習志野市のY様邸の玄関アプローチはお住まい脇に位置する日陰の環境でございますが、幅20~30センチの細長い植栽用スペースが設けられておりました。
玄関よりも奥は自転車置場として利用する事となっておりますので、歩行を妨げる植栽は出来ません。
そこで今回は下草類、中でも生育領域を極端に広げない植物を中心とした自然風の庭を施工させていただきました。
左写真:玄関アプローチの入り口を駐車場より眺めた様子です。傾斜の付けられたアプローチと同様に、植栽スペースの土にも傾斜が付いておりました。傾斜のまま植栽を致しますと大雨や散水などで少しずつ土が流れ落ち、下部を汚してしまいます。鳥海石の小石を積み上げてナチュラルな土留めと致しております。
右写真:隙間無く、段差に心地良さを感じられる様に積み上げた小石の表情。ご要望により入り口付近の植栽は葉色の鮮やかな植物を中心に植栽をしており、石積み周囲にはゴールデンモップやアイリッシュモス、カレックスなどの色合いがビューポイントとしてふさわしい雰囲気を出しております。
左写真:アプローチに足を運ぶごとに日陰の庭ならではの雰囲気を感じられます。玄関ドアの前にのみ立ち木としてアロニアを植栽。生長が緩やかなうえ枝も柔らかく通行の妨げになりにくい植木です。それでありながら花・実・紅葉を見せる季節感を感じさせる重要なキャストとなります。
右写真:更に奥へ進むとより背の低い植物と自然石がナチュラルガーデンを形成しております。最奥部にはソヨゴを植栽しており、視覚的にお庭の奥まで緑が続く様に見せる効果を発揮します。
自然石をより自然に見せる為、どの様な細い空間におきましても1直線に石が並ぶ様な配石は避けます。また、小さな石でも必ずそれぞれ大きさはもちろん肌や表情が異なります。
その個性を交互に配したり時には連続させたりと、使い方次第でお庭の雰囲気は一変してまいります。
同様に下草類の背丈や色彩も「散らす」様に植栽する事で、単純に植物を並べた様に見せない一つの風景画仕上がっていきます。
玄関付近から振り返るお庭の眺めです。この風景は逆にお出掛けの際に必ず目にする部分として、幾度も植栽や庭石の配置を考慮し直しました。植木や下草、さらに庭石の持つ個性は、図面上で表現する事は出来ません。やはり施工を進めながら風景を確認し、住まわれる方のお気持ちを持って作庭する事が大切です。