マンション一階のT様邸には専用テラスが備わっており、多目的な利用が可能な空間でありました。
専用庭と言えば、地面は土や芝生となっている事が多く、植物を楽しむ事も出来ますが、専用テラスは全面がタイルで仕上げられており、単純に木を植えるという事が出来ません。
そこで今回は広範囲の目隠しを兼ねた植栽を、プランター植えという形で設置させていただく事になりました。
最も長い直線となるリビング正面のラインは6.5mの距離があり、こちらへは長さ1.2mのプランターを2台、1mのプランターを2台連結して設置しています。
使用したプランターは軽量FRP製、ダークグレーのカラーがモダンな印象を感じさせます。
こちらは約2.5mの距離上に設置したFRPプランターです。
1.2mサイズのプランターが2台連結する様に設置しており、ここへ植栽を施す事で既存フェンスでは不十分な目隠し効果を補い、庭木のグリーンによって景観も改善していきます。
6.5mの距離に渡って植栽した庭木は、アカシア「ブルーブッシュ」です。
アカシア類と言えばミモザ(ギンヨウアカシア)がメジャーな存在ではありますが、ブルーブッシュは葉色と存在感が強い印象があります。
常緑樹でありながら耐寒性もあり、-9℃までは屋外でも傷まないというデータもあります。
プランター植えである以上、アカシアがよく言われる成長速度の問題も起こり難く、このメリットを活かして「ユーカリ類」もプランターで植えられるケースが多いものです。
植栽直後のブルーブッシュは枝葉が少ない様にも見えますが、剪定によって枝分かれを促し、やがて美しいブルーの壁として育っていきます。
ミモザアカシアの様な繊細な葉形とは異なり、ブルーブッシュの葉はしっかりとした形で列状に多く付きます。
この為にブルーの色合いが強く感じられ、その葉はどこかオリーブと似ている楕円形が特徴です。
アカシア類は決して寿命の長い庭木ではない為、定期的なカットメンテナンスによって枝を発生させて若返りを行う事が大切です。
そもそも枝を伸ばしたままですと大きく垂れ下がったり、重みで幹自体が傾いてきやすい樹種ですので、定期的な剪定は必須であると考えておくのが良いでしょう。
プランターに植栽したアカシアの苗木は風によって傾きやすく、繰り返しの剪定によって幹や枝が太るまでは風止め処置が必須です。
太らせる事を前提としている為、幹に直接縄を回す事は避け、写真の様に添え棒と横向きの竹、この2つを結束する様にしています。
幹に回している縄は劣化も速い材質であり、これは都度縛り直しをしていく事とします。
先述の様にアカシア類は暑さ寒さに適応する樹種ですが、プランター特有の乾燥には注意する必要があります。
乾燥が続くと葉色が極端に落ちたり、花芽が分化する夏に乾燥をさせてしまうと花芽が育たなくなります。
やや水持ちの良い土を用いて植栽し、しっかりとした水管理を心掛けましょう。
こちらは1.2mサイズのプランターへオリーブを3ずつ植栽しております。
オリーブはシマトネリコ等と異なり1本幹の樹形である事が多く、この様に生垣風の列植を行ってもスッキリとした印象を保ちます。
こちらのオリーブもまだ枝葉の数は少ないですが、少しずつ剪定を施しながら、葉密度を高めていく計画となっています。
オリーブは風や寒さにある程度耐えられる性質を持ち合わせますが、プランター植えの場合は環境による傷みが地植えよりも顕著である印象を受けます。
オリーブの鉢植えを行う際は、なるべく北風に晒されない場所を選び、木を弱らせる極度の乾燥を起こさない様に注意したいものです。
ご用意したオリーブの木は樹高1.6mを有しており、プランターの高さを含めますと実質高は2m弱に達します。
木の風格としては十分でありますので、ここからは先端部も含めて枝葉の数が増えて行く様に育てます。
刈り込みによって枝葉密度を高める生垣の維持と似ておりが、こちらの場合はある程度の幅や柔らか味を許容しながらハサミを入れていくと良いでしょう。
写真の様に、1本幹の列植であれば土表面には空間も残ります。
ここを活用してツル植物や他種の寄せ植えをする事も出来ますので、オリーブとの引き立ち合いも楽しんでみるのも良いでしょう。
今回のプランター植栽は、共にブルー葉が美しいオリーブとブルーブッシュの組み合わせとなっており、プランターカラーの効果もあり、モダンな雰囲気も楽しませてくれます。
また、庭木の枝葉密度が高すぎない事も、葉が綺麗に見える一因と言えます。
強い目隠し効果を求める場合は生垣に多く使われる樹種を選んで緑濃い壁にする等、プランターの楽しみ方はニーズに合わせて様々に対応出来ます。
土が無いテラスをどう活用するか、お悩みの方は是非プランター植栽をご検討されてみては如何でしょうか。