M様邸に設置された花壇は小高い設計となっており、リビング前から駐車場へかけてお住まいを半周ほど囲う形となっておりました。
元々はご自身にて植え込みをされておりましたが、生育力の強い植物が他種を飲み込んでしまい、また日照りの強い箇所などは草花も生育しにくい状況でありました。
特にツル性植物は周囲の植物を凌駕しやすい上、広い外側へ向かって生育し、元々の植栽場所は葉が少なくなってしまう傾向があるので要注意です。
そこで今回は、日照りの強い箇所と日陰となる箇所それぞれに適応する植物を吟味の上、植栽による洋風デザインを施すご依頼を戴きました。
敷地外から最もよく見えるこちらのアングルがメインとなるかと思います。
花壇そのものが小高くなっておりますので、立ち木のヒメシャリンバイも1.5m程と小振りな木での構成となっています。
奥に見える既存のラベンダー大株を背景に出来る為、少量の植栽でも充実して見える効果を得られました。
目を引くカラーリーフは斑入りマサキと斑入りツゲによるイエローですが、そこへ濃緑系のコニファーや赤葉のカレックスでコントラストを効かせております。
基本的に乾燥に強い植物をメインにしておりますが、ツゲ類については散水メンテナンスが重要となります。
リビング方向を眺める、横からのアングルとなります。
環境適応性が高いラベンダーは既存の物を残しておりますが、やはり植木類では得難い魅力があります。
この部分は非常に日当たりが宜しい為、乾燥も早いサイクルで起こります。先述の乾燥に強い植物レイアウトに加え、砂利によって地被を行う事で乾燥を遅らせる対策もしております。
植栽の数を多くすれば地被となって乾燥対策にもなりますが、やはりメンテナンス性の問題が生ずる他、植栽は必要最低限の数である方が風通し対策にもなります。
目隠しフェンスの前には、リビングから眺められるアオダモを植栽しています。
野趣を感じられます様、アオダモだけではなくアロニアやブルーベリーも寄せ植えされており、花期や紅葉期には美しい共演を見せてくれます。
寄せ植えについては雑木らしい共生となる様、一見して他種同士の寄せ植えには見えない植栽レイアウトを施しております。
先程までの道路側アングルとは大きく異なり、目隠しフェンスと雑木に囲まれた箇所は美しいシェードガーデンとなる様にデザインしています。
自然に繁茂した様なグラス系植物に加え、野趣を感じられるヤブコウジ、花も楽しめるクリスマスローズ等もレイアウトしています。
クリスマスローズやギボウシ(ホスタ)、アガパンサス等は日陰の庭の花物として慕われておりますが、生育に伴って株が大きくなりますので、予め空間を広く取っておくか、株分け等のメンテナンスを想定しておく必要があります。
明るい日陰であればヤマアジサイ等の山花も、ローメンテナンスでおすすめな庭木と言えます。