S様邸におかれましては建築中の段階より植栽デザインと主庭構成をご相談いただき、竣工と同時に庭づくりに入らせていただきました。
特に生垣の高さや樹種、玄関周りの植栽デザインは綿密にお打ち合わせの上、実施工時のアレンジを加えながらの施工となりました。
主庭の目隠しと駐車場との境界を兼ねた生垣
駐車場を介して道路からも見える主庭は、細葉マキの生垣によって目隠しを確保し、プライベート感を保持しています。
立地上強風が懸念される場所でありますので、風に強い常緑樹、加えて刈込剪定によって密度を高めていける樹種として選んでおります。
生垣越しに見るシマトネリコとイロハモミジが、デザイン性あるお庭の存在を感じさせます。
主庭のシンボルツリーとして植栽したシマトネリコは3mの高さがあり、外からの存在感も十分に感じさせます。
特に生垣越しに庭木が見える風景は緑濃い印象となり、お住まいを美しく引き立ててくれます。
生垣に使用した細葉マキはラカンマキほどの小葉性ではありませんが、環境適応性が高く丈夫に育つケースが多いです。
マキは毛虫類の心配が無い代わりに、アブラムシへの予防措置が必要となります。
植栽当初からある程度の目隠し効果を発揮しているマキですが、刈り込みを重ねていく事で驚く程に密度の濃い壁を形成していく事が可能で、強風や塩害に強い頼れる生垣です。
マキはある程度の日陰にも対応する為、裏側の葉も少なくなりにくいというメリットがあります。
完全な日向向きの庭木で生垣を構成しますと、裏側や足元の葉が少なくなってきますので注意しましょう。
のびのびと遊べる人工芝のプライベートガーデン
シマトネリコやジューンベリーが寄り添うテラスには庭へ降りるステップが設けられておりましたので、お子様がそのままお庭へ下り立って遊べる様な構成になっております。
人工芝の下層は砕石による転圧強化地盤となっており、ある程度凹凸の発生を防ぐ様になっています。
下地処理は人工芝の要ともなる部分ですが、人工芝も不陸が目立ちにくい製品を選ぶ事が大切です。
天然芝の見た目に近い程、少々の不陸が起こった際も目立ちにくく自然に見せる事が出来ます。
人工芝とバークチップのエリアを分けるのは、錆御影石のピンコロ石です。
レンガよりも自然なカーブを描く事ができ、丸みを帯びた優しいエッジラインを作る事が出来ます。
バークチップは本来乾燥を防いだり虫除けとしての目的がございますが、お子様が遊ぶスペースとして安全性に富んだマルチング材としてもおすすめ出来ます。
人工芝のクオリティが高い程、何気ない風景も自然に見える様になります。
落ち葉が落ちた風景も天然芝そのものであり、踏み心地や触り心地も重要なポイントとなります。
特にお子様が遊ばれる際は裸足である事はもちろん、寝転んだりする事も想定されますので、葉の質感が柔らかい製品を選ぶのがおすすめとなります。
葉数を優先的増やした人工芝は寝転ぶとチクチク感じる事もありますので、こちらの所は十分に吟味する必要があります。
玄関周りを彩る植栽デザイン
玄関周りには2本のシンボルツリーを設定しています。
シンボルツリーは1本という厳密な決まりはなく、外向け・内向けの二か所を設定すれば奥深い趣を演出する事が出来ます。
こちらの場合は常緑樹のソヨゴと落葉樹のアオダモが2本見える様にしております。
アオダモは無機質にデザインされたポイント外壁との調和を取っており、門周りを優しく見せる効果を出しています。
常緑樹のソヨゴは重厚な雰囲気から遠くに見えても存在感がありますので、遠景を意識したシンボルツリーとも言えます。
玄関アプローチ沿いのシンボルツリーとして佇むソヨゴは、重厚感のある単幹物を植栽しています。
石張り調の外壁は存在感が強い為、植栽とのバランスを考えますと美しく重みのある庭木が適しているかと思います。
加えて玄関アプローチは頻繁に歩行する箇所でありますので、虫も付きにくく生育の緩やかな庭木を選ぶ必要があります。
足下はコニファーやブルーベリーによってさりげない植栽デザインを施す事で、賑やかで野菜い玄関周りを演出しています。