江戸川区のF様邸は道路沿いに長い花壇が設置されており、現状は前居住者様が植えられた気が全て撤去され、土がむき出しとなっていました。
花壇の長さは5m以上と長く、お住まいが完全に花壇に包まれている様な設計でした。
この様な花壇ですと植栽またはマルチングを施さない限り、降雨によって建物へ泥が跳ねてしまう事が懸念され、もちろん雑草もみるみる内に生えてきてしまいます。
しかし美しい植栽デザインを施した場合の景観効果は大きく、細長い花壇はお住まいの景観そのものを左右してしまう程です。
今回はこの細長い花壇を存分に活かし、色鮮やかな洋風植栽デザインを施す事となりました。
落葉樹と常緑樹の違いはもちろん、様々な葉色を組み合わせた洋風植栽デザインを施した花壇の様子。
洋風の庭木と言えばイエローリーフの樹種を用いる事が有効ですが、こちらではブルーリーフの低木も取り入れており、緑色の葉を持ちながら洋風の雰囲気を持つグレビレア等も植栽しています。
葉の形状についても尖った物、細葉の物、そして丸葉の物まで様々に組み合わせており、加えて高低差も表現する事で賑やかな植栽群を形成しています。
花壇の左端は門扉やポストに接するポイントであり、軽いシンボルツリーとしてアロニアを植栽しています。
今回の植栽プランの中では最も季節感を感じられる落葉樹であり、春の花から結実、紅葉まで、季節ごとに玄関周りを彩ってくれます。
また、落葉樹にしては生育面がおとなしいという特性があり、これも動線に近い場所への植栽に向いています。
ポスト下は機能面に影響が出る事を避けて植栽をせず、割栗石を積む事でアクセントとしています。
平坦となる砂利面よりも立体感が得られますし、ポスト前へ常に空間を確保する事にも繋がります。
濃緑低木のサルココッカは通年緑色の葉が美しく、水切れさえ気を付ければ玄関前を瑞々しい緑色が添えられます。
今回の植栽デザインでは、特に斑入りトベラやイエローのアベリアが放つ明るい葉色が目を引きます。
斑入りトベラは葉数も控えめでローメンテナンスであり、現在はなかなか流通も少なくなってきた低木と言えます。
特に今回取り入れた斑入りトベラは樹高1.2m程を有する中木であり、手軽に場所も選ばずしっかりとした存在感を加える事が出来ます。
アベリアについては耐寒性が強めな品種であり、冬季に葉が少なくなってきてしまう事もなく、写真でも解りやすいですが葉密度も濃いタイプとなります。
しかしアベリアは生育力が強い為、枝が走る様に伸びる事を踏まえて周囲に空間を取る事、数を植え過ぎない事、これらがレイアウト上大切になってきます。
尚、カラーリーフが続いた後はソヨゴを植栽して自然な緑葉を添えており、このコントラストがカラーリーフを一層引き立ててくれる様になっています。
今回の植栽デザインで重要な役割を担っているのが、マルチングに使用しているレンガチップです。
カラーリーフにも緑葉にも良くマッチするカラーであり、砂利よりもハッキリとした割れ肌が石積みの様な立体感を見せてくれます。
土面にも似たナチュラル感もあり通気性も良く、何よりも洋風植栽の葉色をしっかりと引き立ててくれることがメリットと言えるでしょう。
手前に写るグレビレア・ジョンエバンスの濃緑葉とも良いマッチングを見せており、花壇の中で手軽にイングリッシュガーデンの様な雰囲気を作り出す事が出来ます。
玄関ドアの横には広い壁面があり、ここへしっかりとした緑を添える為にソヨゴをメインシンボルツリーとして植栽をしています。
ソヨゴはあらゆる条件に対応出来る優れた庭木であり、例えばこちらでは
・陽が少ない
・乾燥しやすい建物脇
・動線の邪魔になってはいけない
・玄関や設備機器を目隠ししたい
この様な条件、機能を全て満たしています。
特に玄関ドアの側面や設備機器の目隠しとして大いに役立っており、玄関が道路から近いシチュエーションではソヨゴが特に重宝されます。
ソヨゴは和洋を問わずナチュラルであり、相応の樹高の木もお納め出来る事、これがシンボルツリーの樹種として優秀であるのだと思います。
細長い花壇へ施す明るい植栽デザイン、洋風味がお好みの方は是非取り入れてみてはいかがでしょうか。