K様邸は2階リビングに広く面するルーフバルコニーが備わっており、ここは恵まれた採光や面積から考えても「庭」として考えられるスペースでした。
バルコニーには透明な柵が設けられており、今回はまずプランターの設置による「程良い目隠し効果」を取り入れつつ、おしゃれな植栽を室内で感じられる、そんなプランをご提案致しました。
リビングへの階段を上り終えると同時に、バルコニー正面に置かれたプランター植栽が目に入ります。
ルーフバルコニー正面の透明な柵も、立派なプランターによって向こう側が程良く目隠しされている事が解ります。
バルコニーの真上には光や雨を通す抜けが設けられており、これが植物の生育の大きな助けとなります。
完全なルーフ下の場合ですと雨が全く当たらず、この場合は如何に水やりを行いやすい環境を作れるかがカギとなります。
目立ち過ぎないプランターのカラーはインテリアともよく馴染み、それほど大きさも感じさせません。
左にはソテツ、右へはドラセナをレイアウトしており、それぞれ足下へも低木コニファーやグラス植物を寄せ植えしています。
ソテツは良品をお探ししていた所、樹高の割に幹が立派な物が見付かり、今回植栽に至っております。
もちろん階段での搬入には難儀致しましたが、ルーフバルコニーのシンボルツリーとも言える風格を取り入れる事が出来たと思います。
ドラセナは通常のグリーン葉やレッドリーフをよく目にしますが、今回は緑/黄/赤が入り混じったレインボー調のカラーリーフをチョイスしました。
ドラセナの幹はソテツと比べれば細いですが、樹高がある為に双方のバランスも良いかと思います。
ソテツの足下へ寄せ植えしたのは、低木コニファー(ブルーパシフィック)やカレックス類です。
形態が全く異なる植物を合わせる事で、色の違いや立体感を増す事が可能になってきます。
プランターの寄せ植えにおいてツル性植物が使われる事もありますが、他の植物をみるみる内に覆ってしまう為、ツル性植物を植える場合は1品種のみで統一するのが望ましいです。
低木を上手に植栽する事で、プランターから盛り上がる様な雰囲気を作る事ができ、他樹種ですとローズマリーやウエストリンギア、グレビリア等がおすすめと言えます。
プランターは強化セメントに顔料を含ませた製品で、高い耐久性と重量を持ち、植栽のグリーンを美しく浮かび上がらせてくれます。
丸型プランターと同じデザインが施された長方形プランターも設置しています。
この部分はバルコニーへの出入り口に近い為、奥行きの小さなプランターを選んでおります。
強化セメント製でありながら四隅へ綺麗にエッジが施されており、クオリティの高い完成度を誇ります。
ユッカ・ロストラータのシャープで美しいシルエットをメインに、明るいイエローリーフのツゲ、ブルーリーフが美しいフェスツカグラウカを寄せ植えしています。
まだ土面がよく見える状態ですが、それぞれ株が大きく育っていけば、より充実した寄せ植えへ変わっていきます。
室内からのアングルによっては、プランター植栽越しに別ポジションの植栽を眺める構図となります。
庭づくりにおいては庭木の向こう側に庭を感じる「遠近法」が取られますが、プランターの設置方法においても同じ技法を活かすことは出来ます。
手前に配する庭木は透け感を持つ落葉樹を使う事が多いですが、プランターの場合は落葉樹を育てる事がやや困難です。
そこで今回の様な「1本幹で葉が頂部のみに付く」タイプの植物を使えば向こう側も良く見える事になり、プランターの植物が重なり合う風景を作り出せます。
単調に考えられがちなプランター植栽ですが、製品とレイアウトの工夫を行えば庭づくりにも共通する奥深さがあるものです。
今回の施工により、リビングでくつろぎながらおしゃれなプランター植栽を感じられる様になりました。
今回主に使用した庭木はドライガーデンにも多用される樹種であり、過度な湿り気を嫌う特性からプランターへの植栽にも向いています。
枝葉を楽しむというよりもシルエット・存在感そのものを楽しむ庭木であり、「飾る」という使い方にもぴったりだと思います。
今回はユッカ、ソテツ、ドラセナというドライガーデンの代表的な樹種を使っておりますが、他にはアガベやフェニックス等も使われます。
やはり耐寒性を考慮しますとこの3種が安心ですが、やはり北風が当たり続ける場所は傷みも予想されるので注意が必要かと思います。
今回はインテリアの一部の様に飾ったプランター植栽のご紹介でしたが、同じくルーフバルコニーをおしゃれに見せたい方は、是非ご相談をいただければと思います。