K様邸は工夫を凝らしたナチュラルな建築デザインとなっており、玄関には大きな窓から眺められるスペースがございました。

建築様式から考慮しましてもこちらのスペースは大変に重要であり、玄関や廊下から常に見えるビューポイントとして定義されます。

今回はこちらのスペースを坪庭的景観とすべくご依頼を戴き、和風、自然味、デザイン性も兼ね備えた空間を制作させていただきました。

玄関から眺める坪庭の風情

住空間に馴染む、玄関から見る坪庭

住空間に馴染む、玄関から見る坪庭

玄関からはもちろん、ここから続く廊下や階段からも眺められる坪庭は、2方を大きな窓で区切られています。
採光が充分に確保された室内は外部(坪庭)との明暗差が少なく、これにより住空間と庭との一体感が一層感じられます。
作庭デザインはこちらのアングルを最優先しており、飛び石~水盤~流れの源まで見せる事で、面積以上に深みを感じる風景にしております。
枝葉の少ないセイヨウカマツカは景色を妨げずに風情を醸し出し、奥に見えるソヨゴは外壁を程好く隠したスクリーン効果を持っています。

植栽越しに坪庭を見せ、奥深い雰囲気を演出

植栽越しに見る水盤周りの表情

植栽越しに見る水盤周りの表情

水盤周りは植栽越しに眺められる様にしており、遠近感と風情を両立させます。セイヨウカマツカは幹自体が柔らかに傾いだものを植栽しており、存在感を主張しない自然な生育として見せています。
高木はアオダモを植栽しており、春は新芽が水盤の頭上で美しく揺れる風景になります。こちらも特に自然な樹形を選んでおり、これらの植栽が「固くない和風」の雰囲気を作り出してくれます。

大判の鉄平飛び石が空間を広く見せる効果を

水盤へ向かう飛び石の渡り

水盤へ向かう飛び石の渡り

坪庭へ下り立つ掃出し窓から自然に繋がる飛び石の渡り。形式的でもある沓脱石は置かず、非常に厚みのある古い御影石を一番石として据え付けています。
飛び石は佐久鉄平石の表面にスリ加工を施した物で、雨に濡れても滑りにくく、鉄平石特有の色合いも楽しむ事が出来ます。当初は小振りの物を据え付ける構想でしたが、こちらの坪庭は遠景も意識したい立地上、大判の物を使用して存在感を出しました。
各飛び石の底にはコンクリートを使用しており、しっかりとした踏み応えと傾き防止を施しております。

躍動感と和庭らしさを醸し出す、曲線デザイン

明確な曲線模様が和モダンな雰囲気を演出

明確な曲線模様が和モダンな雰囲気を演出

曲線模様の苔のラインはお馴染みであるかもしれませんが、こちらの様にくっきりとしたカーブを整形する手法ですとデザイン性を特に際立たせ、和モダンな雰囲気にも見せる事が出来ます。

目立たないエッジを施工する事で散水時の土の流出を抑え、同時に与えた水分が逃げにくい様にする事が出来ます。

冬季も寂しく見えない様、要所へ常緑低木をレイアウトしており、この緑の骨格は通年維持される事になります。

アオキやヒメシャリンバイ等、古くから馴染みのある日陰向きの植栽を添え、ユキノシタやヤブコウジ、ツワブキ等で野趣も感じられる植栽デザインに。

小さな庭石が生み出す立体感

小振りの庭石で作る立体感

小振りの庭石で作る立体感

枯山水の部分と異なるいわゆる山エリアに据え付ける鳥海石は、丸みを持った山石らしい雰囲気の物を選んで据え付けています。

小振りの庭石とはいえ大小の違いがありますので、どんな小さな箇所でも立体感を演出する事は可能です。

小さな山石を美しく見せる際は、周囲は最低限の植栽とし、空間の中に添えてあげるのが良いでしょう。

苔は部分ごとに異なる日照条件を踏まえた上で、種類の異なる苔をレイアウトしています。

限られた面積を最大限に活用する坪庭デザインを

廊下から枯山水の流れを見下ろす

廊下から枯山水の流れを見下ろす

水盤の裏手から始まる流れのデザインは、廊下から見下ろす際に全景を眺める事が出来ます。

通常のお庭ですと視線を水平に近い角度として捉えますが、視点を下ろす坪庭デザインにおきましては限られた面積の中で大いに動きを付けるデザインが有効となります。

植栽や庭石が一直線上に並ばない、いわゆる三角構図をデザインに取り入れており、ポイント間には必ず動きが生まれる構図となっています。

庭石(鳥海石)は流れに抉られた様な窪みを利用して自然な流れの一部に見せています。割石・伊勢・錆、3種の砂利によって流れの緩急を表現しており、自然と奥へ目線が向かう坪庭となっております。

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