情であってほしいものです。
緩やかな傾斜をつけた枕木アプローチは、足元に気を遣わずとも歩きやすい実用的な通路です。

お住まいと調和する小庭
お住まいと一体となるお庭の景観です。
散らすように配した庭石(みかも石)が奥行き感を出し、視覚的に広く見せます。
行儀良く据える手法とは異なり、自然に顔を出す様な配石となっております。
色彩豊かな優しい小庭は、お住まいの印象を決めてしまう程の存在感を秘めています。

玄関前の土スペースは、木を植える場所であったりご自身で植物を楽しむ場所であったりと、様々です。
小さなスペースもお庭として作り上げる事で、お住まい全体が落ち着いた印象となり、建物の存在感も増します。
木を無駄に植えすぎない、簡素で優しい景観づくりを承っておりますので、ぜひご相談をいただければと思います。

それでは失礼致します。