S様邸のリビングは2階にあり、大きな窓が備えられています。
通常は2階リビングであれば道路からの目線は気になりにくいものですが、目の前が坂道であるという立地上、意外にも歩行する方々の存在が感じられてしまう状況でした。
お客様ご自身で小さな鉢植えを置いたりされましたものの、土の容量が少ない小鉢は植物が枯れやすく、軽量過ぎる為に風で頻繁に倒れてしまうという状況でした。
そこで今回は私の方で、設置箇所を最大限に活用できるサイズの業務用プランターをご用意の上、目隠し効果のある庭木によって目隠しを行う事となりました。
プランターが設置され、美しく賑やかになった窓前の様子です。
窓前の鉢植え置き場をフル活用して90cmサイズのプランターを3台レイアウトしており、それぞれに同種の庭木3本を列植し、計9本の庭木によって目隠し植栽としています。
樹高はそれぞれ1.5m前後の庭木をご用意しました。
樹種は右手からオリーブ、シマトネリコ、ゴールドライダーとなっており、特にゴールドライダーは遮蔽目隠し効果が高いコニファーで、プランター植えでもある程度の枝葉密度を保ってくれます。
シマトネリコやオリーブに強い目隠し効果はありませんので、景観を向上させて目線を通しにくくする、といったニュアンスでレイアウトするのが良いでしょう。
目隠しの庭木はプランター・庭植えを問わず。斜めから見た際に最も目角効果が発揮されます。
生垣であれば正面からでもしっかりとした壁となりますが、列植の場合は斜めから見て枝が重なり合った状況が最も向こう側が見えにくくなるものです。
庭植えであればこうしたレイアウトの工夫を行うことは出来ますが、プランターではそれが限られてきてしまいますので、しっかりとした枝葉を持つ木を使用する事が大切になってきます。
プランターは設置場所への重量負荷を考慮して軽量FRP製の製品をご用意しています。
接地面の硬さは問わず、バルコニーや屋上においては軽量プランターを使用する事をおすすめ致します。
室内から眺めるプランターは、葉が光を反射して明るく、緑色が引き立って美しく見えます。
特にシマトネリコは葉の表面にツヤがある為に光を反射しやすく、暑い季節でも木が傷みにくいという特性を持ちます。
オリーブも同様に強い目隠し効果はありませんが、室内の落ち着き感はかなり改善されており、緑が寄り添うリビングになるだけでも大きな景観向上と言えるでしょう。
適度な抜け感を持つ庭木は窓越しの植栽に向いており、プランターであれば生育力自体は庭植えよりも大人しくなります。
しかし散水管理が非常に大切であり、長く美しさを保つ為にも乾燥状態を放置しない様にする事が基本となります。
こちらは目隠し効果の高いゴールドライダーを植栽したプランターを室内から眺めた様子です。
今回はこの位置からの目隠しが最も重要となっておりました為、光を遮りやすい事を踏まえました上でゴールドライダーをレイアウトしました。
通常コニファーは僅かでも陰になった部分が速やかに枯れていきますが、ゴールドライダーはある程度の陰や密生の中にある葉も生きていける特性があります。
もちろんお納めしたこの状態よりも葉は減っていきますが、風通しや採光の面ではメリットとなってきます。
この場合枯れ始めた個所は適切にカットしておき、他の部分が健康に成長できるようにしておく事がポイントです。
先述の様に、プランター植栽の大切な管理として「水やり」が挙げられます。
プランターの設置計画を行う際は、予め水を与えやすい環境であるかどうかを確認しておく事が大切あポイントです。
例えば近くに散水栓があるか、多少離れていればホースは常設しておく事が出来るか等、予め考慮しておきましょう。
今回のケースでは、窓を開ければ写真の様に土面へのアクセスが容易であり、ここから注ぎ口の付いたバケツで水を与えるという計画になっております。
大型プランターへジョウロで散水するのは水量が少なすぎて現実的ではなく、やはり「実水量」が要になってきます。
土の表面ではなく深部にある根に水を吸わせる為にも、相応の水量を与えられる散水環境を考えておきましょう。