マンションでありますT様邸のバルコニーは決して広い面積ではありませんが、今回は離れた場所から眺める為に、一角を利用した坪庭作りを計画する事となりました。
坪庭として活用するバルコニーの角は物干しを行う事も無く、右手に小さな物置が設置される予定でした。
全体がグレーを基調としている建物であります為、こちらも考慮した上で坪庭デザインを考える事となります。
仕上がった坪庭の様子です。施工箇所の底には防水防汚性に優れたシートを敷設しており、砂利とフロアが接して傷が付かない様にしています。
排水周りは大粒の砂利を敷いている為に水の流れを阻害する事は無く、併用している小粒の砂利が流れ入る事も防ぎます。
プランターによる低木植栽と燈篭、庭石と砂利、和風庭園に用いられるマテリアルをバランス良くレイアウトし、小さな場所で和庭独自の立体感を得ています。
背景を引き締めるプランター植栽は、低木種であるマホニアコンフューサが岬燈篭に触れる程度の距離感でセットしています。
このプランターは強化セメント製で適度な重量があり、円柱型をチョイスすれば風で倒れにくいというメリットも得られます。
ここでプランターが目立ってしまいますと岬燈篭よりも存在感が出てしまい、坪庭の中で主役という位置付けに見えてしまいますので、プランターは背景のグレーと合わせる事によって存在感を薄くし、植栽のグリーンだけが浮き上がって見える様にしています。
マホニアコンフューサは低木に該当しますが放任させればボリュームも増し、さらに和庭との馴染みも深くなっていく事でしょう。
燈篭の台石は「甲州鞍馬石」の飛び石を利用しており、古い和庭の様な風情を取り入れています。
目の前の鳥海石と砂利模様は岩を縫って流れる水を表現しており、水照らしの意味を持つ岬燈篭と合わせた一風景となっています。
砂利によって水の流れを表現する「枯山水」は、面積を問わず手軽に取り入れられるのが魅力と言えるでしょう。
離れて眺めても動きを感じる事ができ、何よりも砂利面に高低差が出来る事で立体感も取り入れる事が出来ます。
面積を問わず風情を楽しめる坪庭デザインを、是非お住まいのどこかへ取り入れて見ては如何でしょうか。